勝山圓昭さん(61 歳・荒張)
金勝寺住職。昨年3月に教員を退職したのを機に、参拝しやすい環境を整えようと、現在は使われていない正面参道の整備に取り組んでいる。
■金勝寺の正面参道について教えてください
金勝寺は奈良時代に開かれた寺院で、当時の都だった奈良方面から参拝できるよう、現在の大津市上田上大鳥居町付近から正面参道があったようです。その後、都が京都に移り、走井、東坂、桐生、上桐生からの4本の参道が主に使われるようになって、正面参道は廃れていきました。江戸時代には既にほとんど使われていなかったようです。
■正面参道の整備を始めたきっかけは?
正面参道は現在の参道と林道がつながっている場所から下に続いています。正面参道沿いにはかつて建物が建っていた平坦地が3段あり、金勝寺の参拝者や金勝山の
ハイキングを楽しむ人が休憩できる場所にできないかと、退職を機に整備に取り掛かりました。
■正面参道の整備はどのように行いましたか?
正面参道は雑木と竹でうっそうとしていて、まったく入れない状況でした。そこをチェーンソーを使い少しずつ木を切って入れるようにしていきました。夏は厳しい暑さだったり、アブや蚊、ブヨなどに刺されたりで大変でしたが、なんとか正面参道の一部を散策できるように整備することができました。その結果、数十人がかりで押してびくともしないのに、身を清めた人が触るとちょっと押しただけで揺れ動いたと伝えられる「震石」まで、正面参道から行けるようになりました。
■今後取り組みたいことは?
正面参道の整備はまだまだ道半ばです。将来的には林道より下の部分を参拝者が散策や休憩できる公園のようにしたいと考えています。森林浴の森100選に選ばれている金勝山にあることもあり、山寺のよい雰囲気を保てるように整備、管理に取り組んでいこうと思います。
金勝寺には十三参りで知られる木造虚空蔵菩薩半跏像(国指定重要文化財)があり、「今年は十三参り祈願の受け付けも始めたい」と語る勝山さん。参拝しやすい環境づくりに向けて、今後も境内や正面参道の整備を進めるそうです" |