令和5年度施政方針

更新日:2023年03月24日

はじめに

令和5年第1回栗東市議会定例会の開会にあたり、施政に関する方針を申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症も発生から3年が経過し、国の昨今の動向を踏まえ、徐々にではありますが、ウィズコロナを踏まえた日常を乗り越え、その先を見据えることが必要になってきていると認識しています。
こうした中、昨年11月に市長に就任して以降、3か月が経過し、現時点ではまだ、手探り感が否めませんが、少しずつ人も仕事も幅広く見渡せるようになってきたと感じています。外部から見ていたのとは違った景色も見えますが、粉骨砕身の決意で日々の職務、市政運営に邁進しています。今後も市民皆様が栗東で安心して暮らせる誇れるまちづくりに向け、全力を傾注してまいりますので、引き続き皆様のご協力をお願いいたします。
さて、内閣府による令和5年1月の月例経済報告では、「景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」とされ、世界的な金融引き締め等が続く中、「海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている」ことに加え、「物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある」と述べています。
本市におきましても、新型コロナウイルス感染症による経済回復の遅れに不確定要素を抱えながら、「第六次総合計画」をはじめ各種計画を進める観点から、本市にしかない地域資源や魅力を活かしたより一層の施策展開を図りつつ、引き続き厳しい財政状況の中での予算編成を行ったところです。
令和5年度においては、「積極的に先を見据えた新たな時代の栗東(まち)づくり」となるよう、市長1期目が本格的に始まる中において、全身全霊で何事にも果敢にチャレンジしてまいります。
それでは、「第六次総合計画」において、まちづくりの基本目標として掲げている「五つのまちの姿」に沿って、実施する施策方針を申し述べます。

 

施政方針

1.経済活動が活発で、多様な就労環境があるまちへ

地元の産業・企業の活性化は、まちの元気の源との考えから、地域の宝を活かし、市民の憩いの場を創出しつつ、交流人口倍増に挑戦します。
持続可能なまちづくりを継続するためには、地域経済活性化による税収や雇用を確保・創出するとともに、地域内の経済の好循環をつくることが重要です。
本市では、交通の要衝という地理的優位性を活かし、多くの企業が立地創業し、地域経済発展の一翼を担っていただいています。地域経済の発展と市の発展は一体不可分のものであることから、トップセールスによる新たな企業立地や市内企業の継続操業など、地域経済振興と新たな税収確保に向けた取り組みをより一層進めていきます。
東部開発については、地方創生道整備推進交付金を活用した東部六地蔵東西線の道路整備、そして、工業用水道設備の整備促進により、東部地区における新たな産業用地の整備促進を図ります。
ホースパークと位置付ける栗東健康運動公園については、本市の特色である「馬」を活かしながら、市内外の人々が多様な交流や日常的な憩いを楽しめる公園整備に向け、引き続き取り組みを進めていきます。
市内の中小企業・小規模事業者にあっては、コロナ禍の長期化や物価高の影響により、厳しい経営環境に置かれています。引き続き、中小企業・小規模事業者の経営の継続と安定化に向けた支援のため、滋賀県セーフティネット資金への利子補給や小規模事業者持続化補助金の市独自上乗せ制度などを継続して実施します。
また、栗東市商工会や関係機関と連携を図りながら、事業者に寄り添った経営発達支援や創業支援など、市内商工業の発展のために取り組みます。
労政・就労については、就労支援計画に基づき就職氷河期世代を含む就職困難者等への就労促進を図るべく、求職者の能力開発への支援のほか、就労体験等の受け入れに協力いただける事業者の開拓を進めるなど、就労と安定雇用に向け取り組みます。また、女性活躍を推進するため、関係団体等と連携し、デジタルの活用も視野に入れた中で、就労支援のためのセミナーなどを開催します。
さらに、市内中小企業者における人材確保を目的に、引き続き、市内企業の魅力情報発信を継続するとともに、高齢者の働く意欲と社会参加の推進を図るため、栗東市シルバー人材センターの事業運営を支援します。
農業施策については、農業振興基本計画の推進として、チャレンジプロジェクトに位置付ける「野菜教室」を引き続き実施し、「うますぎる栗東農産物」特産物品認証制度に基づく認証登録を推進します。また、令和5年度は、農業委員会で作成した「目標地図」の素案に基づき、集落ごとに取りまとめた「地域計画」の策定およびその支援を行うとともに、農地情報のデジタル化を推進していきます。
地域農業の中心となるべき認定農業者や認定新規就農者、集落営農組織などの担い手育成・支援としての農業振興機械整備補助や都市近郊型農業である園芸施設整備への助成を引き続き実施する中で、収益性の高い農業経営の実現に取り組みます。
林業については、造林育林事業に対する支援や森林環境学習事業、また、森林環境譲与税を活用し、森林所有者意向調査そして森林境界明確化推進事業を引き続き実施します。また、地方創生道整備推進交付金を活用し、林道における橋梁の長寿命化に着手します。
こんぜの里周辺施設のあり方検討の一環としては、民活導入の可能性を探るべく市場調査等を実施します。
獣被害防止対策については、有害鳥獣駆除に取り組み、獣害に強い集落整備ならびに農林業への被害防止に引き続き努めます。
六地蔵地区の圃場整備については、引き続き埋蔵文化財調査や整備工事に対する事業負担を行います。また、土地改良区の運営支援および農業水利施設の改修や水路等の長寿命化事業への負担を行います。
観光施策については、観光振興ビジョンに基づき、同ビジョンの運営組織を担う栗東市観光協会への事業運営支援のほか、コロナ禍を踏まえたこれからの観光需要の動向等の把握と、次期計画策定の基礎資料を得ることを目的に、観光ニーズ等の調査を実施します。
また、国の新型コロナウイルス感染症対策の抜本的見直しに対応し、これまで停滞を余儀なくされた誘客事業の回復と推進を念頭に、民間事業者との包括連携協定の活用はもとより、観光情報の発信に積極的に取り組んでいきます。
新幹線新駅中止後のまちづくり基本構想(後継プラン)については、残る基盤施設整備を着実に進めるとともに、引き続き県市一丸となって当該プランの推進にあたります。

