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りっとう再発見 栗東に残る日清戦争
 自然の岩壁、露岩などに造立された仏像を磨崖仏と呼びます。狛坂磨崖仏は、大津市との境界に近い金勝山のハイキングコース内にひっそりとたたずむ国指定史跡の石仏です。 随筆家・白洲正子さんの著書『かくれ里』には、白洲正子さんが狛坂磨崖仏を訪れたときの様子が綴られています。
 「磨崖仏は、聞きしに優る傑作であった。見あげるほど大きく、美しい味の花崗岩に、三尊仏が彫ってあり、小さな仏像の群れがそれをとりまいている。奈良時代か、平安初期か知らないが、こんなに迫力のある石仏は見たことがない。それに環境がいい。人里離れたしじまの中に、山全体を台座とし、その上にどっしり居坐った感じである。(略)」(引用 白洲正子『かくれ里』より)
 白洲正子さんの記述からも迫力が伝わってくるように、高さ約6m、幅4mの巨大な花崗岩の表面に高さ約3mの堂々とした阿弥陀如来坐像を中尊として、両脇に観音菩薩、勢至菩薩、その周囲に12体の仏像が彫られています。
 狛坂磨崖仏のように仏像が石から浮き上がるように彫ることを陽刻と呼び、さらに彫る厚みによって分類すると、こちらは高肉彫りと薄肉彫りの中間である半肉彫りであると言われています。
 石仏がある周辺は、平安時代に建立された狛坂寺跡です。この寺は金勝寺の別院として建立され、金勝寺とともに繁栄を極めましたが、明治時代に廃寺となりました。苔むした石垣からは、当時の名残を感じ取ることができます。
 また、栗東歴史民俗博物館には狛坂磨崖仏の複製品が設置されており、実物大の狛坂磨崖仏を眺めることができます。 
 白洲正子さんの著書『かくれ里』では、狛坂磨崖仏のほかにも金勝の里山の風景が独自の視点で描かれています。彼女の著書を片手に作品に登場する地を訪れてみると、金勝の山々の新たな表情を知ることができるかもしれません。
問合せ
商工観光労政課 観光振興係 TEL.551-0236 FAX.551-0148
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