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すべての人が生まれながらに持っている人権を尊重する「世界人権宣言」から70年。今年は、福祉と人権の拠点施設となるひだまりの家が誕生してから15周年を迎えます。
今月の特集は「人権」。「人権尊重と部落解放をめざす市民のつどい」も開催される機会に、すべての人が幸せに生きることができるまちを考えてみませんか。
発信拠点
ふれあいをはぐくむ「ひだまりの家」
部落差別をはじめとするあらゆる差別の撤廃に向けて、2004年に開館した「ひだまりの家」。発信拠点施設として、多くのふれあいが生まれています。
地域の思いが込められた施設
「ひだまりの家」は、福祉と人権のまちづくりの発信拠点としての役割を果たす施設として大きな期待を受けて誕生しました。子どもから高齢者まで一人ひとりが幸せに生きていく権利や、すべての人が生まれながらに持っている基本的な権利が保障され、市民が人権文化を築きあげていくことを目指し、開館から15年目を迎えます。
市民と行政がパートナーとなって検討を重ね、時に深夜まで意見交換し、地域の思いが込められた施設。「太陽のような存在であるように」「暖かい日差しを受けて、幅広い世代の人が集い、いつも笑顔で楽しい時間が過ごせるところとなるように」との願いを込め、公募の中から「ひだまりの家」と名付けられました。
部落差別をはじめとするあらゆる差別の撤廃に向けて、ふれあいを大切にするコミュニティ施設として、多くの役割を保有。図書コーナー、デイサービス、老人福祉センター機能などを備えた場所となっています。
小学生対象の「こころのたいけんクラブ」
施設では、未来を担う子どもたちを対象に、さまざまな交流活動を展開。その一つが元気創造事業「こころのたいけんクラブ」です。
たいけんクラブは、人権を尊重した豊かな生き方を目指す子どもを育成するため、2014年から開始。大宝西学区の小学生が年間をとおして体験活動、ワークショップ、地域との交流活動などで人権感覚を高めています。
12月15日、本年度、4回目となる活動として地域探検が行われました。小学生と保護者13人が参加し、グループに分かれてひだまりの家や周辺地域を探検。各場所で出会った人たちから話を聞きました。心に残った話として「ひだまりの家は子どもから高齢者までだれもが楽しめるところだということ」「『いただきます』というのは生き物に命をもらっているので感謝をすること」などが参加者から発表されました。
たいけんクラブでの体験や出会いから自分のよさや素晴らしさに気付いたり、友達を大切にする心が育まれています。
就学前親子を対象に子育て支援
また、子育て支援事業「ぽかぽか広場」では、主に大宝西学区の就学前の子どもと保護者を対象に、ふれあい遊び、読み聞かせ、保健師による健康相談、人権講座などを毎月1回開催。「違う年齢の子どもたちと交流できるよい機会でした」「ここは子どもが遊べる場所も多く、また利用したい」の声が届いています。
多くの皆さんが交流を深めることでよりよい施設へと成長してきた、ひだまりの家。今後も、さらなる来館者の増加を目指し、企画展開していく予定です。
事業に関する問合せ
ひだまりの家(十里399-3) TEL.552- 1000 FAX.552-1154
親として子どもたちに地域のことを伝えていきたい
子どもの頃からの利用者 村井 純子さん(31歳・十里)
ひだまりの家がオープンした時は高校生でした。いとこが図書コーナー「ゆめのくに」を担当していたので、お手伝いしていたことを思い出します。
ここに来ると、いつも「こんにちは」「どうぞどうぞ」と、あたたかく迎えてくださいます。利用しやすく、あたたかい場所で、まるで第二の家のようだと感じています。
地元で生まれ育ち、今、結婚して5歳と3歳の子どもがいます。この施設は誰でも利用できる場所ですが、大宝西保育園のお母さんたちは知らない人も多いので、「誰でも来ていいんだよ」と誘って一緒に来ています。図書コーナーやコミュニティホールで子どもを遊ばせています。
地域には知っている人が多く、とても子育てしやすい環境です。ですが、自分の子どもの頃とは違った状況もあり、子どもたちが部落差別を受けたらどうしようという不安もあります。
差別をなくすために実践する「十里子どもを守り育てる会」で活動し、地域のつながりが深いものになっています。こういった場所で子どもたちがつながる機会が増えるといいなと思います。
