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りっとう再発見 栗東に残る日清戦争
 お正月が過ぎると、市内では地域ごとにその構成員が一堂に会する行事が行われます。地域の初寄りや総寄りの行事ですが、一部の地域ではこの行事を"ギミジル"とよびならわしています。
 ギミジルは漢字で「吟味汁」と記し、ギミジルの場ではその地域の一年の行事やそれにかかる予算などについて議論がなされます。また、その場の参加者全員でシルを食べます。吟味(議論)してシルを食べるから、吟味汁なのです。
 地域によってギミジルはさまざまで、大字十里では粕汁が、大字下鈎ではスルメの出汁で炊いた鯨汁が食べられていました。
 本市の北西に位置する大字小平井でも、2月に入るとギミジルが行われます。小平井のギミジルでも特徴的なシルが用意されます。味噌仕立てのかぶらのシルです。ギミジルの準備は一年ごとに決められる当番が行います。この日、朝から当番が炊いて準備したかぶら汁を参加者はそれぞれの家から持ってきた椀で、これまた家から用意したごはんとともにいただきます。
 小平井ではギミジルのほかにも、行事の度にバリエーション豊かなシルが食べられていました。春のお彼岸にはかぶらと小芋の"オコウジル(お講汁)"、お盆には豆腐の入った"ボンジル(盆汁)"、秋のお彼岸には茄子の入ったオコウジルを、地域の檀那寺、浄覚寺に集まり食べていました。特に春のお彼岸のオコウジルはユニークで、乾燥させたかぶらが用いられました。一度脱水状態になったかぶらには芯まで味噌仕立ての汁がしみ込み、炊き上がるとつやつやのあめ色になって独特の風味や食感があるといいます。オコウジルにも当番があり、当番にあたった家の軒先にはかぶらの収穫が始まる晩秋から、葉っぱの上を結わえて物干しに下げられたかぶら"ツリカブラ(釣かぶら)"がずらりと並んでいたといいます。
 特徴的なシルを伴う行事が行われていた小平井について、栗東歴史民俗博物館では、3月12日(土)から開催する小地域展「小平井の歴史と文化」で紹介します。展覧会では失われた古代寺院の小平井廃寺や、隣接する草津市平井町とともに、「大平井」「小平井」と並び称された小平井の歴史についても紹介します。
※小地域展「小平井の歴史と文化」についてはこちらをご覧ください
※現在は行事にともなうシルは食されていません
問合せ
栗東歴史民俗博物館 TEL.554-2733 FAX.554-2755
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