令和6年度施政方針

更新日:2024年02月27日

はじめに


令和6年第2回栗東市議会定例会の開会にあたり、施政に関する方針を申し上げます。
昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行し、社会経済はコロナ禍以前の状態に戻ってきていると実感しています。
こうした中で、新年早々、「令和6年能登半島地震」が発生し、甚大な被害がもたらされました。多くの大切な命が失われましたことに対して、心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様に改めてお見舞いを申し上げます。私自身日ごろからの災害への備えの大切さを、改めて実感しているところです。
さて、私が市長に就任して、1年3か月が経過しました。この間、事業の前例踏襲打破、従来の価値観に捉われない行政運営などを掲げ、意思決定の高速化や行政のスリム化を進めてきました。就任当初と比較し、現在は、人も仕事もかなり幅広く見渡せるようになってきたと感じており、より一層スピード感を持った行政運営と変えなければならない事務事業は躊躇なく変えていくスタンスを維持しながら、新しいことに果敢にチャレンジする市政運営を行ってまいりたいと考えています。
昨年8月から実施している「移住・定住に関するアンケート」では、公共交通の利便性や子育て環境とその支援、学校教育や就学支援といった、市民へのご期待にお応えしていかなければならない課題が見えてまいりました。また、「総合計画等に関する市民アンケート」では、社会保障制度や就学前教育・保育、学校教育、子育て環境などへの対応の必要性が示されていることに加え、「馬のまち」への期待が若い世代を中心に高まっている結果でもありました。
こうした市民皆様の市政に対する評価も踏まえ、本市の強みをさらに伸ばし、弱みは強みに転じて市民皆様が望む市政が実現できるよう、令和6年度以降の施策に取り組んでまいりたいと考えています。
令和6年度の予算案につきましては、厳しい財政状況の中ではありますが、「第六次総合計画」をはじめ各種計画を地域資源や市の魅力を活かして進める観点から編成を行いました。
引き続き「積極的に先を見据えた新たな時代の栗東(まち)づくり」に向けた歩みをさらに進められるよう、全身全霊で何事にも果敢にチャレンジしてまいります。
それでは、「第六次総合計画」において、まちづくりの基本目標として掲げている「五つのまちの姿」に沿って、実施する施策方針を申し述べます。

施政方針

1.経済活動が活発で、多様な就労環境があるまちへ

地元の産業・企業の活性化は、まちの元気の源との考えから、地域の宝を活かし、市民の憩いの場を創出しつつ、交流人口倍増に挑戦します。
持続可能なまちづくりを継続するためには、地域内の経済の好循環をつくることが重要です。
本市では、交通の要衝という地理的優位性を活かし、多くの企業が立地創業し、地域経済発展の一翼を担っていただいています。地域経済の発展と市の発展は一体不可分のものであることから、トップセールスによる新たな企業立地や市内企業の継続操業など、地域経済振興と税収確保に向けた取り組みをさらに進めていきます。
東部開発については、東部六地蔵東西線の道路整備、工業用水道設備の整備促進により、引き続き東部地区における産業用地の整備促進を図ります。
また、ホースパークと位置付ける栗東健康運動公園については、馬のまち栗東ならではの強みを活かしながら、市内外の人々が多様な交流や日常的な憩いを楽しめる公園の整備に向け、土質調査や自然環境調査に着手していきます。
市内の中小企業者等振興については、これまで実施してきた施策の成果検証のための消費者ニーズ調査等を行うととともに、第2期商工振興ビジョンを策定します。また、栗東市商工会や関係機関と連携を図りながら、物価高騰の影響を受ける市民生活や地域経済の下支えのため、地方創生臨時交付金を活用したプレミアム付商品券事業を実施するとともに、事業者に寄り添った経営発達支援や創業支援など、市内商工業の発展のために取り組みます。
労政・就労については、就労支援計画に基づき就職氷河期世代を含む就職困難者等への就労促進を図るため、求職者の能力開発への支援などに取り組みます。また、高齢者の働く意欲と社会参加の推進を図るため、栗東市シルバー人材センターの事業運営を支援します。
農業施策については、栗東産農産物品のブランド化推進や農薬・生産販売資材の価格高騰支援を行います。さらに、農業委員会で作成した「目標地図」の素案に基づき、集落ごとに取りまとめた「地域計画」の策定を行い、目指すべき将来の農地利用の姿を明確化します。
林業については、森林環境譲与税を積極的に活用し、森林境界明確化や造林育林推進などを実施するとともに、林道における待避所整備や橋梁の長寿命化を行います。
こんぜの里周辺施設については、あり方検討結果を踏まえ、効率的・効果的な施設の運営管理や施設の最適化に向けて取り組んでいきます。
六地蔵地区の圃場整備については、引き続き県が行う整備工事や工事に関する埋蔵文化財調査に対する一部事業費負担を行います。
観光施策では、令和5年度に実施の観光ニーズ等の調査結果を踏まえ、第2期観光振興ビジョンを策定するとともに、観光消費額の拡大を図るため、LINEアプリを活用した飲食店などの利用促進事業を行います。
新幹線新駅中止後のまちづくり基本構想(後継プラン)については、残る土地活用の支援に引き続き取り組むとともに、基盤整備の完成の目途が立ったことから、事業効果について取りまとめを進めていきます。