子どもの頃、ひだまりの家での「解放合宿」で仲間と肝だめしをしたり、宿泊しながら悩みなどを語り合いました。プラスになることが多く、ずっと学習してきたことを、私自身が伝えていかないといけないと思っています。
子どもたちには正しい知識を持ち、部落差別だけでなく人の痛みが分かる子に育ってほしいです。親として、子どもたちに自分の立場で地域のことを伝え、問いに答えられるようにしていきたいです。
企業参画
企業参画で人権問題の解決を目指す
一人ひとりを尊重するまちを目指し、さまざまな取組みが進んでいます。市内企業で構成される「栗東市事業所人権教育推進協議会」の活動も大きな力になっています。
企業がひだまりの家の行事に参画
同和問題をはじめとしたあらゆる人権問題の早期解決を目指した各種活動に取り組む 「栗東市事業所人権教育推進協議会」は、1980年に発足。
会員事業所の人権意識の向上と事業所同士や関係機関・団体との連携をいっそう深めることを目的に活動しています。
現在の会員数は約200社。各種研修会、街頭啓発、広報紙の発行などで人権問題の解決のために取り組みを進めています。
また、協議会では、事業として、福祉と人権のまちづくりの発信拠点となるひだまりの家の行事にも参画。毎年秋に開催される大宝西ふれあい解放文化祭では、人権啓発劇、パネル展示、模擬店に関わっています。
啓発劇は、2007年から継続して開催。大宝西保育園・幼稚園職員に加わり、協議会の皆さんが出演しています。本年度の解放文化祭は、10月20日・21日に開催。魚の「スイミー」の絵本を題材に、人権尊重と部落解放を目指し、業種の枠を越えて演じられました。
地域の思いに企業が共感
協議会では、十里子どもを守り育てる会の解放合宿にも参画しています。
解放合宿は、「子どもたちの進路保障」を大きなテーマとして掲げ、これらを実現していくために、保護者や地域はどのように支えていけばよいのかを全員で考える機会としています。
参画のきっかけは、「子どもたちの進路をしっかりと保障したい」「反差別の輪をもっと広げたい」という思いに市内企業が共感したこと。2006年から企業有志による解放合宿への関わりが始まり、2008年からは事業所人権教育推進協議会の活動の一つに発展。地域と企業との交流が続いています。
本年度は7月28日に開催され、仕事についての体験談や具体的な仕事内容、人生の先輩としてのアドバイスなどを子どもたちや保護者に伝えました。
一体となり子どもたちの夢を応援
解放合宿に参加した子どもたちからは、「具体的に仕事がイメージできた」「将来の夢が膨らみ、進路を考えることができた」といった感想が聞けました。
参加企業からは、「家庭、地域、学校など多くの関係者が支援している姿が見えた」「子どもたちが自らを振り返り、自分の言葉で思いを伝えられていることはとても勇気のいることで感動した」といった声が聞けました。
これまでの解放合宿から多くの交流が生まれ、子どもたちが地元企業の話をきっかけに進路を考える貴重な時間となっています。
地域と企業が一体となり、子どもたちの成長を支援しています。
栗東市事業所人権教育推進協議会に関する問合せ
商工観光労政課 労政・就労推進係 TEL.551-0104 FAX.551-0148
あらゆる差別を撤廃するまち
本市は1991年3月に人権擁護都市宣言をしています。
「21世紀は人権の世紀」として、市では部落差別をはじめとするあらゆる差別の撤廃に向けて、互いの「違い」を認め合い、互いを尊重し助け合うという人権文化が確立された社会の実現を目指しています。
栗東市人権擁護都市宣言
人権とは人間が幸せに生きていく権利で、すべての人が生まれながらにもっている基本的な権利です。
わたくしたち栗東市民は、日本国憲法や世界人権宣言の理念にのっとり、一人ひとりの基本的人権を永久の権利として尊重し、すべての市民が平等に生きる権利を保障する。
よって、正しい人権意識の高揚に努め、不断の努力と実践により、相互の人権を擁護するため、ここに栗東市を「人権擁護都市」とすることを宣言する。
模範となれるような地域貢献活動に取り組む
三菱重工工作機械株式会社(六地蔵)
事業所人権教育推進協議会の会員として、毎年、大宝西ふれあい解放文化祭の人権啓発劇と十里子どもを守り育てる会の解放合宿に参画しています。
人とのつながり、また、事業所とのつながりの中で関わらせていただいています。
今回の啓発劇では、社員2人が参加し、本番まで5回の練習を重ね、保育士など市職員の皆さんとともに「スイミー」の絵本を題材に演じました。また、解放合宿では、自身の体験や夢を交えて、働くことや仕事についてお話ししています。
