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 このページは、さまざまな分野で活躍されている皆さんを紹介するコーナーです。

佐志原 誠一さん

(84歳・川辺)


視力障害がある中、車庫を工房に、知恵と工夫で生活を便利にする木工作品を次々に誕生させる。治田小学校のウサギ小屋などもボランティアで製作。中でも、桐の千羽鶴は見る人を大きな感動に包み込む。


できないことは何もない。創意工夫で人生を楽しむ達人。
 ■木工作品を製作されるようになったのはいつからですか?
 昔から「ものづくり」が趣味でした。仕事は陶器の製造をしていて、40代後半には、会社の仲間とともに、三重県で山小屋を一から建てたこともあります。定年退職後は、職業訓練校で木工の技法を学び、地域の講座でも学習しました。講師から「技術を教えてほしい」と言われたこともあります。「あったら便利だな」と思うものを考え、製作しています。
 ■視力障害がある中、桐の千羽鶴はどうやって作られたのですか?
 小学3年生の頃から弱視になり、今、右目は失明し、左目もほとんど見えない状態です。木工作品を作った時に出た桐の端材を何とか活用できないかと考え、縁起のよい千羽鶴を作ってみようと挑戦しました。とても細かい作業でしたが、1日約10個ずつ、3か月ほどで完成できました。1枚の端材を道具に使い、削ったり、切ったりしながら、胴と羽を作っていきす。その後、別に作った首と尾をひっつけます。道具は手作りしたものもあります。見えないので、手の感覚を頼りに、長さ、重さ、厚みなどを確かめながら作業します。一番難しかったのは、羽の角度です。左右が同じ角度になるように頑張りました。
 ■障害はハンディではないですか?
 母の言葉などから視力がなくなるかもしれないという将来の覚悟はできていました。63歳で眼鏡が矯正不能になり、70歳で身体障がい者手帳の交付を受けました。右手は交通事故で不自由になり、左手はヘルペスで痛みがあります。しかし、大変だとは思ったことはありません。人生は楽しまないと損です。いつもどうしたら楽しいかを考えています。ごみ出しなどの家事もしていますし、畑で野菜栽培も楽しんでいます。できないことは何もありません。できないと決めつけるのではなく、自分にできることをしています。
 「ものづくり」は自分で考えるから面白いです。ペットボトルとビー玉を活用した自動ドア、タンスの一部を活用した椅子など、今までに工夫して多くのものを作ってきました。「できない」と言う前に、まずはやってみることが大切だと思います。
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