2.自己肯定感が高く、笑顔にあふれた子どもを育むまちへ

子どもは地域の宝、子育てするなら栗東でとの考えから、まちの元気の源泉である子どもを産み育てたいと思えるまちづくりを進めます。
本市の人口は早くもピークアウトの傾向を示し、年少人口も減少しています。若者や子育て世帯が安心して住むことができ、まちの活力を継承する人口構造を維持していくためには、将来世代にわたる定住の魅力を維持・創出していくことが重要です。そのためにも、人口流出の要因を探り、対策を講じていくことが必要です。
令和5年4月にこども家庭庁が創設されることも踏まえ、切れ目のない子育て支援に主眼を置きながら、各種施策の実施に取り組みます。
国の施策である幼児教育・保育の無償化のもと、令和5年度においても、引き続き第2期子ども・子育て支援事業計画に基づき、安心して子育てができる施策を財政状況とのバランスを見ながら積極的に進めていきます。また、第3期子ども・子育て支援事業計画の策定に着手します。
増加・多様化する保育需要への対応としては、特別支援教育アドバイザーを配置するとともに、医療的ケア対応の拡充、本市で第1号となる私立認定こども園への移行に伴う支援に加え、その他私立保育所等への運営助成の充実、受け皿となる保育施設の維持、保育士の確保策などにより、喫緊の課題である待機児童解消を目指します。
私立保育所等への運営助成では、延長保育事業をはじめ、低年齢児保育事業や保育体制強化事業、保育士宿舎借り上げ支援事業や新規保育士雇用促進事業を引き続き実施します。また、私立保育施設運営事業支援を新たに実施します。
また、保育士の確保策では、就労ニーズを踏まえた多様な勤務条件や経験に応じた報酬体系を引き続き設定するとともに、潜在保育士の再就職支援事業や保育士奨学金返還支援事業を継続実施するなど、保育職場への一層の人材確保を図ります。
公立幼稚園では、令和5年3月をもって閉園する大宝幼稚園分園の解体工事を実施します。
学童保育については、4月から2か所の民設学童保育所が開所することを踏まえ、これまでと同様に児童への適切な遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図るため、円滑な事業運営や施設改修に努めるとともに、学童指導員の処遇改善についても引き続き実施します。また、増加する学童保育ニーズに対応するため、新たに4か所の民設学童保育所の整備を促進します。
子育てに関する福祉医療費については、小学校就学前までの医療費無料化等の継続に加えて、小学1年生から6年生までの通院・入院医療費および中学生の入院医療費の助成を引き続き実施します。
子育て支援の拠点となる地域子育て支援センターを中心とした児童館では、施設改修を行いながら、引き続き子育てサポートの充実に努めます。
また、こども家庭センターを新たに設置し、これまでの家庭児童相談業務や母子保健業務を一体的に実施する中で、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の充実に努めます。
母子保健の取り組みに関しては、これまでの妊婦健康診査に加え、産婦健康診査の実施や妊婦等サロン開催に新たに取り組みます。また、3歳6か月健康診査では、弱視の早期発見につながる屈折検査機器を導入するとともに、乳幼児健診の未受診者や未就園児、不就学の子どもへの訪宅による安否確認を、継続して実施します。
出産・子育て応援給付金の引き続きの給付と合わせた伴走型相談支援の一環では、こんにちは赤ちゃん訪問をはじめとする相談支援や母子手帳アプリを活用した情報提供など支援拡充に取り組むとともに、給付金の拡充(事業)として、赤ちゃんのおむつ費用の助成やふたごやみつごを養育している世帯に対する出産・就学支援を新たに実施します。
さらに、保護者の子育てと就労の両立を支援し、児童の健全育成につなげることを目的とする病後児保育事業や子育て支援短期利用事業等についても、制度周知に努めながら継続して実施します。
発達障がいやその疑いのある子どもと家族へのケアについては、新たに計画相談員を配置し、支援の充実を図ります。さらに、青年期における発達障がいやその二次障がいなどにより、社会的孤立のリスクがある子ども、若者に対して、居場所提供や訪宅による支援を引き続き実施する中で、「切れ目のない発達支援」の実現を目指します。
次に、一人ひとりの児童・生徒が輝ける魅力ある学校づくりや学校教育の充実については、地域の実態に即した教育環境の基盤づくりを引き続き進めます。
学校給食では、新鮮でおいしく、環境こだわり米など安全・安心な地元産農産物の活用を地元JA等との連携のもと継続して進めるとともに、週5日制の学校給食を9月からを目途に実施していきます。
また、第四次食育推進計画の策定に着手します。
学校施設の整備については、治田小学校の児童増に対応した増築に向けた準備に着手するとともに、2か年目となる大宝西小学校の大規模改造工事の実施や栗東西中学校の大規模改造事業および葉山中学校のグラウンド改修の実施設計、栗東中学校の照明のLED化対応を実施し、子どもたちが快適な学校生活を過ごせるよう対策を講じていきます。
また、「子育て教育Nextプロジェクト」を引き続き実施する中で、子どもたちの非認知能力を上げるとともに、併せて教師力の強化を目指します。
小中学校でのICT化推進では、児童・生徒に1人1台配備したタブレット端末の利活用により、学習意欲が高まる授業づくりを引き続き推進するため、専門に担当する人員を配置しながら、児童・生徒の活用をより一層進めます。

