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 今、だれもが気軽に、生涯にわたって楽しめる「ニュースポーツ」と呼ばれる新しいスポーツに注目が高まっています。その一つが栗東で生まれた「スローイングビンゴ」。  栗東で生まれたスポーツは、人やまちをつなげ、全国にその輪を広げています。
市川知幸さんが考案した栗東生まれのスポーツ
■だれもが簡単に楽しめるスポーツを
 スローイングビンゴは平成10年、当時、体育指導委員(現スポーツ推進委員)であった市川知幸さん(北中小路)が考案したスポーツです。
 病気で入院していた市川さんは、病院でさまざまな症状の人を目の当たりにし、「だれもが簡単に楽しめるスポーツを作りたい」とスローイングビンゴを考案しました。案を受け、生涯スポーツの推進に取り組む当時の栗東町体育指導委員協議会で検討が重ねられ、栗東から新しいスポーツ「スローイングビンゴ」が誕生しました。
 ゲームは簡単な内容で、砂の入った袋「サンド・レッド」を投げて、チームがビンゴになれば勝利。「サンド・レッド」は、もともとは船を岸壁に寄せる際、船から投げるロープにつける砂の入った錘のことで、船員であった市川さんならではの発想から生まれました。この袋を縦横5メートルで1メートルずつ区切った計25個のます目状の的に投げます。3人対3人を基本に、交互に袋を投げ、縦・横・斜めのいずれかに5つ揃える、幅広い年代の人が楽しめるスポーツです。
■市川さんの思いを受け継いで
 市川さんは故人となりましたが、「だれもが簡単に楽しめるスポーツを」という市川さんの思いは現在も受け継がれ、スローイングビンゴは全国で多くの皆さんに愛されています。
 「スローイングビンゴはスポーツ選手でなくとも、だれもが気軽に楽しめ、仲良くなれるスポーツ。本人はきっと、障がいのある人にも普及してほしい、たくさんの人に喜んでもらいたいと願っていたと思います。これからの高齢社会を考えても、デイサービスなどで高齢者の皆さんにも気軽に楽しんでいただけるのではないでしょうか。今後も長く、多くの皆さんに楽しんでいただけるスポーツであればと思います」と妻である市川冨治恵さんは話してくださいました。
大宝小にスローイングビンゴクラブができたよ!
■栗東のことをもっと好きになれるかも…
 4月から大宝小学校にスローイングビンゴクラブが誕生し、4年生以上の18人の子どもたちが活動しています。クラブが誕生するきっかけとなったのは、部長である阿部瑞希さんの思いから。
 「小さいころ、一度だけお父さんとスローイングビンゴをした時の楽しい体験がとても心に残っていて、自分も大きくなったら絶対にやりたいと思っていました。栗東で生まれたスポーツだと聞き、栗東のことをもっと好きになれるかもと友達を誘いました」と語る阿部さん。クラブのメンバーを募る、クラブ発起会では、多くの児童はスローイングビンゴを知らないと予想。仲間と寸劇をしてどのようなスポーツかを説明し、「ルールはこれからみんなで考えてやって行こう」と呼びかけました。思いは通じ、「面白そう!」と18人のメンバーが集まり、活動が始まりました。
■道具はすべて手作りで作成
 設立されたばかりのクラブは、自分たちでスローイングビンゴに必要な道具を手作りすることから始まりました。サンド・レッドは、運動場の砂の重さを350グラムずつ計り、袋に入れて作成。ビンゴのます目は、ビニールテープを活用して作りました。
 6月29日の活動は、最初に、前回作ったます目となるビニールテープを床に広げました。ゲームは2チームに分かれ、砂の入ったビニール袋をそれぞれ投げ、落ちた位置を黒板に色分けして書いていきながら進行します。狙ったところに入れば、仲間とともに喜び、勝利の時は大歓声。楽しい時間が過ぎていきました。
 その後、初めて実際の道具を使ったプレーでは、子どもたちは、基本をもとにメンバーの意見を反映しながら自分たちが楽しめるようにルールを考え、進行しました。「みんなで喜べるから盛り上がるし、友情が深まります」「大宝小で初めてのクラブで、歴史を作れます。メンバーと仲良くやっていきたい」「夏は袋に水を入れて、水風船を作って投げてみても面白いかも」と、子どもたちは柔軟な発想で活動を楽しんでいる様子。スローイングビンゴの楽しみ方に大宝小学校の子どもたちが新しい風を運んでくれそうです。
地域の絆をはぐくむ
 スポーツ推進委員※や地域振興協議会の協力のもと、スポーツ・文化振興課では、市内各学区で「みんなのスポーツ講習会」をはじめとするニュースポーツの講習会や大会を開催しています。なかでもスローイングビンゴは、歴代のスポーツ推進委員の皆さんが築いてきた栗東生まれの種目として重点的に取り入れています。
