○栗東市環境基本条例

平成14年12月25日

条例第37号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の策定等に係る基本方針(第10条・第11条)

第2節 環境基本計画(第12条・第13条)

第3節 環境の保全を促進する施策(第14条―第22条)

第3章 栗東市環境審議会(第23条)

第4章 雑則(第24条)

附則

栗東市は、滋賀県の南部、湖南地方に位置し、市の面積の約5割が緑豊かな森林であり、森林の持つ多くの効用の恵沢を享受してきた。水源の涵養からの豊富な山水は、金勝川水系を始め野洲川水系及び葉山川水系により北部の肥沃な穀倉地帯へと運ばれ、豊かな田園を形成しつつ琵琶湖へと到達している。また、古来より交通の要衝として栄え、歴史的、文化的な遺産と固有の風土が育まれ「緑と文化のまち」を形成してきた。

しかしながら、近年は、モータリゼイションの発達に伴い交通量が急増し、生活環境への様々な影響が現れ、また、利便性の追求による大量生産、大量消費による資源の浪費など自然や風土を含めた環境に少なからぬ負担を与え続け、その影響は地球規模の環境にまで及んでいる。今、私たちは、生態系など身近な環境に現れている様々な異常事象を警鐘として真摯に受け止め改善することを承知しなければならない。

このような環境問題を解決するためには、人と自然とが共生する環境づくりが大切であること、そして、何人も、良好な環境の下に健康で快適な生活を営む権利を有するとともに、恵み豊かな環境を次代に引き継ぐ責務を担っていることを認識し、日常生活や社会経済活動において、すべての人が公平な役割分担の下に協働かつ連携して、「環境にやさしい社会」を早期に形成する必要がある。

そのため、身近な環境の保全が地球規模の環境の保全につながることを理解して、先人たちの知恵に学び、我がまちの自然や歴史的かつ文化的な地域特性を活かした快適な環境のまちづくりを推進するとともに、市民憲章に掲げる「自然を愛し、きれいなまちをつくりましょう。」の具現化を図るため、環境優先の新しい理念の下、ここに栗東市環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について基本理念を定めるとともに、市、市民、事業者並びに通勤、通学及び観光旅行等で本市に滞在する者(以下「滞在者」という。)の責務を明らかにし、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定め、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、健全で質の高い環境を創出し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境の保全 人の活動による淡水資源の減少、地球全体の温暖化、オゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)又は悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことにより成り立っていることを認識し、この有限な環境が人の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることに鑑み、現在及び将来の世代の人々が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、人類の存続の基盤である環境が将来にわたって継承されるよう、適切に行われなければならない。

2 環境の保全は、地域における多様な生態系を健全な状態で確保し、人と自然とのふれあいを保つことにより、自然と人が共生できるよう、適切に行われなければならない。

3 環境の保全は、地球環境の保全を視野に入れ、限りある資源の消費をできる限り抑制し、また、資源の循環的利用が促進されるなど、環境の保全に関する行動をすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われることにより、健全で恵み豊かな環境を創出し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会が構築されるよう、適切に行われなければならない。

4 環境の保全は、永い年月の中で蓄積された歴史的資源及び文化的資源の発掘、保存及び活用により、自然環境と調和した歴史的景観の保全及び市民生活との融合による魅力的な町並み形成が図れるように行われるとともに、先人たちが築いた文化の所産から環境の大切さについて多くの学ぶべき事柄があることを知り、これらを行動の中に生かすことにより、適切に行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策の策定、実施及び評価をしなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、自ら率先して環境の保全に関する各種の施策を推進するとともに、市民、事業者又は滞在者の自主的な環境の保全に関する活動を支援しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全に関する自らの意識を高め、日常生活に伴う環境への負荷を少なくするよう、積極的に努力しなければならない。

2 市民は、基本理念にのっとり、地域における環境の保全に役立つように自ら努力するとともに、市が行う環境の保全に関する施策に積極的に参加し、協力しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、自らの社会的責任において、事業活動に伴う環境への負荷を少なくするため、資源、エネルギー等の有効利用を図るとともに、廃棄物の発生抑制等に努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全に役立つように自ら努力するとともに、市が行う環境の保全に関する施策に積極的に参加し、協力しなければならない。

(滞在者の責務)

第7条 滞在者は、基本理念にのっとり、市が行う環境の保全に関する施策に協力しなければならない。

(びわ湖の日)

第8条 市は、市民、事業者及び滞在者の間に広く環境の保全についての理解と認識を深めるとともに環境の保全に関する活動として、滋賀県が定めたびわ湖の日(毎年7月1日)を基準とし、地域環境の保全事業を実施するものとする。

2 市民、事業者及び滞在者は、前項の地域環境の保全事業の趣旨を理解し、積極的に参加するように努めなければならない。

(環境の状況等に関する報告)