3.健康維持に向けた取り組みが進み、地域共生が実現しているまちへ

スポーツの推進と予防医療でいきいきと生活できる健康なまちづくりにつなげます。
全国に比べるとやや穏やかなものの、本市においても高齢化が確実に進展している中で、だれもが健康で安心して暮らしていけるよう、社会保障や福祉に関する施策、健康に関する施策を「栗東はつらつ100歳条例」の理念のもとに、しっかりと進めていくとともにスポーツ人口を増加させることや予防医療をさらに促進させることが重要です。
スポーツ振興では、「第2期スポーツ推進計画」に基づき、それぞれの体力や年齢、目的に応じてスポーツを楽しむことで、健康増進にもつながる生涯スポーツ社会の実現を目指し、学校施設の開放事業や栗東市スポーツ協会、スポーツ推進委員と連携し、各種スポーツ大会の開催、生涯スポーツの振興などに引き続き取り組むとともに、関係機関と協力しながらスポーツ人口の増加についても取り組みます。また、野洲川運動公園陸上競技場の第4種公認の更新手続きを行います。
令和7年に滋賀県での開催が予定されている第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会に向けた準備については、庁内の推進体制を整備し、競技会場等の設計を行うとともに、開催県の視察や国スポ実行委員会の活動を引き続き行うことにより準備をさらに加速させます。
健康にかかる施策は、「第2次健康りっとう21」に基づき、健康づくりを実践していくことで、一人ひとりが自分らしく、いきいきと生活できる健康のまちづくりを進めるとともに、「第3次健康りっとう21」を策定します。また、健康づくりに関する包括連携協定に基づく事業実施を継続するとともに、令和5年度から、新たに予防歯科の取り組みを行います。
高齢者福祉については、「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の策定を行うとともに、高齢者の安心を支え合い、ともに元気に暮らせるまちづくりの実現に向けて、地域共生社会を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進を図るための施策を展開します。
介護予防につながる事業では、栗東100歳大学の開催や介護支援ボランティア制度を拡充することなどにより、健康と生きがいづくりの具現化につなげます。
日常生活圏域に設置した地域包括支援センターでは、高齢者等の身近な相談支援等を行い、地域包括ケア推進の中心的役割を果たします。また介護事業所間でのケアプランデータ連携システムの利用促進により、介護職員の負担軽減、業務の効率化を進め、認定調査においてはデジタル機器の導入により、介護認定の需要見込みの増加や職員の事務負担軽減の対応につなげます。併せて、地域密着型介護老人福祉施設の整備助成を行うとともに、利用者の利便性向上のため、葉山圏域の地域包括支援センターの移設準備に着手します。
障がい福祉では、「第7期障がい福祉計画」および「第3期障がい児福祉計画」の策定を行うとともに、障がいのある人がより社会参加しやすい事業の実施と併せ、総合的な相談体制の充実を図り、自立支援給付事業等の適正な実施に努めます。
また、「手話言語条例」および「市民をつなぐ情報・コミュニケーション条例」を踏まえた施策推進としては、専任手話通訳者設置や手話奉仕員養成講座、意思疎通支援者の登録制度に基づく派遣などを引き続き実施します。
重度の障がいがある人に対する支援としては、障がい福祉サービス事業所家賃補助事業や医療的ケアの必要な児童・生徒の通学にかかる保護者負担軽減のための支援事業、重度障がい者大学等修学支援事業などを引き続き実施します。
障がい福祉サービス施設の整備については、重度知的障がい者グループホームの施設整備助成を行い、令和6年度の開所を目指します。
また、障がい福祉サービス事業者や介護サービス事業者に対する新型コロナウイルス感染症対策の費用助成については、引き続き実施し、コロナ禍において利用者が安心してサービスを利用できる環境整備に努めます。
ひとり親家庭に対しては、経済的な自立を目的として、高等職業訓練など母子家庭自立支援等給付金事業等により引き続き支援します。
社会福祉施策については、「第4期地域福祉計画」に基づき、高齢者・障がい者・児童等の福祉に関する個別計画との整合を図りながら、関係機関との連携・協働を深め、地域福祉の推進を図ります。また、分野を超えた重層的支援体制の構築に向けた取り組みを加速させます。
生活困窮者に対しては、住居確保給付金の支給を継続するとともに、自立相談支援や家計改善支援、子どもの学習・生活支援、就労準備支援を継続しながら、生活困窮者の自立につながるよう引き続き包括的な支援を実施していきます。また、生活保護の関係では、医療費扶助のオンライン化のためのシステム改修を行い、マイナンバーカードを活用した業務の効率化を進めます。
また、先が見通せない社会経済情勢等様々な要因で追い詰められ、市民の皆様が命を絶つことのないよう、自殺対策についても相談支援を引き続き実施するとともに、「第2期自殺対策計画」を策定します。
地域医療については、地域中核病院である済生会滋賀県病院への支援を行うとともに、湖南圏域の救急医療体制を維持するために、休日急病診療所、二次救急、小児救急の運営負担金を支出し、市民の皆様に休日・夜間を問わない医療の安心を提供します。
予防接種事業では、乳幼児から高齢者までの様々な感染症の予防を図るため、その啓発と接種率向上に努めます。また、令和5年度から、ヒトパピローマウイルスワクチンがこれまでの2価・4価に加えて9価も対象になります。
新型コロナウイルスワクチンの予防接種については、国の動向を注視しながら、集団接種や個別接種等により引き続き実施する方向で進めます。
検診(健診)事業では、肺がん・結核健診をこれまで集団検診のみだったものを一部医療機関に委託し実施することで、受診機会の拡充につなげ、一層の受診率向上に努めます。高齢者の保健事業と介護予防の一体的な取り組みとしては、健診・医療や介護サービス等の利用がないと思われる健康状態が不明な高齢者の状況の把握や多剤併用者のデータ確認などを実施し、必要な支援につなげます。加えて、がん患者支援のアピアランスサポート助成および骨髄ドナー支援を引き続き実施します。
また、市役所やコミュニティセンターの男性トイレにサニタリーボックスを設置し、誰にもやさしいまちづくりを進めます。
国民健康保険においては、国民健康保険税の徴収努力や特定健診受診率向上等の保健事業について、「第2期国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)」に基づき、引き続き様々な保健事業に取り組むとともに、「第3期国民健康保険保健事業実施計画(データヘルス計画)」を策定します。

