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今、まちの市が楽しい
 地域でとれた、新鮮な農産物やおすすめの加工品が並ぶ「市」。生産者の顔が見えるから安心で、おいしい食べ方やこだわりを聞いたりと会話も楽しめます。「この人が作ったもの」だと思うと、親近感がわき、食べる時にいっそうおいしさも増す気がします。
 食の安全・安心の高まりもあり、今、まちの「市」が人気です。今月はその魅力を追います。
写真@本年度は市の「元気創造事業」の採択を受けて開催。地域の皆さん自身がイベントを楽しみ、絆が深まっていますA何に地元産の食材が使われているかが一目で分かる表示札(第3回から)BCふれあいも魅力D中井さんを中心に、「はなももレディース」も携わり、薬師ごぼう、丁字麩といった郷土料理など20種類から選べる「もんぺおばさん食堂」弁当E子どもたちも大活躍
下戸山マルシェ はなもも市
 下戸山地域で開催されている「はなもも市」。「こだわりの商品が揃い、家族で楽しめる」と毎回500人を超える人が訪れ、4月に開かれた第3回は今まで以上の活気にあふれました。実行委員の皆さんに話を聞きました。
地域の農産物を食べてもらえる場所を作ろう
 第1回はなもも市が開催されたのは、平成27年4月。始まりは、実行委員長である川ア俊介さんの思いからでした。平成26年、下戸山地域で新規就農した川アさんでしたが、地域内には、地元でとれた農産物を買う場所や機会がありませんでした。そこで、地域の農業委員である、中井あけみさん・牧造さん夫婦に相談。「地域の農家を応援し、農産物を食べてもらえる場所を作ろう」と協力者が集い、「はなもも市」が生まれました。
 はなもも市で使用されているのは下戸山産の米。出店するのは、下戸山地域をはじめ、市内を中心に、地産地消にこだわった店舗で、市外からも先進的な店舗が集まっています。地域で活動する団体のステージパフォーマンスなどもあり、下戸山地域に関わる人の魅力が結集されたイベントになっています。
「はなももレディース」が農業に新しい風を運ぶ
 はなもも市を盛り上げているのが、通称「はなももレディース」の皆さんのアイデアや力。そば打ち教室の開催などで地域で地産地消に取り組み、「もんぺおばさん」の愛称で親しまれている中井あけみさんを慕う若い世代が実行委員に加わり、活躍しています。
 「『はなもも市のところ』と言えば下戸山を分かってもらえるようになりました。主催者側は初めての体験ですが、小さな子どもがいても受け入れてもらえるメンバーに感謝しながら、ともに楽しんでいます」と語る、下戸山在住の鯉谷美沙子さん。
 一方、地域外に住む園田晶子さんと宮城愛さんは、「地域外の人間でも受け入れてもらえるあたたかさがある」と感じながら、はなもも市に関わっています。「ここで、いろんなことを学ばせてもらっています。最初は大変でしたが、徐々にチームワークも高まり、家族も協力してくれるようになりました」と語る園田さん。また、「地産地消をもっとPRできるように、産地を示す札を掲示したらどうか」という宮城さんのアイデアで、3回目の開催から何に地元産の食材が使われているのかが分かる札が掲げられました。
 「はなももレディース」の皆さんは「はなもも市だけでなく、農業を応援したい」と、川アさんの畑でとれたキャベツで、キャベツ料理を楽しむイベントなども開催。農業に新しい風を運んでいます。
直売所設置の実現とそれ以上に育まれる夢
 「皆さんの協力で、地域の農産物の販売拡大につながっています。3回目の開催から自治会も全面的に応援してくれています。下戸山地域には800以上の世帯があり、まだまだ潜在的な力があります。気軽に関わる地域の皆さんが増え、より広がっていけばと思います。今後、米を『はなもも米』として販売していこうかという話もあります。将来的には、定期的な下戸山朝市の開催など、直売所の設置につながっていけば」と語る川ア俊介さん。
 直売所設置に向けてはもちろんのこと、人・物・情報が集い、つながることで、下戸山地域にそれ以上の夢が育まれています。
第4回はなもも市
おいしいもん、楽しい雑貨ステキなお店が約30店
日時…11月27日(日) 10:00〜15:00
場所…下戸山地域(栗東木材資材置場)

内容…季節の農産物販売、地元メンバー有志によるステージショー、地域のおいしい食べ物屋台、ワークショップなど

問合せ…川ア TEL.090-6902-1188
田んぼの中に多くの人が集う驚き。継続できる地域の力がすごい。
 人と人のつながりから、はなもも市に関わるようになりました。栗東は都会のイメージでしたが、はなもも市の開催場所周辺は田んぼだらけ。ここに本当に人が来るのだろうかと思っていましたが、始まると、どこからともなく人が集い、そのギャップに驚きました。この立地で集客力のあるイベントを継続されている地域の活力がすごいと感じています。
 「下戸山の田んぼと琵琶湖はつながっており、琵琶湖の環境を考えてもらう機会になれば」と私がとった湖魚を実際に食べてもらう、関連イベントも一緒に開催しました。地域の水が元気だと、琵琶湖の水も元気になり、よい魚介類がとれます。皆さんの環境意識で琵琶湖をもっと元気にできればうれしいです。
 お客さんと対話し、情報を伝えながら自分自身が直接販売する「はなもも市」のような場はとても楽しいです。「あの人がとってきたもの」とイメージしながら「食べる楽しみ」を深めていただけたらと思います。

