○栗東市中小企業振興基本条例

平成24年3月26日

条例第8号

中小企業は、栗東市の発展を牽引する力であり、地域社会の重要な主体である。本市では、早くから、交通の要衝として京阪神圏及び中京圏への良好なアクセスに基づく潜在力の高さから多くの企業が立地してきた。その中でも、中小企業は、製造業を中心に本市の経済力の大きな基盤となってきた。

また、本市は交通の利便性及び豊かな自然環境等から、居住地としても多くの人々を迎え入れ、中小企業は増加する人口を支える流通及びサービスの面においても、大きな役割を果たしてきた。

中小企業は、市内の事業所の大多数を占め、地域行事への積極的な貢献等により、地域社会においても不可欠な存在となっている。

そして、少数の特定産業及び企業に依存した地域経済においては、その発展に限界があることが明らかになっている状況から、本市の発展には中小企業の振興が不可欠となっている。

今日、経済情勢の激変に対応し、かつ、環境保全型の地域づくりを推進するためには、これまでとは抜本的に異なる新しい地域経済のあり方を創造していくことが求められているが、そのために地域に根ざした中小企業が果たしうる役割には、非常に大きなものがある。この役割を発揮するためには、それぞれの中小企業が自らの経営の発展のために、新しい地域経済のあり方へ向けた抜本的な転換を推進し、地域社会を支える主体となっていくことが必要である。同時に、地域社会においても、中小企業の振興が市民生活の向上にとって不可欠であるという認識を共有し、地産地消の促進等により中小企業の経営基盤の強化に協力し、中小企業とともにより良い地域づくりを進めていくことが求められている。

そこで、中小企業を振興する上での企業、行政及び市民の役割及び関係を明確にし、互いの声をよく聴きながら施策を推進することによって、本市をより豊かで住み続けたくなるまちにしていくことを目指して、ここにこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業の振興に関し、基本理念を定め、市の役割、中小企業者等の努力すべき事項及び市民の協力について明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市の経済の発展及び市民生活の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げる中小企業者及び同条第5項に規定する小規模企業者であって、市の区域内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 中小企業団体 商工会その他の中小企業に関する団体をいう。

(3) 中小企業者等 中小企業者及び中小企業団体をいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の事業者であって、市の区域内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 社会貢献活動団体等 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第22条に規定する社会福祉法人、消費生活協同組合法(昭和23年法律第200号)第2条第1項に規定する消費生活協同組合その他法人又は団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない法人又は団体をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、経済的社会的環境の変化に対応した経営の向上及び事業の革新を目指す中小企業者の自主的な取組みを基礎として推進されなければならない。

2 中小企業の振興は、中小企業の経営の向上及び改善と地域の活性化が互いに密接な関係を有することに鑑み、住み続けたくなる地域づくりへ向けた一貫した施策として推進されなければならない。

3 中小企業の振興は、市の産業構造及び地理的条件等の特性を活かし、併せて既存の枠組みを超えた革新的な事業の可能性及び地域経済のあり方の抜本的な転換が求められていることも考慮して推進されなければならない。

4 中小企業の振興は、中小企業者等だけでなく、大企業者、市、市民及び社会貢献活動団体等の協力のもとに推進されなければならない。

(基本方針)

第4条 中小企業の振興は、前条に規定する基本理念にのっとり、中小企業者等、大企業者、市、市民及び社会貢献活動団体等が協力して、次に掲げる事項を基本として行うものとする。

(1) 中小企業者の経営の革新(中小企業基本法第2条第2項に規定する経営の革新をいう。以下同じ。)、新規起業の促進及び創造的な事業活動(同条第3項に規定する創造的な事業活動をいう。)の促進を推進すること。