4.多様性を認め合い、快適で安全に暮らし続けられるまちへ

コロナ禍を経験した普遍的価値の精査・新しい価値の創造や、市民の生命と財産を守る実効性のある防災体制の確立を目指します。
大規模な自然災害や社会問題の複雑多様化、新型コロナウイルス感染症の長期化など、暮らしを取り巻く環境が大きく変化するとともに、安全・安心を重視する市民皆様の意識・期待の高まりに対応することが重要です。そのためにも、新しい価値を創造しながら、これまでの価値観を不易流行の視点で見直すことが必要です。
新型コロナウイルス感染症への対応については、国の動向を踏まえた中で、エビデンスに基づく情報提供と対応を実施しながら、市民の皆様に「安全・安心」を実感いただけるよう引き続き努めていきます。
風水害や地震災害など、自然災害への対応において、万全の対策を講じるため、市民と行政が一体となった仕組みをつくることは、市の大きな責務です。そのことから、「自助」「共助」「公助」による地域での防災活動を進め、安全・安心なまちづくりを進めるため、各学区で作成いただく地区防災計画の冊子を作成・配布するとともに、引き続き各学区防災士会を支援していきます。
災害発生時においては、危機管理センターを拠点に災害対策を展開し、平常時においてもソフト・ハードの両面から、地域防災計画や国民保護計画、業務継続計画に沿った万全の備えを行います。
また、防災体制の確保については、消防団や災害対策本部をはじめ災害時に各所で必要になる資機材や装備品の整備、防災倉庫および備蓄品の更新を年次的に進めます。また、外国語版の防災総合マップの活用を行うなど、実効性のある防災体制の確立を目指します。
防災重点農業用ため池については、農業用ため池としての必要性や整備方針等の検討を行うため、これまで実施してきた諸元調査ならびに耐震調査結果を踏まえ、3年かけて事業計画を作成し、県事業の実施につなげます。
また、令和5年度から新たに上砥山地区の急傾斜地崩壊対策事業に着手するとともに、地籍調査の再開に向けた諸準備を行っていきます。
防犯については、市民一人ひとりが防犯意識を持ち、協力して地域の防犯力を高め、安全・安心のまちを実現していくため、防犯指導員の配置や自主防犯活動団体の活動支援、防犯灯のLED化や新設、防犯カメラの設置補助などを引き続き行います。また、令和4年9月に協定締結した「おうみ犯罪被害者支援センター」による相談支援窓口を設置し、犯罪被害者の支援に努めます。
消費者を取り巻く環境においては、若者から高齢者までの幅広い年齢層をターゲットとして、インターネットの利用に伴うトラブルなど、悪質巧妙な手口による消費者トラブル被害が発生しています。本市では、今後も消費生活相談窓口を開設し、専門の相談員による相談対応や適切な助言、啓発活動など、消費者保護を行っていきます。
日本国憲法においては、「すべての国民が基本的人権を享有し、法の下の平等」が保障されています。「部落差別の解消の推進に関する法律」などの法律が定められた意義を踏まえ、部落差別問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に向けて、「人権擁護都市宣言」や「人権擁護に関する条例」の具現化策として、第五次輝く未来計画や第二次人権擁護計画に基づき、差別のない人権が尊重されたまちづくりを進めます。その一環として、教育実態調査の事前準備を行います。「じんけんセミナー」や「人権文化事業」といった講演会などを通じて、一人ひとりの人権意識の普及・高揚に努め、関係団体・市民と連携した啓発活動や人権侵害防止の情報発信に引き続き取り組みます。また、すべての企業が、自らの課題として自主的な取り組みがなされるよう、事業所人権教育推進協議会と連携した教育啓発活動も引き続き進めていきます。