2.自己肯定感が高く、笑顔にあふれた子どもを育むまちへ

子どもは地域の宝、子育てするなら栗東でとの考えから、まちの元気の源泉である子どもを産み育てたいと思えるまちづくりを進めます。
本市の人口は早くもピークアウトの傾向を示し、年少人口も減少しています。若者や子育て世帯が安心して住むことができ、まちの活力を継承する人口構造を維持していくためには、将来世代にわたる定住の魅力を維持・創出していくことが重要です。そのためにも、切れ目のない子育て支援に主眼を置きながら、各種施策の実施に取り組みます。
令和5年度に実施の子育て支援に関するニーズ調査結果を踏まえ、第3期子ども・子育て支援事業計画の策定を行い、今後の本市の子育て支援に関するニーズに応じた提供体制の確保を図ります。
また、増加・多様化する保育需要への対応として、私立認定こども園の整備助成や市立園の認定こども園化を行うとともに、私立保育所の運営助成や就職フェアの開催などにより、保育人材確保の取り組みを継続し、喫緊の課題である待機児童の解消を目指します。
学童保育では、増加する利用ニーズに対応するため、新たに3か所の民設学童保育所の整備を促進し、児童への適切な遊びや生活の場を提供し、健全育成を図ります。
子育てに関する福祉医療費では、これまでの小学校就学前までの医療費無料化や小学生の通院・入院医療費および中学生の入院医療費の助成に加え、新たに令和6年4月診療分から、中学生の通院および高校生等の入通院医療費の助成を実施します。
妊娠期や子育て期の支援では、児童福祉と母子保健が一体的に相談支援を行い、子育て世帯訪問、ペアレントトレーニング、居場所づくりの家庭支援3事業、そして、伴走型相談支援とともに出産・子育て応援給付金の給付を実施します。
また、妊婦健康診査の公費負担を拡充するとともに、新たに、低所得の妊婦に対する初回産科受診料支援やブックスタート事業、ファミリー・サポート・センター事業の開始に向けた整備をすることと併せ、子育て情報の発信のための市ホームページの充実、さらには、児童手当の制度改正により、支給対象を中学生までから高校生までに拡大するなど給付内容の拡充および低所得子育て世帯で、生活困窮者自立支援制度の学習支援事業を利用している中学3年生、高校3年生を対象に、受験料や模擬試験費用を助成します。
また、赤ちゃんのおむつ費用助成やふたご・みつごを養育している世帯に対する出産・就学支援助成を引き続き実施します。
発達支援では、青年期における居場所提供や訪宅による支援を引き続き実施するとともに、児童発達支援センターの機能強化の一環として、市内民設事業所向けの研修会等を新たに開催します。
次に、一人ひとりの児童・生徒が輝ける魅力ある学校づくりや学校教育の充実については、地域の実態に即した教育環境の基盤づくりを引き続き進めます。
学校給食では、新鮮でおいしく、環境こだわり米など安全・安心な地元産農産物の活用を地元JA等と連携して進めます。また、子育て世帯への支援として、地方創生臨時交付金を活用し、保育所・幼稚園とともに、一部物価高騰に配慮した保護者負担の軽減を実施します。
学校施設の整備については、一部金勝産木材を活用しながら、治田小学校の児童増に対応した増築を行うとともに、栗東西中学校の大規模改造事業を実施し、子どもたちが快適な学校生活を過ごせるよう対策を講じていきます。
また、「子育て教育Nextプロジェクト」を引き続き実施する中で、小学校就学前から子どもたちの非認知能力を向上させるとともに、併せて教師力の強化を目指します。
不登校の早期対応のため、別室対応の支援員を新たに配置することで子どもたちの学びの保障につなげます。また、子どもの最善の利益を念頭に置き、学校に対して継続的な助言を行うスクールロイヤーを配置します。
小中学校のICT化推進では、児童生徒に1人1台配備したタブレット端末を活用して、子どもたちが情報を共有しながら主体的に学びを深める授業づくりを引き続き推進します。ICT端末を活用した多様な学びのスタイルに対応するため、デジタル田園都市国家構想交付金の活用により、授業支援システムを導入し、子どもたちの利活用をより一層進めます。

