■土の埴輪・船形埴輪
新開4号墳から出土した、船形埴輪は船体本体(船底部分)が刳り船で、これに舷側板と竪板とよばれる板材を組み合わせた、いわゆる「準構造船」を模した大型の船形埴輪で、滋賀県では唯一の出土例であり、全国でも20数例が知られるのみです。大きさは全長が115p(刳り船部分は100p)、最大幅は舷側板上部で27p、底部で12.5p、高さは中心部で13.8p、最大高で23pです。 特徴としては、船底部横断面の形態が平底となり、船体本体(船底部分)と舷側部分などの継ぎ目の表現が線刻でおこなわれ、舷側上端のピポット(突起:オールを装着するところ)が片舷7個、合わせて14個みられます。
また、船底部中央長軸方向に板状の構造物がみられ、上面に直交して長方形の板が7か所で密着して接合されています。それぞれの板は両舷の船体本体(船底部分)上端部分に取り付いており、その数はピポットの数と一致しています。
竪板の先端から約20pのところに仕切板状のものがみられ、これらの造作により船の耐水性(水密性)がより高められたものとみられます。これらから推定されるモデルとなった船は全長15〜20mを計る大型の準構造船と考えられます。
■土の埴輪・家形埴輪
新開4号墳から出土した、家形埴輪は平地式の切妻造家を模したもので、大きさは長さ50p×38p、高さ45pです。特徴として、屋根には縦方向に4本(現存3本)、横方向に1本の押縁を、平行文を配した線刻で表現しています。また妻側には半円形の棟木の表現がみられ、屋根の両端(妻側)に破風板をもっています。
壁面には、妻側、桁側ともに、中央に壁が方形に切り取られて窓が表現(4か所)されています。
■木の埴輪・笠形木製品
狐塚3号墳出土の笠形木製品は蓋を模した木の埴輪で、頂部に突起が付くもの・頂部の丸いもの・頂部が平坦なものの3つに分けられます。大きさも、大・中・小の3つに分けられますが、いずれも木の材質は古墳の棺に多く用いられるコウヤマキが選ばれています。
※特集展示「土の埴輪と木の埴輪」は5月23日(土)から6月21日(日)までの会期で開催します。 |