ひだまりの家では、福祉の向上や人権啓発のための住民交流の拠点として、生活上の課題の解決に向けた地域福祉の推進や様々な人権課題の解決のための各種事業を展開していきます。
多文化共生の推進については、栗東国際交流協会の協力のもと、国籍や民族などの異なる人々が、ともに理解・協力し合えるよう、住み良い地域環境および交流の場づくりを進めます。
男女共同参画の推進については、「男女共同参画都市宣言」のもと、ひとが輝くパートナープラン(男女共同参画プラン第6版)に基づき、性別に関わりなく、誰もが多様な選択を可能にし、個性と能力が十分に発揮できる公正で多様性に富んだ男女共同参画の社会づくりに取り組んでいきます。また、コロナ禍を踏まえた生理の貧困対策にも引き続き取り組みます。
道路交通網の整備については、国が施行する国道1号栗東水口道路並びに国道8号野洲栗東バイパス、県が施行する山手幹線や栗東信楽線などを各施行者と連携しながら、広域幹線道路の整備を促進します。さらには、市の補助幹線道路の着実な整備をすることにより、道路ネットワークの構築に引き続き努めます。
大門野尻線の整備については、引き続き守山市とともに行います。
また、出庭林線や上砥山2号幹線他1線の整備については、地方創生道整備推進交付金を活用しながら引き続き実施し、青地新田坊袋線(国一坊袋岡線)や安養寺下戸山線などの整備や舗装修繕計画に基づく舗装修繕といった取り組みについても、引き続き実施します。
さらに、橋梁や歩道橋の点検を年次的に実施し、安全性の確保と道路ストックの長寿命化を図るとともに、河川堆積土砂管理計画に基づく河川の浚渫を引き続き実施します。
河川整備では、金勝川・葉山川の平地化、中ノ井川ショートカット事業で着実な工事進捗が見られますが、第二期滋賀県河川整備五カ年計画に基づき、実施区間の確実な完了と併せ、更に上流区間への計画的な事業促進を引き続き求めていきます。
交通安全施策については、第11次交通安全計画を推進するため、あらゆる機会を通じて市民の交通安全意識の高揚を図るとともに、関係機関、団体と連携しながら交通マナーの向上につながる効果的な交通安全教育等を推進します。
また、幼児、児童、生徒、高齢者等いわゆる交通弱者の安全対策面では、交通安全施設の整備ならびに通学路のカラー舗装、横断歩道の強調表示、ゾーン30の取り組みなど、引き続き安全対策を実施します。
くりちゃんバスについては、順次車両の更新を行うとともに、フォローアップ調査から得たデータを分析することで引き続き利用実態等の把握を行い、今後の運行に活用していきます。また、令和5年度は、法定協議会により地域公共交通計画を策定し、今後の地域公共交通の在り方を示すとともに、栗東駅自由通路や手原駅前駐輪場の老朽化対応を実施していきます。
住宅に関しては、公営住宅等長寿命化計画に基づき、年次的に公営住宅の改修工事を進めます。また、日々の営繕を実施し、適正な募集・入居に努めます。また、令和5年度は、マンション管理適正化法に基づく民間分譲マンションの実態調査を実施します。
空家等の対策については、総合的かつ計画的に進めるため、空家バンクの運用や子育て・若年世帯を対象にした空家改修助成、空家除却費助成を引き続き実施します。
また、昭和56年以前に建築された木造住宅の耐震化を図るため、無料耐震診断・相談や耐震改修等への助成を通じて、地震被害の被災抑止に取り組みます。加えて、危険ブロック塀等対策への啓発・助成に引き続き取り組みます。
上水道については、「安全・安心な栗東のおいしい水」を安定的に供給するため、健全な企業経営に努めています。
自己水の確保と安定供給を図るため、「災害に強いライフラインの構築」への取り組みを引き続き行い、施設や管路の老朽化対策や耐震化対策を講じます。その一環として、経営戦略の中間見直しと料金改定に向けた取り組みを進めます。
