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自治会
 近所付き合いをはじめとする地域のつながりが希薄になったと言われる現代。今月は地域コミュニティーの土台となる自治会を特集します。
 人口、風土、伝統などが違い、課題もさまざまな市内131の自治会。その中から6人の自治会長に話を聞きました。状況は違っても、そこには、よりよい地域をつくろうとする共通の思いと努力がありました。
伝統行事を継承する努力。3自治会が一つになり、「上砥山」をつくる。
〜上向自治会(81世帯・221人)・下向自治会(86世帯・232人)・川南自治会(270世帯・753人)〜
伝統行事「山の神」の継承が課題
 金勝学区の「上砥山」地域は、「どぶろく祭り」「田楽踊り」「山の神」など、農業と結びついた伝統行事が今も残る地域。上向自治会、下向自治会、川南自治会の3つの自治会で構成され、居住者は437世帯1206人です。
 「『上砥山』は、3つの自治会に分かれていますが、もともとは一つの地域。子ども会や老人クラブなどの組織は今も同じです。伝統行事も地域全体の行事として取り組んでいます」と語る、自治会長の青木末次さん(上向)、佐野博良さん(下向)、千代平一郎さん(川南)。
 課題になっているのが、「山の神」の継承です。400年以上続くといわれる「山の神」は、松の木をご神体に見立て、子孫繁栄や豊作を祈る行事。当番の男性4人が旧正月に7日間、共同で寝泊まりしながら、心と体を清めて修行します。
 「約150世帯の隣り合う4世帯で当番をまわしていますが、受け手がありません。昔は行事継承への責任感も大きく、地域行事に対する勤務先の理解もありましたが、今は違うようです。共同生活により隣近所の絆を深めることにもつながってきた伝統行事です。社会の変化とはいえ、どこまで簡略化するか、継承に向けて、今年、まさに岐路に立っています」と3人は語ります。
特色ある自治会運営を目指して
 現在、川南自治会では、住宅開発が進み、若い世代が多く転入してきており、上砥山地域を取り巻く状況は大きく変わってきています。
 「納涼祭や防災訓練などは自治会ごとに行っていますが、これからは、各自治会の求めるものが今以上に違ってくると思います。上砥山地域として3自治会が力を合わせて地域の伝統を守る一方で、住民の声にあわせた特色ある自治会運営ができたら」と続ける3人。
 思いを一つに、意見交換が重ねられています。

栗東駅前の60世帯。木村敬一選手の活躍でさらに絆が深まった。
〜綣七里自治会(60世帯・160人)〜
木村選手に届けた熱い声援
 大宝学区の綣七里自治会は、栗東駅前の便利な立地にあり、東に栗東芸術文化会館さきら、西に大宝神社などがあり、文化や歴史に囲まれた地域です。
 「範囲は広いですが、人口は少なく、昔から住民同士の自然な助け合いができる地域です。ボランティア活動で地域の清掃をしてくださる人もいます。小さな自治会ですが、学区民運動会では毎年入賞し、結束力はとても高いです」と語るのは、自治会長の中村良秋さん。
 昨年、結束をさらに強めた出来事が、リオデジャネイロパラリンピックの競泳競技に出場した木村敬一選手の活躍。木村選手は綣七里出身で、市民体育館で開催された、パブリックビューイングでは毎日、自治会の皆さんによるアイデアあふれる手作りの応援が繰り広げられました。
 「昔からよく知る敬一くんに声援を送ろうと、自治会館に集い、応援の練習をしてレースに備えました。4個のメダルを獲得した敬一くんの姿には住民みんなが感動し、夢をもらいました。その感謝を込め、最終レースが終わった時、だれよりも先に、自治会から感謝状をお渡ししました。大会をとおして自治会内の絆がさらに深まりました」と中村さんは振り返ります。
地域の絆を深めるために
 「ここは古き良き時代の伝統が残る地域です。例えば、家でとれた野菜や果物を近所で互いに交換するなど、『おすそわけ』の心が今も息づいています。顔と顔を合わせながら、会話し、交流を深めることはまさに地域の絆の原点だと思います。
 多様な考えを持つ人たちが交流しながら地域をつくる。自治会はその基本となる場です。今後もふれあいを大切に、住みよい地域づくりのために取り組んでいきたいです」と続ける中村さん。
 地域の絆を大切に、その絆をいっそう深めるための取組みが続いています。

