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障害者スポーツ
 オリンピックイヤーの平成24年(2012)は、障がいのあるアスリートに関する話題を耳にする機会が多い1年でした。ロンドンオリンピックでは「ブレードランナー」の異名を持つ両足義足のオスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)が陸上競技に出場し、マスコミでも大きく取り上げられました。
 続いて開催されたロンドンパラリンピックでは、栗東市綣出身の木村敬一選手が水泳競技100m平泳ぎで銀メダル、100mバタフライで銅メダルという大変輝かしい結果を残し、喜びに沸きました。さらに、全国障害者スポーツ大会に出場した本市在住の2人の選手も出場種目で2位、3位に入賞するなど、栗東にゆかりのある選手の活躍も目立ちました。
●障がい者スポーツの歴史
 障がいのない人とも対等に競い合えるほど競技性が高まりつつある障がい者スポーツの世界も、その起こりは、機能回復や運動療法を目的としたものでした。特に2回の世界大戦の後、主に車いすを使用するようになった人たちのリハビリテーションとして、ヨーロッパを中心にスポーツが導入されるようになり、中でもパラリンピックの生みの親である神経外科医、グットマン博士の功績は大きかったといわれています。
 博士は、ロンドン郊外の病院で脊髄損傷者の救急医療から社会復帰までの治療に全力を注ぎ、その過程にスポーツを取り入れたことが、身体機能の回復訓練のみならず心理的にも大きな効果をもたらしたとして、世界中から注目されました。その後、車いす使用者のリハビリテーション成果を競うためのスポーツ大会(国際ストークマンデビル大会)を開催するようになり、現在のパラリンピックに発展していきました。
 わが国でも、グットマン博士の業績が知られるようになり、昭和30年ごろから身体に障がいのある人へのスポーツの効果が注目され始めました。そして、昭和39年の第13回国際ストークマンデビル大会(パラリンピック東京大会)を契機に、全国身体障害者スポーツ大会の開催、障がいのある人のためのスポーツ施設の設置などが飛躍的に進められていきます。滋賀県では、障がい者用のプールなどを備えた滋賀県立障害者福祉センターが平成2年に開設され、県内の障がい者スポーツの拠点となっています。
●現在の障がい者スポーツ
 国際的な大会の最高峰は、4年に1度開催されるパラリンピック夏季大会および冬季大会です。車いす使用者のリハビリテーションがきっかけで始まったこの大会も、参加できる障がいの幅が広がるにつれ参加者のレベルが高まり、障がいのない人のスポーツ同様、競技スポーツとして捉えられるようになりつつあります。また、障がい別の国際競技団体が組織され、それぞれの団体ごとに競技大会が数多く開催されています。国内でも、障がい別、競技種目別の団体が開催する各種大会のほか、毎年秋の国民体育大会の後に全国障害者スポーツ大会が開催されています。滋賀県でもその予選会として、各種目の競技大会が開かれています。
 これらの大会では、障がいの特性に合わせて競技ごとにルールや用具の工夫があります。例えば、視覚障がい者の水泳競技では、ターンの際のけがを防ぐため、プールサイドからコーチが合図棒で選手の身体や頭を軽くたたき、ターンのタイミングを知らせることができます。また、下肢障がい者のアルペンスキー競技では、座った姿勢で滑れるチェアスキーやアウトリガー(先に小さなスキー板のついたストック)の使用が認められています。さらに、ボッチャやゴールボールなど、障がい者スポーツならではの種目もあります。
●地域でともに楽しむ時代へ
 機能回復のためのリハビリテーションから自己の限界への挑戦へと発展してきた障がい者スポーツですが、近年では社会参加という角度からも注目されるようになってきています。平成23年に施行されたスポーツ基本法には、障がい者スポーツが新たに位置づけられ、文部科学省で初めて障がい者スポーツに関する予算が組み込まれました。国のスポーツ振興基本計画の構想の中でも、障がいのある人が住んでいる地域でスポーツを楽しめるようにするための取り組みが、政策課題の一つとされています。
 今後は、障がいのある人もない人も、ともに生涯スポーツに親しめる社会の実現が期待されています。

●県内で実施されている障がい者のスポーツ大会の日程などは、広報りっとうに随時掲載しています。初心者の人が参加できる大会もありますので、ぜひご参加ください。

問合せ
社会・障がい福祉課 障がい福祉係 TEL.551-0113 FAX.553-3678
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