水源地施設保安点検等維持管理や窓口業務などの外部委託については継続し、さらなるコスト削減、業務の効率化や品質アップのため、委託業務の拡大を行います。
下水道に関しては、「公共下水道事業ストックマネジメント」に基づき、これまで蓄積してきた既存の施設を有効に活用するための長寿命化を進めることと併せ、雨水幹線整備等にも取り組むとともに、まずは浅柄野地区の農業集落排水との接続を行い、将来的には農業集落排水事業特別会計との統合を視野に入れながら、持続的・安定的な事業経営に努めます。
地域コミュニティの醸成については、最も身近な地域コミュニティ組織である自治会の活動に対して、自治会活動交付金による支援を継続するとともに、自治ハウスのバリアフリー改修助成などを引き続き実施します。さらに、コロナ禍における自治会運営に対する新しい生活様式に対応した支援の継続により、ウィズコロナに対応した地域活動の支援を行います。
また、地域の活動拠点施設である各学区コミュニティセンターの管理運営支援と併せ、施設利用者の利便性向上のため、コミュニティセンター施設改修等の環境整備を実施します。地域振興協議会に対しては、自治総合センター助成金を活用しながら、年次的にコミュニティ備品の更新を支援していきます。
芸術・文化の推進については、栗東芸術文化会館さきらを拠点に、市民参画による様々な芸術文化の創造活動を継続します。令和5年度は、自治総合センター助成金を活用しながら、さきら創造ミュージカルの開催支援を行います。
文化財の保存活用については、文化財保存活用地域計画を踏まえ、指定等文化財の保存に関して管理助成を実施します。旧和中散本舗の保存活用については、保存活用に向けた計画策定に着手します。
身近なところから地球規模にいたるまでの環境施策については、環境基本条例の理念に則り、資源循環型社会の構築に向け、第三次環境基本計画に掲げる「循環型社会」「自然共生社会」「脱炭素社会」「安全・安心社会」を実現するため、諸施策を着実に実施していきます。令和5年度は、環境基本計画を具現化するための行動計画を策定するとともに、計画推進の一環として、新たに住宅用太陽光発電システム等の設置助成を実施します。
使用済み小型電子機器などの再資源化を進めるため実施している小型家電の回収や地球温暖化防止にかかる二酸化炭素排出抑制につながる家庭から排出される使用済み食用油の拠点回収については、引き続き実施します。また、一般廃棄物処理基本計画を策定します。
食品ロス削減についても、食品ロス削減推進計画の推進の一環として、フードドライブなどを引き続き実施します。
旧RD最終処分場問題については、県において引き続き行われているモニタリング調査の結果を注視し、安全で安心できる土地であることを確認しながら、跡地利用についても周辺自治会の皆様の意向を十分尊重し、県と連携して取り組んでまいります。
火葬場の整備に関しては、草津栗東行政事務組合において、予定地の環境影響調査等を実施するとともに、施設内容や事業手法等について引き続き検討を行い、基本計画を策定します。
更新時期が迫ってきた環境センターについては、日常的な一般廃棄物処理業務に支障をきたすことが無いよう、現施設の継続的な改修・修繕を行いつつ、新施設の整備に向けた建設候補地選定結果を踏まえ、生活環境影響調査の事前調査を実施します。
景観・緑化に関しては、第二次景観計画に基づき、景観形成に向けた景観・緑化啓発に取り組み、花と緑のガーデン事業の実施や景観重要樹木への補助など自主的な活動への支援を行います。
また、地域資源を活かした良好な街なみ形成や地域の活性化につなげるための自発的なまちづくりに対して、活動支援を行います。
草津川の跡地利用に関しては、草津市と共同で計画的に事業進捗を図ります。

