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特集 空き家について考える
■増える空き家問題
 空き家を所有している、実家が空き家になりそう、自宅付近に空き家がある…

 人が住まなくなり、放置されたまま、持ち主がわからなくなった空き家は全国に多く存在し、本市も例外ではありません。
 住んでいた人が引っ越したり、亡くなったりすることで空き家は生まれてしまいます。長期間放置されると、古い建物はさらに老朽化が進み、雑草が伸びたり外壁や瓦がはがれ落ちたりするなど、近隣住民に迷惑がかかるケースも少なくありません。
 本市ではこの増える空き家問題に対し、さまざまな事業により対処しようとしています。
 
 空き家は所有者だけの問題ではなく、地域全体の問題にもなりえます。今一度、空き家について考えてみませんか。
問合せ
住宅課 住宅係 TEL.551-0347 FAX.552-7000
空き家対策の取組み強化に向けて
 本市では「栗東市空家等対策計画」および「栗東市空家等対策条例」を定め、空き家対策に取り組んでいます。空き家利活用の取組みとしては、これまで「りっとう空き家バンク(空き家マッチングサイト)」の設置や、「利活用モデル事業」の準備を進めており、今後さらに、空き家利活用の推進のため「NPO法人くらすむ滋賀」(以下くらすむ滋賀)に事業委託しています。

■くらすむ滋賀の設立
 本市では空き家対策の担い手づくりを目指し、令和元年度、国土交通省の「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」に提案し、事業採択を受けました。この事業の取組みは、「住まいの記憶史」調査や市街化調整区域における空き家対策に向けた民泊法活用などの検討、利活用希望者との交流事業などです。
 主な活動メンバーには、建築士、社会学者、デザイナー、コンサルタントなどの異なる分野の専門家が集い活動を展開し、このときのメンバーが中心となって令和2年6月にNPO法人くらすむ滋賀を設立しました。

■くらすむ滋賀の理念
 空き家問題では、相続により放置されていたり、流通できなかったりすることにより、老朽化が進み地域社会の安全を脅かす諸課題が発生しています。この対策として、問題空き家にならないように財産の活用(売却や除却)などの支援をすることが多いですが、ただ処理するだけではなく家屋の可能性を引き出し活用することも重要です。くらすむ滋賀では所有者の家屋に向けた想い入れや想い出にアプローチすることで、大切な家屋を住み継ぐ仕組みをつくっていく「住まいの記憶史」を大切にしています。所有者や関係者を対象に、暮らしや家屋への想い、建築様式に込められた暮らしの経過を聞き取り、記録していくことで、地域文化の伝承、地域社会の再発見、再評価をし、美しい家屋をこれから先の未来に継承し、活用していくことを目指しています。

■今後の本市の取組み
 空き家利活用の事業を継続していくために、りっとう空き家バンクの運営、相談業務と空き家利活用モデル事業の実施をくらすむ滋賀と連携して行っていくことで、よりいっそう所有者の想い、地域の想いに寄り添った空き家利活用施策を進めていこうと考えています。
 一方、空き家対策は利活用促進だけではなく、適正管理や管理不全空き家の解消に向けた取組みも実施していくことが求められています。多様な空き家対策に向けて、関係機関や関係団体との連携・協働を基本姿勢に、着実に空き家対策を進めていきたいと考えています。
りっとう空き家バンクとは
 栗東市で暮らしたい、お店を開きたいなどの移住・利活用を希望する双方の想いのマッチングのための仕組みをいいます。空き家や空き店舗を放置せず、地域資源として、地域のまちづくりに活用することを目指しています。
空き家対策の取組み強化に向けて

NPO法人くらすむ滋賀
事務局長 玉田遼河
■栗東市との関わり
 くらすむ滋賀で8月より事務局長として採用されました。市との関わりは今年からではなく、大学在学中の2017年から3年間、まちづくり実習として、岡地域、目川地域を中心にまちづくりに参画していました。東海道ほっこりまつりの実行委員会にも参加したことで、街道の歴史に触れ、地域に住む皆さんと出会う機会に恵まれました。また、栗東市BBS会という団体で中学生を対象とした学習支援と交流事業にも大学時代から関わらせて頂いています。卒業後もこうして市と関わる機会を得られたことを嬉しく思います。

■「住まいの記憶史」を大切にする
 本法人は美しい家屋を残していきたい、まちづくりに少しでも貢献したいという想いで始まった団体です。いかに空き家を流通に乗せるか、いかに危険な家屋を管理するかではなく、「住まいの記憶史」から改めて家屋の価値を創造し、できるだけ地域住民の想いに寄り添った上で家屋のこれからを考えていきたいという想いから、「住まいの記憶史」を重視していきたいと考えています。
 市内の活動は市と連携をとりつつ、空き家バンク、リノベーションモデル事業などに携わっていく予定です。空き家の利活用という観点から、栗東のまちがより住みやすく、より魅力的になっていくお手伝いをしていきます。

