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 このページは、さまざまな分野で活躍されている皆さんを紹介するコーナーです。

久保 美子さん

(48歳・高野)


介護や福祉の知識や技術を生かし、介護が必要な人の施設などを訪問して髪を切る「福祉美容師」として活躍。平成27年12月に、自宅の一部を改装し、だれもが利用しやすい美容室「きれいや プラスワン」をオープン。

 ■「福祉美容師」を志したきっかけは?
 20歳で美容師免許を取得して美容院で働いていましたが、出産後は、育児と仕事の両立が難しい状態でした。そんな時、「福祉美容師」の存在を知り、NPO法人が実施する養成講座を受けました。時間の融通もききやすく、大きなやりがいを感じて平成21年から活動を始めました。「福祉美容師」の仕事は、介護が必要な人や、障がいのある人の自宅などに直接伺い、髪を切る訪問美容が中心です。涙を流しながら「あなたたちがいてくれてよかった」と感謝してくださることもあります。また、何回も訪問することで、信頼が深まり、皆さんのちょっとした変化にも気付きやすくなります。一人暮らしの高齢者もおられ、見守りにもつながっていると感じています。
 ■出張美容だけでなく、店舗もオープンされました

▲完全個室で、車いすに乗ったまま利用できる美容室。「利用者に風を通したい」と久保さん。ホームページは、http://kireiyaplus1.biz/

 訪問美容は病気などで美容室に行けない人が対象です。退院した人から「これからも髪を切ってもらいたい」という声もありました。また、厚生労働省は、衛生管理徹底のため、出張美容の実施主体は美容室の開設者がふさわしいとしており、店舗を持つことが「福祉理美容師」としての信頼につながると考えました。栗東市商工会の支援で、国の補助金採択を受けたのも大きかったです。
 ■対象者を限らず、だれもが利用できる美容室ですね
 高齢者や障がいのある人にやさしい美容室を目指していますが、対象者を限定することは逆に壁を作ることになります。さまざまな人がここに来て、「訪問美容って何?」と興味を持ってくれることが、「福祉理美容師」への理解を広げるきっかけになると思います。また、介護する家族などにも気軽に来ていただけたらと考えてます。時間は相手に合わせた予約制にし、自分だけの空間で、気兼ねなくリフレッシュしてもらえるようにしています。理・美容師の離職率は50%を超えると言われています。高齢化が進み、今後ますます「福祉理美容師」は必要とされます。免許を持つ人や若い世代に、この職業の魅力を伝えていきたいです。

 ホームヘルパーの資格を取ったり、障がい児放課後デイサービスに関わるなど、努力を惜しまない久保さん。抗がん剤治療用ウィッグの相談もでき、さまざま人の気持ちに寄り添う美容師です。

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