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下鈎遺跡は、栗東市北部にある東西約1.4q、南北約1qに広がる縄文時代から江戸時代にかけての遺跡です。昨年の5月から7月に遺跡の北西部で行った発掘調査では、弥生時代から室町時代の柱穴や溝などの遺構が見つかり、たくさんの遺物が出土しました。その中で最も注目される古墳時代初頭のものとみられる大溝は、幅が4〜6mあり、遺構が見つかった地面から深さ約1.5mまで断面が椀形に掘られたものです。そこから壺、甕、鉢、高坏などの土器や、鍬、鋤、板材などの木製品が多く出土しました。出土した遺物は表面の摩滅が少ない綺麗な状態であること、また溝の埋土を観察すると激しく水が流れた痕跡がないことから、この大溝は水路のように水を流していたものではなく、水を溜めた状態で使用されていたことがわかりました。
この調査地と県道を挟んだ過去の調査地では、建物跡や溝がいくつも見つかっており、弥生時代から古墳時代にかけての集落が存在していたことがわかっています。2009年に行われた調査でも大溝が発見され、溝どうしの位置関係や出土した土器類の時期から、今回の調査で見つかった大溝の延長ではないかと考えられます。大溝は集落を囲う区画であった可能性も考えられ、下鈎遺跡における集落の在り方を考える上で貴重な発見となりました。 |
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問合せ
出土文化財センター TEL.553-3359 FAX.553-3514 |
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