■「住み継ぐ」の在り方
 空き家利活用の推進を図っていきたいという思いを持ちつつ、一方でその手法についてはまだ模索しながら活動を進めています。家屋を引き継いでいくことの正解はひとつではありません。所有者、周りに住んでいる人それぞれで考え方や想いは異なります。取り壊さず誰かに引き取ってもらいたい人、あるいは管理は面倒くさいという人もいれば、すぐにでも取り壊して欲しい人もいると思います。
 まちづくりにおいて重要なのは、地域に住む人たちにとってどのような暮らしを守ったりつくったりしていきたいのかを丁寧に考える事だと思います。そのためにはまず今まで住んできた人の想い、これから住んでいく人の想いを丁寧に紡いでいく必要があると思っています。その上で市ならではの家屋の住み継ぎ方を模索していきたいと考えています。

■市民の皆さんへ
 これからの空き家問題にどのように付き合っていくべきか、市民の皆さんとともに考えていければと思います。その上で市への提案や、市民の皆さんへお願いすることもあると思います。そういった意味でも、市内外関わらず家屋所有者の協力が必要ですし、栗東市民の皆さんの協力も必要となってきます。現在は栗東市役所二階建設部住宅課内に事務所を置き活動をしています。皆さんの家屋に関する相談や提案など気軽にお聴かせください。
「住まいの記憶史」の調査
■「住まいの記憶史」の調査
 令和元年度の「住まいの記憶史」調査では、歴史街道近辺や中山間地域の家屋など3件を対象に行いました。家屋の基本情報だけでなく、建築工法や使用された材料などの建築の視点から家屋を読み解くとともに、刻み込まれた想い出やエピソードなど家屋所有者の生活史の聞き取りを通じて、家屋と地域、家屋と家族などの物語を掘り起こしてきました。調査メンバー一人ひとりが興味や関心があることを中心に語りを掘り下げ、多くの語りを聴いていきました。

■リーフレット「すみつぐ」
 「住まいの記憶史」は記録するだけがゴールではなく、他者にいかに分かりやすく効果的に伝えていくかに注目しています。昨年度は聞き取りの内容を言語化しつつ、手に取りやすい形を目指して、デザイナーの監修でB2版両面カラー印刷の紙媒体「すみつぐ」として形にしました。文章も読む順番や写真の配置の仕方など、楽しく読み進められる工夫を施しています。また、家屋や周りの様子、家財などの写真をちりばめつつ、家に置いてあったものを所有者のエピソードとともに紹介するコーナーや、建築士がスケッチした間取り図を載せるなど、記憶史の内容を補助する要素も盛り込んでいます。このように工夫を施しながら、今後家屋を引き継ぐ人に所有者の想い入れを感じ取ってもらい、家屋を大切に活用する意識を継承していけるようなリーフレットの作成を進めていきました。

■「住まいの記憶史」語り手募集中
 代々住み継いできた家や土地でも、数年間借りたアパートでも、住まいには想い入れと想い出があります。時代や環境の変化に応じて変わる、暮らしと住まいとの関係についていろいろな人からうかがい、「住まいの記憶史」として大切にしたいと考えています。
 なお、今年度はリーフレット「すみつぐ」の作成は行いません。

<取材内容>
 「住まい」の想い出だけでなく、お生まれから現在までの人生を伺います。
<取材方法>

●聞き手…くらすむ滋賀
理事 笠井賢紀

●方法…法人のスタッフが伺い、ウェブ通話システムで聞き手が取材。
●時間…1・5〜2時間
<公開方法>
 原則、匿名化してNPO法人くらすむ滋賀のウェブサイトと広報媒体に掲載します。
<謝礼>
 金品の謝礼はありません
 (取材時の語りのデータ・文字起こしのデータとウェブサイト掲載原稿の提供をします。)
<応募期日>

●第1期(今回)
2020年11月31日
(取材は同年10月から12月)

●第2期(予定)
2021年2月28日
(取材は同年1月から3月)

<応募条件>
@栗東市域に住まいがあるまたは、あった人
A記録と取材後の記事公開を承認いただける人
<応募方法>

●くらすむ滋賀事務局へ応募期日までにお問い合わせいただくか、二次元コードより「エントリーフォーム」にて応募。

『「住まいの記憶史」語り手エントリー』
<選定方法>
 応募から1週間以内に連絡します。日程や内容についての確認・調整の上で依頼します。

問合せ…NPO法人くらすむ滋賀
事務局 玉田(建設部 住宅課内)
メール:[email protected]
TEL.551-0347
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