東海道の歴史や文化。地域に住む人が安全・安心であるように。。
〜岡自治会(435世帯・978人)〜
隣近所の助け合い組織
 治田学区の岡自治会は、江戸時代、東海道を行き交う旅人の休憩所であった「目川立場」があった地域。「東海道ほっこりまつり」の開催など、地域の歴史や文化を積極的にいかした地域づくりが続いています。
 岡自治会には、「なんぞあったら助けてや!グループ」が結成されています。この組織は、震災発生時の迅速な対応を目的に立ち上げられたもので、隣近所の約5世帯を1グループとして家族構成などの情報を共有。グループ長も1年交代とし、隣近所の相互理解ができるようになってます。
 「昔から『向こう三軒両隣』と近所付き合いが大切にされてきたように、震災時には近所同士の助け合いが特に重要です。年に一度の避難訓練は、このグループをもとに行っています。災害時の避難に支援が必要な人が40人弱おられますので、同じグループにいる人が3人体制で助け出せるようにしています。9月の訓練では、歩行困難な避難行動要支援者を助けるため、周りがどのような手助けをしなければいけないのかを実際に車椅子を使いながら確認しました」と語る、自治会長の吉永義則さん。
 「『自治会長に何でも言って』と皆さんには伝えていて、コミュニケーションを大切に多くの声に耳を傾けています。自治会加入率は100%です」と続けます。
何でも話し合うことができる地域に
 自治会運営の規約改正などにも積極的に取り組んできた吉永さん。「他の地域から来た私たちは、岡で生まれ育ち、岡のことを大切にされている皆さんに教えていただきながら、地域づくりに取り組んでいます。『岡に住む人が安全・安心であるように』という考えが基本です。
 理想は、顔を合わせた時に手を上げ『こんにちは』が通じる地域づくりです。そうであれば、何でも話し合うことができ、課題も解決できると考えます」と思いを話してくださいました。

栗東駅前の高層マンション。コミュニケーションを深めるために努力。
〜ウイングビュー自治会(402世帯・1047人)〜
住民がふれあう機会が少ない
 大宝東学区のウイングビュー自治会は、栗東駅前にある31階建てマンションの住民で構成され、市内のマンションでは、最も世帯数が多い自治会です。
 自治会長を務めて2年目となるのが、櫟勝友さん。「マンションなので、隣近所のつきあいを避けたい方が入居される傾向が強いです。また、皆さんと顔を合わせる機会も少なく、物音などの苦情も管理組合だけでなく、私に届くこともあります」と語ります。
コミュニケーションを大切に
 自治会運営の工夫点として、櫟さんが心がけているのは、効率的な会議。各階ごとに合計30人の班長を設け、毎月会議が開催されていますが、時間は1時間未満。年度当初にすべての年間スケジュールも決めた上で、計画的に進められています。このため、高い出席率につながっています。
 櫟さんが特に重要としているのが、住民同士のコミュニケーション。「年に2回、周辺の一斉清掃をしており、約130人の参加があります。清掃が目的ではなく、まずは自治会の活動に参加いただき、皆さん同士が互いに楽しく話しをしていただけたらと思っています。そうすれば、次回に会った時に、また『こんにちは』とあいさつができます。自治会活動に参加し、交流することで自分の居場所ができると感じています。
 自治会活動は、やってみてはじめて分かることがたくさんあることから、班長も1年交代にしています。できないとおっしゃる人にも、話し合いをとおして理解していただいてきました」と続けます。
 402世帯のマンションで、自治会長としてコミュニケーションを深めるために日々努力し続ける櫟さんは最後に次のように話してくださいました。
 「もともとこのマンションを『終の棲家』にするつもりで引っ越してきました。大変なこともありますが、自治会長としての経験は自分の財産です。今、班長さんの協力に感謝しながら、自治会長をやってよかったと思っています」。
自治振興に関する問合せ
自治振興課 自治振興係 TEL.551-0290 FAX.551-0432
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