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りっとう再発見 栗東に残る日清戦争
 昨年11月、小杖祭りの祭礼芸能を含む"近江湖南のサンヤレ踊り"など、全国の風流踊41件がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
 "近江湖南のサンヤレ踊り"には"草津のサンヤレ踊り"と"小杖祭りの祭礼芸能"が含まれており、栗東市域で行われているのが"小杖祭りの祭礼芸能"です。"草津のサンヤレ踊り"には"サンヤレ"という囃し言葉が入ることが特徴です。小杖祭りの祭礼芸能には"サンヤレ"の囃し言葉こそありませんが、人目を惹く派手な衣装や趣向で踊りを踊ること、太鼓受け、太鼓打ちが跳ね踊ることなど、草津のサンヤレ踊りと共通する点があり、"近江湖南のサンヤレ踊り"のひとまとまりで登録されました。
 栗東市域には"サンヤレ"の囃し言葉がつく踊りを伴う祭礼が他にもあることをご存じでしょうか。餅搗き祭りとして知られる出庭神社の祭礼では、派手な踊りこそありませんが、神社からの渡御行列に、華やかな衣装を着けた男児が"サンヤレ"の囃し言葉のもと、太鼓を叩いて従います。大宝神社の祭礼では、江戸時代に"供踊り"などと呼ばれる踊りが祭礼行列のなかで踊られていました。残念ながら、明治初期から数度の断絶があり、昭和7年(1933)からは長期間断絶したため、往事の踊りの詳細はよく分かりませんが、残っている史料や道具類などから、人目を惹く衣装を着けた太鼓打ちと太鼓受けが"サンヤレ"の囃し言葉のもと踊っていたことが分かっています。大宝神社の供踊りもまた、草津のサンヤレ踊りや小杖祭りの祭礼芸能と共通点の多い風流踊だったのでしょう。江戸時代の記録からは、祭礼行列やこの供踊りを一目見ようとする周辺の村々から見物客が押しかけ、祭礼行列が歩みを進める辻々や大宝神社境内に桟敷席が設けられるほど、人気のパフォーマンスであったことが分かっています。供踊りを担う村では踊りをもりあげるために引山(曳山)まで作ってしまう年もあったようです。大宝神社の供踊りや小杖祭りの祭礼芸能、出庭神社の太鼓打ちなどは、その派手な衣装や所作から、見物客を日常の「ケの世界」からキラキラした「ハレの世界」へいざなってくれる仕掛けであったことは間違いありません。
 栗東歴史民俗博物館では、ユネスコ無形文化遺産登録を記念して、「小杖祭りの祭礼芸能−栗東の風流踊−」展を5月27日(土)から7月17日(祝)まで開催します。詳しくはこちらをご覧ください。

※大宝神社の供踊りは大宝神社のサンヤレ踊りとして草津のサンヤレ踊りを参考に、平成28年に復興されました

問合せ
栗東歴史民俗博物館 TEL.554-2733 FAX.554-2755
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