(2) 中小企業者の経営の安定及び事業転換の円滑化等を図ることにより、中小企業者の経済的社会的環境の変化への適応の円滑化を促進すること。

(3) 中小企業者の事業活動に必要な人材の育成及び資金調達の円滑化を図ることにより、中小企業者の経営基盤の強化を促進すること。

(4) 中小企業者等と地域の協力・協働関係を創出し、及び強化し、住み続けたくなる地域づくりへ向けた取組みを促進すること。

(5) 中小企業に関する研究開発及び事業発展のために、産学官の連携を推進すること。

(6) 農林産物、伝統技術、自然、歴史、文化その他の地域資源を活用した事業活動を推進すること。

(7) 観光及び農商工連携の取組みを推進すること。

(8) 地産地消(地域で生産されたものを当該地域で消費し、又は利用することをいう。)を推進すること。

(9) 中小企業者の経営規模を勘案した中小企業振興施策を推進すること。

(市の役割)

第5条 市は、第3条に規定する基本理念にのっとり、中小企業の将来的展望を調査し、及び研究し、前条各号に掲げる基本方針に則した事業を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する役割を担うものとする。

2 市は、中小企業者等相互間及び中小企業者等と国、県、大学その他の関係機関と緊密な連携を図り、その協力関係の構築に努めるものとする。

3 市は、中小企業の振興及び環境保全への取組みに必要な情報の収集及び提供を図るものとする。

4 市は、行政の活動の全体における工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者の受注機会の確保を考慮するよう努めるものとする。

(中小企業者等の努力)

第6条 中小企業者は、経済的社会的環境の変化に即応するため、経営の革新、経営基盤の強化等に努めるとともに、事業活動を行うに当たっては、地域経済を牽引する力としての役割を果たすよう努めるものとする。

2 中小企業者は、自らが地域経済の基盤を形成していることを認識し、雇用環境の整備及び人材の育成に努めるものとする。

3 中小企業者は、事業活動を通じて、地域社会に参画することにより、住み続けたくなる地域づくりにおける役割を果たし、安全・安心な地域づくりに努めるものとする。

4 中小企業者は、他の中小企業者、農林業者、市民、研究機関等との交流に努め、互いの協力関係によって、一層の事業の発展を図ることに努めるものとする。

5 中小企業者は、市内において生産され、製造され又は加工される産品が積極的に購入され、並びに市内で提供される製品及びサービスが積極的に利用されるために、情報技術を活用し、顧客のニーズに応え、製品又はサービスの開発及び改善に努めるものとする。

6 中小企業団体は、事業活動を行うに当たっては、中小企業者とともに第3条に規定する基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。

7 社会貢献活動団体等は、地域において中小企業者と同様の役割を有することを理解し、前各項に準じた活動に努めるものとする。

(大企業者の努力)

第7条 大企業者は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚するとともに、中小企業者と連携した研究開発及び製品企画、中小企業団体との連携等中小企業者等への協力に努めるものとする。

2 大企業者は、中小企業の振興が市の経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、第3条に規定する基本理念に基づく市の事業及び地域の取組みに協力するよう努めるものとする。

3 大企業者は、市内において生産され、製造され又は加工される産品を積極的に取り扱うとともに、市内で提供される製品及びサービスを積極的に利用し、市内からの調達比率を高めるよう努めるものとする。

(市民の理解及び協力)

第8条 市民は、中小企業が市の経済の発展、市民生活の向上並びに地域文化の継承及び発展に重要な役割を果たしており、今後の住み続けたくなる地域づくりの推進においても不可欠の存在であることを理解し、中小企業の成長及び発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費者として、市内において生産され、製造され又は加工される産品を積極的に購入し、並びに市内で提供される製品及びサービスを積極的に利用し、市内からの購買及び利用の比率を高めるよう努めるものとする。

3 市民は、市内の中小企業者等及び社会貢献活動団体等と積極的に意見又は情報の交換を行い、第4条各号に掲げる基本方針の推進に積極的に参画すること等を通じて、中小企業者等とともに住み続けられる地域づくりを促進するよう努めるものとする。

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

栗東市中小企業振興基本条例

平成24年3月26日 条例第8号

(平成24年4月1日施行)