第9条 市長は、毎年、環境の状況及び市が環境の保全に関して講じた施策を環境報告書等により公表するものとする。

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の策定等に係る基本方針

(施策の策定等に係る環境優先の理念)

第10条 市は、この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として行わなければならない。

(1) 人の健康及び生活環境が保護され、自然環境が適正に保全されるよう、水、大気、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持され、公害の未然防止が図られること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存、その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、池、河川、水辺等における自然環境が、地域の自然的又は社会的条件に応じて体系的に保全されること。

(3) 資源及びエネルギーの有効な利用と廃棄物の発生を抑制する資源循環型社会の構築に寄与されること。

(4) 人と自然との豊かなふれあいが確保され、歴史的遺産及び良好な景観が保全されること。

(広域的な環境の保全)

第11条 市は、自らが策定する施策について、市の区域のみならず、広域的な観点に立って環境の保全が図られるように努めるとともに、広域的な施策及び実施を必要とする環境の保全に関する施策については、国及び滋賀県、近隣市町その他の地方公共団体と協力して推進するものとする。

第2節 環境基本計画

(環境基本計画の策定)

第12条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、環境の保全に関する長期的な目標、施策の方向、環境への配慮のための指針その他環境の保全に関する重要事項を定めるものとする。

3 市長は、環境基本計画を策定し、又は変更する場合は、あらかじめ、その基本的な事項について、次章で定める栗東市環境審議会に諮るなど、市民の意見を反映することができるよう、必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定し、又は変更したときは、遅延なくこれを公表しなければならない。

(環境基本計画との整合等)

第13条 市長は、施策の策定及び実施に当たっては、環境基本計画との整合に努めるとともに、環境基本計画を推進するため、必要な財政上の措置を講じなければならない。

第3節 環境の保全を促進する施策

(環境の保全に係る教育及び学習の振興)

第14条 市は、市民、事業者又は滞在者が連携し、協働して環境の保全のための活動に取り組むため、理解と認識を深めることとなる教育及び学習の振興について、情報の提供、普及啓発、人材の育成等必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全に関するボランティア活動等の促進)

第15条 市は、市民、事業者又は滞在者による自発的な河川等の清掃、水質浄化活動、環境美化活動、野生生物の保護等環境の保全に関する活動が促進されるよう、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第16条 市は、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量について、市民、事業者又は滞在者が行う活動が促進されるよう、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境の影響に関する事前協議等の措置)

第17条 市は、相当の範囲にわたって環境に影響を及ぼす事業に係る構想又は計画の策定を行う者が、その策定に際し、環境の保全について適正な配慮を行うよう、環境の影響に関する事前協議等必要な措置を講ずるものとする。

(規制的措置)

第18条 市長は、公害の原因となる行為に関し、市民、事業者又は滞在者が遵守すべき基準を定める等当該行為を規制するための必要な措置を講じなければならない。

(環境の保全に関する施設の整備等)

第19条 市は、公共施設の整備又は維持管理を行うときは、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量その他環境への負荷をできる限り低減するための必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、公園、緑地等の公共施設の整備については、自然環境の健全な確保及び適正な利用を図ることにより、良好な環境を形成するための必要な措置を講ずるものとする。

(監視等の体制の整備)

第20条 市は、環境の保全に関する施策を適正に策定し、かつ、実施するため、環境の状況等の監視、測定、調査等の体制の整備に努めるものとする。

(環境研究の推進)

第21条 市は、環境の保全に関する施策を適正に策定し、かつ、実施するため、環境の保全に関する情報収集、調査研究及び技術開発を推進し、その成果を普及するものとする。

(国際的な情報交換等)

第22条 市は、地球環境の保全に資するため、国、滋賀県、大学、事業者、市民及び国際的に交流のある機関等と連携を図りつつ、国際的な情報交換、技術交流等の促進に努めるものとする。

第3章 栗東市環境審議会

(設置)

第23条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、市の区域における環境の保全に関する事項の調査及び審議を行うため、栗東市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項の調査及び審議を行う。

(1) 環境基本計画に関し、第12条第3項に規定する事項

(2) その他環境の保全に関する重要事項

3 審議会は、前項に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員20人以内をもって組織する。

5 委員は、環境の保全に関し識見を有する者のうちから市長が委嘱する。

6 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(推進体制)

第24条 市は、市の機関相互の密接な連携及び施策の調整を図り、環境の保全に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。

(施行期日)

1 この条例は、平成15年2月1日から施行する。ただし、第3章並びに附則第2項及び第3項の規定は、平成15年1月1日から施行する。

(栗東市環境保全対策委員会条例の廃止)

2 栗東市環境保全対策委員会条例(昭和56年栗東町条例第10号)は、廃止する。

(栗東市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 栗東市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年栗東町条例第24号)を次のように改正する。

〔次のよう〕略

栗東市環境基本条例

平成14年12月25日 条例第37号

(平成15年2月1日施行)

体系情報
第7編 生/第6章 環境保全
沿革情報
平成14年12月25日 条例第37号