これらに加えて、本年度は「こころのたいけんクラブ」にお声かけいただき、会社紹介や企業技術を生かして、子どもたちとブーメランを作りました。
また、2015年からの3年間は、独自の企業活動として学習支援に参画。内容は毎週土曜日、午前中に約2時間、ひだまりの家で希望する地域の子どもたちに対する学習指導です。年間を通じて取り組み、教えた子どもたちが志望の学校に受かった時はとてもうれしかったです。
2016年、2017年は、子どもたちにものづくりの楽しさを感じていただけたらとの思いから、理科実験教室を開催しています。
さまざまな場面で、ひだまりの家に関わる皆さんと地域の子どもたちが垣根なく交流している姿を見ています。このような活動をとおして、若い世代の社員を育成することにもつながればと思っています。
今後も模範となれるような地域貢献活動に取り組んでいきたいです。
「輝く明日へ」 人権シリーズE
教育現場と地域をつなぐ大会
人権・同和問題解決のため、教育分野でも研究が重ねられています。「栗東市人権教育研究大会」は教育関係者を中心に47年前から毎年開催されている大会です。
学校教育と社会教育分野が交流
「栗東市人権教育研究大会」は、47回の開催を数える伝統ある研究大会です。「差別の現実に深く学び、人権・同和問題の解決を自らの生き方に重ね、鋭い人権感覚をもって、人権尊重の精神に満ちた実践的態度を育てよう」をテーマに、学校教育、社会教育などの分野で同和問題を解決することを目的に毎年8月の第1土曜日に開催しています。
参加者は、市内の保育園、幼稚園、幼児園、小学校、中学校、高等学校などの県立学校の教職員、地域の団体、市内の企業、行政職員、地域住民など約600人に及びます。
8月4日の大会では、一般社団法人 山口県人権啓発センター事務局長の川口泰司さんが「『寝た子』はネットで起こされる!?〜『部落差別解消推進法』施行と人権教育の課題〜」と題して講演。その後、20の分科会に分かれ、学校・園、行政、地域団体、事業所、PTAの実践交流が行われました。
人権を考えるきっかけに
人権問題の解消に向けて、「障がい者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」が2016年に続けて成立しました。今後もよりいっそう、学校教育分野と社会教育分野がともに協力し、交流しながら取り組んでいくことが求められています。
研究大会はどなたでも参加できますので、2019年度、ぜひご参加ください。
■第48回栗東市人権教育研究大会
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期日
…8月3日(土)
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場所
…さきら など
■第63回滋賀県人権教育研究大会
※本市で開催されます!
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期日
…
・全体会:10月19日(土)
・分科会:10月20日(日)
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場所
…
全体会:さきら
分科会:市内中学校など
また、2月23日に「人権尊重と部落解放をめざす市民のつどい」を開催します。詳細は広報折込みチラシをご覧ください。
市では、一人ひとりが尊重され、誰もが参画できるまちづくりを目指して、これまでいろいろな取組みを進めてきました。しかし、依然として部落差別をはじめとするさまざまな差別事象が起こっています。
年間を通じて、人権に関する市の事業や各自治会での地区別懇談会が開催されています。積極的に参加し、ともに思いやりにあふれるやさしいまちを築いていきましょう。
金澤翔子さんの直筆作品を展示
12月5日にさきらで開催した人権文化事業「希望の筆〜翔子パワーでみんな元気に〜」で書家の金澤翔子さんが書かれた作品「共に生きる」を市役所で特別展示します。
一文字一文字に込められた翔子さんの思いの温かさ、力強さが伝わってくる、見事な「魂の書」です。ぜひご覧ください。
●日時…2月1日(金)〜3月1日(金) 市役所開庁時間内
●場所…市役所1階ロビー
問合せ
人権教育課 TEL.551-0133 FAX.551-0149
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