3.健康維持に向けた取り組みが進み、地域共生が実現しているまちへ

スポーツの推進と予防医療でいきいきと生活できる健康なまちづくりにつなげます。
全国に比べるとやや緩やかなものの、本市においても高齢化が確実に進展している中で、だれもが健康で安心して暮らしていけるよう、「栗東はつらつ100歳条例」の理念のもとに、社会保障や福祉に関する施策、健康に関する施策を進めていくとともにスポーツ人口を増加させることが重要です。
スポーツ振興では、ライフステージに応じた「する」「みる」「ささえる」スポーツを推進し、健康で豊かなまちづくりの実現を目指すため、「第3期スポーツ推進計画」の策定に着手します。また、令和7年の第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会の開催に先駆け、6月に正式競技のレスリング、令和7年2月には公開競技のパワーリフティングのリハーサル大会を栗東市民体育館で開催します。そして、本大会に向け、輸送・交通計画を策定するとともに、レスリングの練習会場となる栗東中学校体育館のトイレを改修するなど、本大会に向けた準備を加速させ、さらにこのような取り組みが次世代につながるよう、子どもたちが永続的にスポーツに取り組むためのレガシーを育む観点から、栗東市スポーツ協会主催の小学校高学年を対象にしたゴルフ教室開催を支援します。
健康にかかる施策では、予防医療促進の一環である予防歯科の取り組みにおいて、令和5年度のキックオフからさらに一歩進め、新たに小中学生を中心とした予防啓発を行う「歯科疾患予防事業」の取り組みなど、フッ化物を活用した歯・口腔の健康づくりに向けた情報発信や啓発等を行っていきます。また、第4次食育推進計画を策定し、食からの健康推進にも取り組んでいきます。
新型コロナウイルスワクチン接種については、定期接種化に伴い、65歳以上の高齢者等を対象に個別接種を実施するとともに、新たに帯状疱疹ワクチン接種の助成を実施します。後期高齢者の健康診査については、後期高齢者医療広域連合からの受託により対象者を拡大し、引き続き実施します。
介護保険を含む高齢福祉については、市で認知症高齢者等の損害賠償保険に加入する制度の創設とともに、安心して暮らせるまちづくりを進めます。また、葉山圏域の地域包括支援センターのやすらぎの家への移設に向けた改修を行い、3地域包括支援センターでは、体制拡充により支援の充実を図ります。また、介護予防につながる事業では、栗東100歳大学の開催や介護支援ボランティア制度の実施などにより、引き続き健康と生きがいづくりの具現化につなげます。
障がい福祉では、自立支援給付事業等の適正な実施に努めるとともに、重度の障がいがある人に対する訪問看護利用助成の対象施設を拡大します。
社会福祉では、分野を超えた重層的な支援体制による相談を本格実施し、ひきこもり相談や新たな居場所づくり、アウトリーチによる支援などをスタートさせます。また、新たに、住民税非課税または住民税均等割のみ課税となる世帯、定額減税がしきれないと見込まれる方々に対して、地方創生臨時交付金を活用して給付金を支給します。
国民健康保険においては、保険税率の改定により財政運営の安定化を図り、特定健診、特定保健指導の実施により、引き続き被保険者の健康増進と医療費の低減に努めます。

