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 このページは、さまざまな分野で活躍されている皆さんを紹介するコーナーです。

柿元 久美子さん

(70歳・小野)


30年以上の間、組紐による作品づくりに携わる。海外展示やデザイナーの植田いつ子さんの依頼でベルトを組んだことも。古希の記念に、5月にさきらで開催した作品展「ゆめをくむ」には400人以上が来場。

 ■組紐による作品づくりをはじめたきっかけは?
 帯締めの制作を依頼した際、「自分で作ってみたら」と言われたことが創作を考えるきっかけになりました。その後、草木染めの糸で組紐を組む講座が栗東であり、基本を教わりました。もともと骨董品が好きで、家には集めた、べっ甲の櫛、帯留め、かんざしなどがたくさんありました。「がらくた」と呼ぶのがふさわしいかもしれませんが、いずれも使っていた人の愛着を感じるもので、丁寧に磨き、大切にしてきました。その宝物の一つであるサンゴ玉を「ネックレスにできるかも」と組紐に一緒に組んでみると、予想どおり素敵な作品になりました。以来、草木染めの糸に集めた骨董品を合わせて、ペンダント、ネックレスなど、身につけるものを組んできました。
 ■どのようにして作品をつくっていくのですか?
 組紐を組むための丸台を使い、糸を組んでいきます。糸の色、本数、組み方により、作品の柄や太さなどが異なってきます。草木染めの糸は滑らかでやさしい色合いのため、トンボ玉やサンゴ玉ともよく合います。想像していたものとは、違った雰囲気になることもあり、その時々で出来上がりが楽しみです。心に残る光景や旅の思い出などでイメージを膨らませ、糸と自分の集めてきた骨董品のコレクションとをつなぎ、創作します。
 ■トウカイテイオーの引退式で手綱を組まれたそうですね
 主人が装蹄を担当したこともあり、ずっと活躍を見守ってきた競走馬でした。数々のドラマと感動を残してくれた名馬のために、手綱を組みました。騎手服の色であるピンク、ブルー、白をすべて取り入れ、一方はピンク、もう一方はブルーを基調にパールを組み込み、馬の左側と右側で変化のある手綱になっています。銀座の百貨店で展示した際には、たくさんの競馬ファンが見に来てくださいました。今まで心のおもむくままに、作品をつくってきました。今後もタンスいっぱいの骨董品の宝物を組紐と合わせて形にしていきたいです。

作品展「ゆめをくむ」のとおり、糸と骨董品とをつなぎ、夢を組んできた柿元さん。古いものに命を吹き込み、草木染めのやさしい色合いで調和された作品の数々は、多くの人を魅了しています。
〔本人・作品は、さきらの作品展で宮部英之さん(綣)が撮影〕

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