 さまざまなニュースポーツによる生涯スポーツの普及活動は、地域交流につながっています。  6月6日に開催された大宝東学区での講習会では、小さなサイズのスローイングビンゴを参加者が楽しみました。7月11日は、治田学区で自治会対抗のニュースポーツ大会が開催され、12チーム43人が参加。また、同日には、大宝西学区でもスローイングビンゴ大会が開催され、16チーム48人が熱戦を繰り広げました。
 スローイングビンゴでともに汗を流し、地域の絆がいっそう深まる時間となりました。
道具の貸し出しやスポーツ振興に関する問合せ
スポーツ文化振興課 スポーツ・文化振興係 TEL.551-0318 FAX.552-5544
その人に応じたやり方で楽しむ
■障がいのある皆さんにも普及
 平成23年に本市で開催された湖南地域身体障がい者(児)レクリエーションスポーツ大会。この大会で初めて障がいのある皆さんにスローイングビンゴが紹介されました。普及に努めていたスポーツ推進委員の皆さんが、より広い普及を目指し、大会で参加者に体験してもらう時間をもったことがきっかけです。
 「栗東生まれのスポーツだとは知っていましたが、体験したのは初めてでした。これなら、基本をもとに、もっと重度の障がいのある人にも楽しんでもらえるのではないかと思いました」と語る、滋賀県障がい者スポーツ指導者協議会副会長の原陽一さん(綣)。以来、障がいのある皆さんの間にもスローイングビンゴの普及が進んでいます。
■ルールや用具を人に合わせる
 「投げる場所を変えたり、サンド・レッドを大きなボールに変えたり、投げるのではなく、スティックでボールを打つ方法に変えたりとその場に応じて楽しんでいます。6月の滋賀県障がい者スポーツ指導者協議会交流会でもスローイングビンゴを楽しみました。障がい者スポーツの振興は、スポーツを人に合わせること。スローイングビンゴに限らず、今後も型にはまることなく、ルールや用具を人に合わせ、だれもが楽しめる身近なスポーツの普及を目指したい」と話す原さん。
 その人に応じたやり方で、スローイングビンゴは、障がいのある皆さんが身近に楽しめるスポーツとしても広がっています。
ともに楽しみ、深まるふれあい
■障がいのある皆さんの余暇を支援
 野洲市の総合型地域スポーツクラブ「NPO法人YASUほほえみクラブ」では、障がいのある皆さんがスポーツを楽しむため、平成26年度に全国9クラブが採択された「健常者と障がい者のスポーツレクリエーション活動連携推進事業」に参加。
 障がい者の余暇支援のため、毎週木曜日の夕方から野洲市なかよし交流館で開催する「日中一時支援」の教室にスローイングビンゴなどのニュースポーツを取り入れ、先進的な取り組みをしているクラブです。
 ニュースポーツは、滋賀県障害者スポーツ協会および、ほほえみクラブのスタッフが指導。参加するだれもがみな楽しい時間を過ごしています。
■楽しいことが第一
  「投げる距離を短くしたり、ラグビーボールやテニスボールを使ったり、だれもが楽しい時間を過ごせるように工夫しています。楽しいことが第一です。『ホールインワン』はとても盛り上がりますよ」と話す、クラブ副代表の嘉村和義さん。
 6月25日の教室では、スローイングビンゴを楽しむ皆さんの歓声にひかれて、子どもたちも参加し、ふれあいが深まるひとときになりました。
〜栗東市老人クラブ連合会から〜
高齢者にもやさしいスポーツ
 スローイングビンゴは高齢者にもやさしいスポーツです。
 栗東市老人クラブ連合会では、毎年、ニュースポーツ大会を開催しており、栗東ならではのスポーツであるため、毎年、スローイングビンゴを競技種目に取り入れています。
 昨年度は24チーム、96人の参加があり、本年度も10月に大会を開催予定です。皆さん、いつも和気あいあいと楽しんでくださっています。
 高齢者でも楽しめるスポーツとして、滋賀県老人クラブ連合会に、スローイングビンゴを紹介したこともあります。
ニュースポーツでまちが交流
■ジャパンスローイングビンゴ協会の設立
 平成10年に市川知幸さんがスローイングビンゴを考案してから、今年で17年。市川さんの思いのもと、スポーツ推進委員の皆さんが普及に取り組み、平成16年には、本市にジャパンスローイングビンゴ協会が設立されました。協会のメンバーは現在26人で、審判講習会の開催などにより、さらにその輪を広げる活動に取り組んでいます。
 普及活動をしていく課程で、「コミュニティセンターや子どもたちなどにも気軽に楽しんでもらえるような、より身近な環境を作ることができれば」という声があがり、平成19年には、小さなサイズのスローイングビンゴも開発。だれもが、より気軽にスローイングビンゴを楽しむことのできる環境がいっそう進みました。