4.多様性を認め合い、快適で安全に暮らし続けられるまちへ

コロナ禍を経験した普遍的価値の精査・新しい価値の創造や、市民の生命と財産を守る実効性のある防災体制の確立を目指します。
大規模な自然災害や社会問題の複雑多様化など、暮らしを取り巻く環境が大きく変化するとともに、安全・安心を重視する市民皆様の意識・期待の高まりに対応することが重要です。そのためにも各地の被災現場における災害対応や復旧・復興対応に対する評価・検証の結果を確認することなどを通じて、これまでの価値観を不易流行の視点で見直すことが必要です。
風水害や地震災害など、自然災害への対応において、万全の対策を講じるため、市民と行政が一体となった仕組みをつくることは、市の大きな責務です。本年1月に発生した能登半島地震にあっては、ライフラインの復旧対応等、災害対応にかかる課題が改めて浮き彫りとなっており、被災地支援のため派遣した本市職員にあっては、そのような災害の現実に触れ、様々な知見を持ち帰ってくれています。令和6年度に行う「地域防災計画」の改訂にあっては、これらの教訓をしっかりと踏まえることはもとより、「受援計画」の策定を含めて地域の防災力の強化につなげます。その一環として、「自助」「共助」「公助」による地域での防災活動を進めるため、各学区で作成いただく地区防災計画が実行性のある計画となるよう支援していくとともに、自主防災組織など自治会や地域で防火・防災の担い手となる市民を広く参加対象とする「防災のつどい」を新たに開催します。また、災害時における情報伝達と拡散手段のさらなる充実に向け、市公式LINEの導入時に情報発信力の強化を図ります。併せて、従来の同報系防災行政無線についても運用実績等を検証しながら、より効果的な情報伝達手段として機能するよう検討を加え、市民皆様に必要な情報を正確かつ迅速にお届けできる環境の構築を進めていきます。
防災重点農業用ため池については、引き続き事業計画を作成し、防災対策を推進します。
また、上砥山地区の急傾斜地崩壊対策事業については、用地測量を実施し、令和7年度の工事実施につなげるとともに、地籍調査を、外部委託により再開します。
防犯については、市民一人ひとりが防犯意識を持ち、協力して地域の防犯力を高め、安全・安心のまちを実現していくための支援策などを引き続き実施します。
消費生活では、消費生活トラブルを未然に防ぎ、トラブル時の被害を最小限に抑えるよう、消費生活相談窓口での相談や助言、啓発等消費者保護に向けた取り組みを引き続き実施します。
人権については、「一人ひとりの人権を尊重するまちづくり」を目指し、政策と教育・啓発を統合することにより、市民に分かりやすい体制を構築し、人権擁護に取り組んでいきます。
多文化共生の推進では、多言語アプリの導入により、広報りっとうをはじめとした市政情報の多言語化や通訳サービスを活用した窓口対応を行うことで、在住外国人が安心して暮らせるまちづくりを進めます。
男女共同参画の推進については、アンケート調査を実施し、「男女共同参画プラン」の検証を行うとともに、次期プラン策定を含め、次なる施策展開を検討していきます。
道路交通網の整備については、国が施工する国道1号栗東水口道路並びに国道8号野洲栗東バイパス、県が施工する山手幹線や栗東信楽線などを各施工者と連携しながら、引き続き広域幹線道路の整備を促進します。さらには、大門野尻線や出庭林線、青地新田坊袋線(国一坊袋岡線)、安養寺下戸山線、小柿苅原線など市の補助幹線道路の着実な整備・改良をすることにより、道路ネットワークの構築に引き続き努めます。
また、道路ストックについては、舗装修繕計画に基づく舗装修繕、橋梁や歩道橋の点検を年次的に実施するとともに、路面性状・空洞化調査を実施する中で、安全性の確保と道路の長寿命化に努めます。
河川では、堆積土砂管理計画に基づく浚渫を、引き続き実施するとともに、金勝川・葉山川の平地化、中ノ井川ショートカット事業について、第二期滋賀県河川整備五カ年計画に基づき、実施区間の確実な完了と併せ、さらに上流区間への計画的な事業促進を引き続き求めていきます。
