令和7年度施政方針

更新日:2025年03月04日

はじめに

令和7年第2回栗東市議会定例会の開会にあたり、施政に関する方針を申し上げます。
本年は昭和元年から数えてちょうど100年、戦後80年を迎え、また、大阪・関西万博も開催され、さらに本市をはじめ滋賀県内では、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されるなど、例年にない行事が控えており、様々な節目の年となります。
さて、私が市長に就任して、2年3か月が経過しました。この間、事業の前例踏襲打破、従来の価値観に捉われない行政運営などを掲げ、意思決定の高速化や事業の統廃合を進めてきました。今後は、より一層スピード感を持った行政運営に努め、変えなければならない事務事業は躊躇なく変えていくスタンスのもと、新しいことに果敢にチャレンジする市政運営を行ってまいりたいと考えています。
令和7年度は、「第六次総合計画基本構想および後期基本計画」に基づき、政策施策を進めてまいりますが、特に本市の地理的ポテンシャルを活かした効果的、計画的な土地利用ができるよう、将来的な土地利用の可能性について検討を進めていきます。
また、今後の人口動態の変化を想定した対応として、様々な取り組みを通じて、本市の強みをさらに伸ばし、弱みは強みに転じさせる中、市民皆様が望む市政が実現できるよう、令和7年度以降の施策に取り組んでまいりたいと考えています。
令和7年度の予算案につきましては、財政状況が厳しい中ではありますが、「第六次総合計画」をはじめ各種計画を地域資源や市の魅力をさらに活かしつつ進める観点から編成いたしました。
「積極的に先を見据えた新たな時代の栗東(まち)づくり」に向けた歩みをさらに進められるよう、全身全霊で何事にも果敢にチャレンジしてまいります。
それでは、「第六次総合計画」において、まちづくりの基本目標として掲げている「五つのまちの姿」に沿って、実施する施策方針を申し述べます。

施政方針

1.経済活動が活発で、多様な就労環境があるまちへ

地元の産業・企業の活性化は、まちの元気の源との考えから、地域の宝を活かし、市民の憩いの場を創出しつつ、交流人口倍増に挑戦します。
持続可能なまちづくりを継続するためには、地域内の経済の好循環をつくることが重要です。地域経済の発展と市の発展は一体不可分のものであることから、土地のポテンシャル向上を意識しながら、トップセールスも行い、新たな企業立地や市内企業の継続操業など、地域経済振興と税収確保に向けた取り組みを引き続き進めていきます。
東部開発については、東部六地蔵東西線2工区の道路整備や工業用水道設備の整備促進により、引き続き東部地区における産業用地の整備促進を図ります。
ホースパークと位置付ける栗東健康運動公園については、馬のまち栗東ならではの強みを活かしながら、市内外の人々が多様な交流や日常的な憩いを楽しめる公園の整備に向け設計を進めていますが、昨今の物価高騰や残る用地購入を踏まえ、総事業費、事業期間を見直し、事業進捗を図ります。
市内の中小企業者等振興については、第2期商工振興ビジョンに基づく諸施策を推進するとともに、栗東市商工会や関係機関と連携を図りながら、物価高騰の影響を受ける市民生活や地域経済の下支えのため、バル事業や地方創生臨時交付金を活用した物価高騰対策・デジタル化支援事業を実施するとともに、事業者に寄り添った経営発達支援や創業支援など、市内商工業の発展のために取り組みます。
労政・就労については、就労支援計画に基づき就職困難者等への就労促進を図るため、求職者の能力開発への支援などに取り組みます。また、高齢者の働く意欲と社会参加の推進を図るため、栗東市シルバー人材センターの事業運営を支援します。
農業施策については、国による「環境保全型農業直接支払交付金」の制度の見直しに合わせて取り組みを進めるとともに、中山間地域等における直接支払交付金の新制度に対応するため、「指定棚田地域振興活動計画」の見直しを行います。また、外来生物であるスクミリンゴガイ、いわゆるジャンボタニシが令和6年度に井上地区で確認されたため、水稲への被害拡大防止に取り組みます。
林業施策については、引き続き森林環境譲与税を積極的に活用するとともに、林道における橋梁の長寿命化を実施します。
六地蔵地区の圃場整備については、引き続き県が行う整備工事や埋蔵文化財調査に対する一部事業費負担を行います。
観光施策では、第2期観光振興ビジョンを成案化させ、栗東市観光協会や関係機関と連携を図りながら、市が有する自然と歴史、山の周辺施設などを観光資源として活用し、周遊型・滞在型の観光により、観光消費額の拡大や交流人口の増加につなげていきます。
新幹線新駅中止後のまちづくり基本構想(後継プラン)については、残る土地活用の支援に引き続き取り組むとともに、県とともにこれまでの事業効果について地元説明を行っていきます。