5.参画したくなる、新時代のパートナーシップを追求するまちへ

従来の手法や価値観にとらわれない行政運営や、市民のちからを引き出し、愛着・誇りを持てるまちづくりの実践に努めます。
まちづくりは行政だけで実現できるものではなく、市民、事業者との協働が不可欠です。そのためにも、市民や事業者の皆様がまちに愛着を持ち、ちからを最大限に発揮してもらえるようにすることが必要です。
市民参画と協働によるまちづくりについては、市民参画と協働によるまちづくり推進条例行動計画に基づき、引き続き、市民協働にかかる啓発を行うとともに、令和5年度は、市民アンケートを実施します。また、「未来へつなぐ市民活動応援事業」など市民活動団体の育成支援を進めます。
総合計画や総合戦略については、引き続き、各分野および各施策における目標達成に向けた取り組みを推進するとともに、令和5年度は、総合計画前期基本計画の市民アンケートを実施するとともに、後期基本計画の策定に取り組みます。また、30代・40代の子育て世帯の転出要因を探るとともに、国のデジタル田園都市国家構想に基づく総合戦略の改訂に取り組みます。結婚新生活支援は、拡充し継続実施します。
ふるさとりっとう応援寄附金については、より多くの人に本市を応援していただけるよう、地域資源を活用した栗東ならではの返礼品の拡充や効果的な市の魅力発信と併せ、クラウドファンディングの手法を活用し、更なる寄附の推進につなげていきます。また、企業版ふるさと納税については、制度の独自PRにより、寄附の推進につなげます。
行政改革については、第八次行政改革大綱に基づき、事務事業の見直しおよびアウトソーシングの検討を引き続き実施し、人事面においては、人員配置の適正化に向けた検討を実施していきます。
また、公共施設等の総合的かつ計画的な管理については、令和4年度改定の「公共施設等総合管理計画」に基づき、財政状況を鑑みながら、各施設の老朽化対応・長寿命化対応を実施していきます。
財政については、現下の厳しい状況を踏まえ、今後においても今日までの改革による効果を維持しつつ、財政健全化による安定的な財政運営の実現に努めるとともに、財政運営基本方針に沿った財政運営を引き続き行います。
市民サービスを向上させるためには、職員の資質とチャレンジ精神の向上が必要です。栗東(まち)の未来を切り拓く職員となるよう、職階ごとに必要とされる能力向上を目指した研修や日常の業務を通じた人材育成を、人材育成基本方針に基づき実施します。
マイナンバー制度関連では、令和6年秋を目途にマイナンバーカードと健康保険証が一体化されることを踏まえ、マイナンバーカードの取得推進に引き続き取り組みます。
行政のデジタル化については、国の自治体DX推進計画の一環で、令和7年度の基幹系システムの標準化に向け、調査・比較分析を引き続き実施します。また、滋賀県と県内市町において共同調達を行った電子申請システムおよび国による電子申請システムの運用により、電子申請環境の幅を広げ、デジタルを活用した市民の利便性の向上と行政事務の効率化を図ります。加えて、本籍地以外の市町村でも戸籍謄本等が取得できるよう引き続き準備を進めます。また、新たにコンビニエンスストアでの住民票記載事項証明書の取得が可能になります。
自治体情報セキュリティ対策については、より一層の強化を図りつつ、業務継続の観点から、コロナ禍の中で職員の感染等が広がった場合でも業務が停滞することのないよう、引き続き対応を図ります。