交通安全施策については、関係機関、団体と連携しながら交通マナーの向上につながる効果的な交通安全教育を行うとともに、栗東駅前に自転車通行空間を確保します。
公共交通のあり方については、将来にわたり維持・確保・改善していくため、地域と交通事業者と行政の連携により、「栗東市地域公共交通計画」を成案化し、運用する中で具現化に努めます。
くりちゃんバスについては、デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、キャッシュレス決済システムおよび乗降数カウントシステム等を導入する中で、利用者の利便性向上や効率・効果的な運行の実施につなげます。
栗東駅自由通路や手原駅前駐輪場の老朽化対応は、引き続き実施します。
住宅に関しては、公営住宅等長寿命化計画に基づき、年次的に公営住宅の改修工事を進めるとともに、老朽化住宅の除却に向けた取り組みを進めます。また、民間分譲マンションの実態調査結果を踏まえ、マンション管理適正化推進計画を策定するとともに、個別マンションの管理計画の認定制度の構築やマンション管理の適正化に向けて専門家派遣を行います。
空家等の対策については、空家等対策計画および特定空家等認定マニュアルの改訂を行います。
また、能登半島地震において家屋等の倒壊が多数発生したことからも、木造住宅耐震化のための無料耐震診断・相談や耐震改修、危険ブロック塀等対策への支援に引き続き取り組みます。
上水道については、料金改定により経営の安定化を図る中で、「災害に強いライフラインの構築」への取り組みを引き続き行い、施設や管路の老朽化対策や耐震化対策を講じます。
下水道に関しては、「公共下水道事業ストックマネジメント基本計画」に基づき、これまで蓄積してきた既存の施設を有効に活用するために長寿命化を進めることと併せ、水防法に基づく雨水出水浸水想定区域図の作成を行うとともに、浅柄野地区の農業集落排水を公共下水道として供用開始します。
地域コミュニティの醸成では、最も身近な地域コミュニティ組織である自治会の活動に対して、自治会活動交付金による支援を継続するとともに、自治ハウスの新築やバリアフリー改修の助成などを引き続き実施します。また、地域活動の現状を踏まえた今後の自治会のあり方については、引き続き関係団体と協議しながら、地域課題の解決に向けた取り組みを進めていきます。
また、地域振興協議会に対しては、効率的・効果的な運営につながるよう、自治総合センター助成金を活用しながら、年次的にコミュニティ備品の更新を支援していきます。
芸術・文化の推進では、栗東芸術文化会館さきらが開館25周年を迎えることを踏まえ、自治総合センター助成金を活用しながら、25周年記念のさきら創造ミュージカルの開催支援を行います。
文化財の保存活用では、旧和中散本舗を保存し、活用策を探るための保存活用計画策定に向けた取り組みを引き続き進めます。
環境施策については、住宅用太陽光発電システム等の設置助成や省エネ家電の購入助成を引き続き実施します。また、再資源化を進めるため、ごみ分別では、令和7年4月からの「びん分別」の変更に向けた諸準備を行うとともに、LINEアプリを活用したごみ収集日の周知を新たに実施します。さらに、「災害廃棄物処理計画」の実行性を高めるため、災害廃棄物仮置き場の選定基礎調査を実施するとともに、望まない受動喫煙防止の観点から、手原駅前喫煙所を拡張します。
旧RD最終処分場問題については、県において引き続き行われているモニタリング調査の結果を注視し、安全で安心できる土地であることを確認しながら、跡地利用についても周辺自治会の皆様の意向を十分尊重し、県と連携して取り組んでいきます。
火葬場の整備に関しては、草津栗東行政事務組合において、基本計画に基づき、造成設計やPFI事業者の選定等を行います。
更新時期が迫ってきた環境センターについては、日常的な一般廃棄物処理業務に支障をきたすことが無いよう、現施設の継続的な改修・修繕を行いつつ、新施設の整備に向けて、技術革新による新たなごみ処理手法の可能性も探りながら「ごみ処理施設整備基本計画」を見直し、「循環型社会形成推進地域計画」の策定を行います。
草津川の跡地利用に関しては、草津市と共同で計画的に事業進捗を図ります。

