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りっとう再発見 栗東に残る日清戦争
 鮮やかな朱色の門が特徴的なお寺、萬年寺は小野にあります。
 萬年寺では、黄檗宗(禅宗)独特の中国の様式が見られ、「葷酒山門に入るを許さず」と書かれた碑があります。これは、ニンニクや酒を寺に持ち込むことを禁止するという意味で、ニラやニンニクといったにおいの強い野菜は他人に影響を及ぼすとともに自分の修行の妨げになり、酒は飲むと酔っ払って自分を取り乱すものと考えられたことから、これを口にした人は清らかな寺内に入ることを許さないという禅宗の教えです。
 また、まんが日本昔ばなしの「万年寺の御好し狸」は萬年寺が舞台になっていると言われています。
 「栗東の民話」にも掲載されているこのお話を紹介します。

――あるところに寅さんという若い大工が住んでいました。寅さんはお酒が好きで、酔っ払うと家に帰る途中の道で眠ってしまう癖がありました。やがて寒い季節がやってきました。その日、寅さんはお酒に酔って萬年寺の石碑の前で眠り込んでしまいました。凍えるような寒さの中で眠り続ける寅さんのもとに、親切なタヌキがやって来て、「こんなところで寝ていては凍え死んでしまいますよ」と起こしてくれました。そしてタヌキは暗闇の中、寅さん家まで連れて帰ってくれたのです。次の日、雪で萬年寺の周辺は銀世界となりました。もしあのまま眠り続けていたらと思うと怖くなって、寅さんはこの日を境に、一滴のお酒も飲まなくなりました。それからもタヌキは、酒を飲んで萬年寺で眠っている人を起こしては家に送り届けていました。このことから村人たちは、この親切なタヌキのことを"お好しタヌキ"と呼ぶようになったと言われています。――

 栗東には、萬年寺のように民話に登場する風景が現在にも残っているところがあります。
 民話の中で語られた栗東の情景を想像すると、過去から現在に引き継がれる物語が教えてくれることに気づくことができるかもしれません。

■写真
上 :朱色が目を引く山門
右下:屋根の上には火焔宝珠をはじめ特徴的な装飾品が並ぶ
左下:「葷酒山門に入るを許さず」の碑
問合せ
商工観光労政課 観光振興係 TEL.551-0236 FAX.551-0148
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