■ニュースポーツが人やまちをつなぐ
 ジャパンスローイングビンゴ協会の主要事業の一つが、毎年本市で行われる全国大会「ジャパンスローイングビンゴ大会」。第1回目から出場を続けるチームに、島本町(大阪府)と彦根市のスポーツ推進委員のチームがあります。現在、だれもが生涯楽しめるスポーツとして、スローイングビンゴのようなスポーツが全国で誕生していますが、島本町はスリータッチボール、彦根市はスーパーカロムの発祥地。「ニュースポーツの発祥地」という縁により、スポーツ推進委員の交流が続いています。
 島本町発祥のニュースポーツ、スリータッチボールは、バドミントンコートを使用して、1チーム3人がスポンジボールをラケットで打ち合うスポーツ。毎年、「ジャパンスローイングビンゴ大会」に島本町のチームが出場し、島本町で開催される「スリータッチボール大会」には本市のチームが出場しています。交流は約10年間続き、スローイングビンゴ、スリータッチボールという二つのニュースポーツが、人とまちをつないでいます。
〜島本町スポーツ推進委員の皆さんから〜
ニュースポーツ発祥の地同士、いっそうの交流を
 大阪府三島郡島本町は、大阪府と京都府の府境に位置する人口3万人強の小さな町です。スローイングビンゴと同様、ニュースポーツであるスリータッチボールが生まれた町です。
 ニュースポーツをつうじての栗東市と島本町のスポーツ推進委員の交流は、早いもので10年ほどになります。毎年栗東市で開催される「ジャパンスローイングビンゴ大会」には第1回の大会から続けて参加させていただいています。
 また、6月7日に野洲川体育館で開催された「ジャパンスローイングビンゴ協会交流会および審判講習会」にも、参加させていただきました。審判講習とゲームが行われ、島本町スポーツ推進委員は3位になることができました。当日は栗東市の皆さまにお世話になり楽しく体を動かすとともに、栗東市のスローイングビンゴへの思いも熱くお聴きすることができました。
 スローイングビンゴのミニサイズを考案され、広く市民皆さまへの普及を目指しておられることなどを聞き、スリータッチボールを考案した時のことを思い出し、わが町ももっと頑張らなくてはという気持ちを新たにしました。
 さらに、スリータッチボールにおいては、6月21日に毎年恒例の「第10回スリータッチボール大会」が島本町立第二中学校体育館で開催されました。
 栗東市をはじめとする皆さまに遠方よりお越しいただき、こちらでも交流させていただくことができました。
 栗東市と島本町のスポーツ推進委員同士の親交は、メンバーが変われど、現在まで続いており、これは先輩方の交流が実りの多いものであったからこそであると考えております。
 これからも、栗東市と島本町はお互いの地域が発祥の「スローイングビンゴ」と「スリータッチボール」の普及推進をはじめ、各種活動や情報交換を通じていっそう交流を深めていければと考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。
〜全国大会を楽しみませんか〜
「第9回ジャパンスローイングビンゴ大会」参加者募集中

日時…9月27日(日) 9時30分〜16時(予定)
場所…栗東市民体育館
条件…小学4年生以上
定員…32チーム(1チーム3人)
 ※定員になり次第、締切り。申込み用紙あり。
問合せ…ジャパンスローイングビンゴ協会
 (事務局:大塚 TEL.090-3464-7670) FAX.575-2206)
さらに広がれ!スローイングビンゴの輪
■情報発信の強化を目標に
 ジャパンスローイングビンゴ協会は「JTHBA〔Japan(日本)THrowing(投げる) Bingo(ビンゴ)Association(組織)〕」とも呼ばれています。
 「前会長が10年にわたり取り組んでくださった活動を引き継ぎ、普及に取り組んでいます。平成23年に開催された『第65回 全国レクリエーション大会INしが』で、スローイングビンゴの体験コーナーを設けたことが、このスポーツを全国に広げるきっかけになったと感じます。今後は情報発信も強化し、正確な情報とともに、楽しさをより全国に広げていくことができれば」と語る会長の大塚政行さんと、事務局の岩倉孝子さん。
 「だれもが簡単に楽しめるスポーツを」という市川知幸さんの思いは現在も大切に受け継がれています。人とまちとをつなげ、人や場所にあう形でアレンジされ、進化しながら全国にその輪を広げるスローイングビンゴ。栗東で生まれたスポーツとしての誇りを持ちながら、今後もさまざまな場で楽しんでいきましょう。
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