5.参画したくなる、新時代のパートナーシップを追求するまちへ

従来の手法や価値観にとらわれない行政運営や、市民のちからを引き出し、愛着・誇りを持てるまちづくりの実践に努めます。
まちづくりは行政だけで実現できるものではなく、市民、事業者との協働が不可欠です。そのためにも、市民や事業者の皆様がまちに愛着を持ち、ちからを最大限に発揮してもらえるようにすることが必要です。
市民参画と協働によるまちづくりでは、今後の協働のあり方を明文化し、市民参画をより推進するため、「市民参画と協働によるまちづくり推進条例行動計画」を改訂します。
総合計画については、令和5年度に実施した市民アンケート結果を踏まえ、第六次総合計画基本構想の検証や前期基本計画の評価・検証を行い、後期基本計画を策定します。
総合戦略については、転入・転出者アンケート結果を踏まえ、デジタル田園都市国家構想総合戦略の成案化を行うとともに、デジタル田園都市国家構想交付金を活用しながら、デジタルを活用したまちづくり施策を推進します。また、結婚新生活支援事業を引き続き実施することで、少子化対策・定住促進につなげます。
ふるさとりっとう応援寄附金や企業版ふるさと納税寄附金については、本市の魅力を効果的に発信し、地域資源を活かした特産品や体験など返礼品のさらなる拡充等により、寄附の推進につなげます。
行政改革については、これまで以上に最少の経費で最大の効果を上げるための事務事業の見直しを進めるとともに、「第九次行政改革大綱」および「DX推進計画」を策定します。また、新たに文書管理・電子決裁システムを導入することに加え、財源確保策として、公共施設における有料広告事業を実施していきます。
財政については、健全化による安定的な財政運営の実現を目指すとともに、財政運営基本方針に沿った財政運営を引き続き行います。
人材育成では、栗東(まち)の未来を切り拓く、チャレンジ精神旺盛な職員となるよう、職階ごとに必要とされる能力向上を目指した研修や日常の業務を通じた人材育成を、人材育成基本方針に基づき実施します。
国の自治体DX推進の関係では、令和7年度の基幹系システムの標準化に向けた準備として、データ移行確認、環境構築を実施します。また、戸籍に関して、本籍地以外の市町村の窓口でも戸籍謄本等が取得できるようシステムの運用を行うとともに、戸籍等の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加に向けた準備を進めます。
デジタル田園都市国家構想交付金を活用した施策では、市民皆様の利便性向上のため、公共施設予約システムを導入するとともに、市役所内に「行政キオスク端末」を導入し、窓口に並ばず住民票の写し等の発行ができる環境を整備します。また、本籍地が栗東市で、市外にお住まいの方でも戸籍証明書をコンビニエンスストアで取得可能となる本籍地交付サービスを新たに開始します。
情報セキュリティ対策では、情報漏えい等がないよう、引き続き情報セキュリティポリシーや個人情報保護法に基づく対応に努めます。
広報については、市公式LINEの開設により、積極的な市政情報発信を行うとともに、市のYouTube「りっとうチャンネル」を活用した様々な市政情報発信を行っていきます。
シティセールスについては、クラウドファンディング型ふるさと納税の活用により、市のマスコットキャラクター「くりちゃん」のワッペン等、PRグッズを作成し、イベント等における市の積極的な情報発信を行います。また、PRグッズにより、馬のまちをさらに情報発信していきます。
また、令和6年度税制改正により、令和6年度は、個人住民税の定額減税を実施します。

 

 


以上、令和6年度の主要施策の方針を申し上げましたが、歳入においては、国・県の負担金や補助金といった特定財源を最大限確保し、必要な施策に必要な予算が配分されるよう配慮した予算といたしました。
その結果、一般会計の総額は288億1,400万円となり、前年度比7.0%、18億8,500万円増の予算となりました。
また、特別会計は9会計で、163億4,700万円、一般会計と特別会計の合計では、451億6,100万円、前年度比4.2%、18億2,700万円増の予算となりました。

むすびに

これまで本市は、新幹線新駅事業の中止以降、財政健全化に向けて懸命に取り組んできました。そのような財政的に厳しい状況であっても、社会経済情勢の動向を注視しながら、必要な行政需要には柔軟に対応してきたところです。その流れは、今後も踏襲していきたいと考えています。
昨年、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍を発表された大谷翔平選手が語った言葉が印象に残っています。
「自分自身が最高の選手になれるよう全力を尽くし続けることを約束します。」
この言葉を私流に申し上げると、「最高に住んでよかったと実感してもらえるまちになるよう、全力を尽くし続けることを約束します。」でありましょうか。
昨年も申し上げましたが、どんな課題や困難があっても、チャレンジし続ければ必ずや新しい景色が見えてくる、今も固くそう信じています。
原油価格・物価高騰の先行きや能登半島地震の影響が見通せないことに加え、いまだ厳しい財政状況の中ではありますが、市民の皆様にとってどのような政策・施策の展開が必要かを考え予算の編成を行いました。
これまでの財政健全化の流れを継承しつつ、エビデンスによる検証を踏まえて改めるところは改め、「ここにしかない」を活かしチャレンジしながら、一歩ずつ前進していくことで「楽しいまちを創る」、そのことに全力を傾注し、市政運営に取り組んでまいります。
どうか、議員皆様ならびに市民皆様の変わらぬご理解、ご指導、ご協力を重ねてお願い申し上げ、令和6年度の施政方針といたします。

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