行政の見える化に資する行政情報の提供については、改正後の個人情報保護法への対応に加え、情報公開制度、広報紙をはじめ、市のホームページ、SNSやテレビメディア、YouTubeなどを今まで以上に充実させるとともに、多様な情報媒体を活用していきます。また、市長のこんにちはトークの開催や市長への手紙などを通じて、市民との対話による市政運営に引き続き取り組みます。
シティセールスについては、魅力ある資源を活かし、民間事業者との包括連携協定に基づき民間の力も活用しながら、効果的かつ戦略的に、新たな媒体も活用する中で市内外向け情報発信を行うとともに、市のマスコットキャラクター「くりちゃん」を各種のイベント等において活用し、引き続き市のPR活動に取り組みます。
また、広報大使「うますぎる栗東大使」については、新たな大使の委嘱も模索しながら、大使のご協力のもと、ふるさと栗東の魅力を全国にPRしていきます。
以上、令和5年度の主要施策の方針を申し上げましたが、歳入においては、国・県の負担金や補助金といった特定財源を最大限確保し、必要な施策に必要な予算が配分されるよう配慮した予算といたしました。
その結果、一般会計の総額は269億2,900万円となり、前年度比2.1%、5億6,200万円増の予算となりました。
また、特別会計は9会計で、164億500万円、一般会計と特別会計の合計では、433億3,400万円、前年度比1.4%、5億9,000万円増の予算となりました。

むすびに

今年は、市政をお預かりして初めて行った予算編成に基づくまちづくりに着手する年であります。
本市は、新幹線新駅事業の中止以降、財政健全化に向けて懸命に取り組んできました。そのような財政的に厳しい状況であっても、社会経済情勢の動向を注視しながら、必要な行政需要には柔軟に対応してきたところです。
昨年、カタールで開催されたサッカーのワールドカップにおいて、日本代表監督の森保一さんが話されていたある言葉が印象に残っています。
「最高の景色を願い続ければ、必ず壁は乗り越えられる。「追いつき」ではなく「追い越せ」を考えれば、必ず未来は変わる。」
この言葉は、私が常々申し上げている「まず、やってみる。自らやってみる。何事にも果敢にチャレンジする。」それと同じ意味だと解釈しています。
どんな課題や困難があっても、チャレンジし続ければ必ずや、新しい景色が見えてくる、そう感じております。
ようやく収束が見えてきたコロナ禍であるものの、いまだ厳しい財政状況にある中で、市民の皆様にとってどのような政策・施策の展開が必要かを考え予算の編成を行いました。
これまでの財政健全化の流れを継承しつつ、「ここにしかない」を活かすことをまずは考え、一歩ずつ着実に前進することで、「ブラボー」、市民皆様にそう思ってもらえる、そんな「楽しいまちを創る」ことに全力を傾注し、市政運営に取り組んでまいります。
どうか、議員皆様ならびに市民皆様の変わらぬご理解、ご指導、ご協力を重ねてお願い申し上げ、令和5年度の施政方針といたします。

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〒520-3088
栗東市安養寺一丁目13番33号 栗東市役所3階
電話:077-551-0102
ファックス:077-553-1280
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