はなもも市に関わる漁師
中村 清作さん(高島市)
 市内各所で毎週開催される朝市は、「新鮮な農産物を生産者から直接買うことができ、安心!」と人気です。その一つ、「ふれあい」の名が付いた「大宝ふれあい朝市」を訪ねました。
写真@自転車や徒歩で、地域の皆さんがこの日を楽しみに訪れますA新鮮な野菜を前にお客さん同士も会話が弾みますB会計でのやり取り。生産者と消費者の交流の場。CD10月4日は、「感謝デー」と称し、生産者の田んぼでとれた、もち米でお餅つき。みんなでお餅をいただきます。年2回ある「感謝デー」を楽しみにしているお客さんも。
消費者
顔なじみの生産者だから安心 仲間とふれあう楽しい時間
集う人同士が交流 生産者・消費者の垣根を超えて
 「大宝ふれあい朝市」は毎週火曜日にJA栗東市大宝支店横で7時30分から開催されています。平成16年から始まり、大宝・大宝西・大宝東地域の生産者が丹念に育てた農作物や花などが並びます。
 朝7時過ぎ、商品が並ぶ前に、この朝市を愛する地域の皆さんが次々にやって来ます。始まるまで、生産者とお客さんが入り交じりながら、ここに集う人同士の会話に花が咲きます。
 「この日が楽しみで、朝5時には目が覚めます」「顔なじみの生産者から買えるのが何よりも安心」「ここで出会うお母さんが料理の仕方を教えてくださいます。あたたかい場所です」と語る皆さん。季節ごとに旬の野菜を求め、やって来る人も多いそうです。朝市が始まると、新鮮な野菜などを前にお客さん同士が楽しく会話。会計時も生産者とのやりとりに笑顔がはじけるこの朝市は、文字通り、地域の「ふれあい」の場になっています。
朝市が楽しみ!〜9月27日の朝市から〜
市川 武さん
 「今日は何を持って来てくれはるんやろ?」と毎週、楽しみです。ここに集う皆さんとは、自治会は違っても仲間のようなもの。おしゃべりも楽しみで、顔が見えないと心配してしまいます。
 朝市の後は、スクールガードとして子どもたちの見守りに行っています。
長谷 由紀子さん
 花も野菜も新鮮で、安いのがうれしいです。娘の家族分も含め、3軒分の買い物をしました。
 顔なじみのメンバーに会えるのも楽しみで、雨の日はカッパを着てでもここに来ます。
生産者
対面販売の朝市は信用第一 新鮮な野菜販売と地域交流を目指す
お客さんの喜びがエネルギー 教育の場でも活躍中
 朝市に並ぶ野菜は、生産者の畑から届く新鮮な野菜です。生産者の一人で、大宝朝市運営委員の会長を務めるのが、竹内喜六さん。9月27日の朝市では、朝4時にキュウリなどの野菜を自宅の畑からとり、朝市に運びました。
 「対面販売なので、信用が第一。7人のメンバーはみんな、利益優先ではなく、新鮮な野菜の販売と地域との交流に重きを置き、頑張っています。販売するのは、安全・安心にこだわり、家で食べているものと同じ野菜。人間の都合でなく、野菜の気持ちに立ちながら、大切に育てています。自然が相手なので、毎日が勉強です。朝市ではお客さんとの会話から、いろんな声が聞けます。その声に少しでも応えることができるように取り組んでいます。例えば夏でなく、9月末から10月にとれるキュウリは重宝されるため、何とか時期をずらしたキュウリができないかと勉強し、出荷につなげました。お客さんの喜びが私の頑張りにつながっています。
 また、メンバーの田んぼで大宝小学校の5年生が田植えや稲刈りを学習しており、私たちは『田んぼのおっちやん』と呼ばれています」と話してくださいました。
 大宝小学校の「田んぼの子応援団」として、子どもたちに農業の大変さや楽しさを伝えている皆さん(写真)。「栗東食育ファームの会」として、学校給食にも野菜を提供するなど、教育の場でも活躍中です。
新鮮&安心 市内の朝市
 朝どり野菜が並ぶ朝市は、農作物の鮮度も抜群です。生産者の皆さんにおいしい食べ方を教えてもらいましょう。
栗東の自然に
育まれた
農産物を
食べよう!
大宝ふれあい朝市
場所:JA栗東市大宝支店横
日時:毎週火曜日7:30〜
主催:大宝朝市運営委員会

21東坂いきいき元気村
場所:東坂地区
日時:毎週土曜日8:00〜
主催:21東坂

美之郷朝市
場所:美之郷農業倉庫前
日時:毎週日曜日6:15〜
主催:美之郷農業組合無人野菜売場
(※朝市は無人ではありません)
とれとれ朝市
場所:道の駅 アグリの郷栗東
日時:毎週水曜日8:00〜
主催:栗東市農産物出荷組合

 「市」の魅力は、生産者と消費者の距離の近さにあるのかもしれません。栗東で生産された農産物を、私たちが消費することが栗東の農業を守り・育てることにつながります。食欲の秋、まちの「市」を楽しんでみませんか。
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