2.自己肯定感が高く、笑顔にあふれた子どもを育むまちへ

子どもは地域の宝、子育てするなら栗東でとの考えから、まちの元気の源泉である子どもを産み育てたいと思えるまちづくりを進めます。
本市の人口は早くもピークアウトの傾向を示し、年少人口も減少しています。若者や子育て世帯が安心して住むことができ、まちの活力を継承する人口構造を維持していくためには、将来世代にわたる定住の魅力を維持・創出していくことが重要です。そのためにも、切れ目のない子育て支援に主眼を置きながら、各種施策の実施に取り組みます。
国の「こども大綱」や滋賀県が令和7年3月に策定予定の「淡海子ども・若者プラン」を踏まえ、関係者のアンケート調査結果や子ども・若者など当事者の意見内容を参考にしながら、子どもの貧困対策や子ども・若者に関する様々な施策などを包含した「こども計画」の策定に着手します。また、「第3期子ども・子育て支援事業計画」を踏まえて提供体制の確保を図ります。
増加・多様化する保育需要への対応として、私立認定こども園の整備助成や公立園の認定こども園化を行うとともに、大宝こども園における低年齢児受け入れや治田保育園の老朽化対策を兼ねた児童福祉施設開設に向けた準備を進めます。また、ICTを活用した業務効率化や新規保育士雇用促進など、私立保育所の運営助成や就職フェアの開催により、保育人材確保の取り組みを継続し、喫緊の課題である待機児童の解消を目指します。
児童館では、大宝東児童館等を大型商業施設に移転し、子どもや子育て親子が気軽に立ち寄れる場所の整備を行い、多目的スペースの設置等により、子育て世帯の多様な活動を促進することで、子育て支援サービスの拡充につなげます。
学童保育では、増加する利用ニーズに対応するため、民設学童保育所の新たな開設による受け皿確保に加え、既存施設を最大限有効活用しながら、児童への適切な遊びや生活の場を提供し、児童の健全育成を図ります。
妊娠期や子育て期の支援では、ファミリー・サポート・センター事業をスタートさせるとともに、1か月児の健康診査やこれまでの病後児保育に加え、病児保育を新たに実施し、産後ケア事業に訪問型の支援メニューを追加するなど、多様化するニーズ等に合わせた切れ目のない支援に取り組みます。
また、出産・子育て応援交付金は、妊婦のための支援給付金に改称して支援を継続実施するとともに、赤ちゃんのおむつ費用助成やふたご・みつごを養育している世帯に対する出産・就学支援助成についても、引き続き実施します。
発達支援では、青年期における居場所提供や訪宅による支援を引き続き実施するとともに、児童発達支援センターの機能強化の一環として、新たに機能訓練指導員による市内民設事業所への訪問を行い、発達支援の強化を進めます。
次に、一人ひとりの児童・生徒が輝く魅力ある学校づくりや学校教育の充実については、地域の実態に即した教育環境の基盤づくりを引き続き進めます。
青少年教育の一環では、中学校における地域活動に対して支援を拡大していきます。
学校給食では、新鮮でおいしく、環境こだわり米など安全・安心な地元産農産物の活用を地元JA等と連携して進めます。また、子育て世帯への支援として、地方創生臨時交付金を活用し、保育所・幼稚園・こども園とともに、一部物価高騰に配慮した保護者負担の軽減を実施します。
学校施設の整備については、引き続き栗東西中学校の大規模改造事業を実施するとともに、葉山小学校の大規模改造事業工事の設計に着手し、子どもたちが快適な学校生活を過ごせるよう対策を講じていきます。また、学校現場における近年の猛暑対策、災害時の避難所としての環境整備のため、小中学校体育館などへの空調設備設置検討を行います。
子どもたちの学ぶ力向上に向けては、新たに各校が自校に適したメニューを選択できる学力向上「セレクト・パッケージ」を実施し、学校ごとの主体性や独自性を重視した取り組みを支援することにより、学力向上を推進します。
不登校支援では、各校の校内教育支援センターに専任の支援員を増員配置することで、子どもたちの居場所の確保と学びの保障につなげます。
中学校の休日部活動の地域移行では、引き続き総括コーディネーターを配置するとともに、新たに受け皿団体の支援メニューを設ける中で、本市に適した地域移行・地域連携を加速させます。
小中学校のICT化推進では、児童生徒に1人1台配備したタブレット端末を活用して、子どもたちが情報を共有しながら主体的に学びを深める授業づくりを引き続き推進します。

3.健康維持に向けた取り組みが進み、地域共生が実現しているまちへ

スポーツの推進と予防医療でいきいきと生活できる健康なまちづくりにつなげます。

全国に比べるとやや緩やかなものの、本市においても高齢化が確実に進展している中で、だれもが健康で安心して暮らしていけるよう、「栗東はつらつ100歳条例」の理念のもとに、社会保障や福祉に関する施策、健康に関する施策を進めていくとともにスポーツ人口を増加させることが重要です。

スポーツ振興では、ライフステージに応じた「する」「みる」「ささえる」スポーツを推進し、健康で豊かなまちづくりの実現を目指します。また、令和7年度は、いよいよ国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催年です。国民スポーツ大会は、5月のデモンストレーションスポーツに始まり、9月に公開競技、並びに、正式競技のレスリングおよび成年男子ゴルフを開催します。また、障害者スポーツ大会は、10月にオープン競技を開催します。各競技団体と連携・協力し、大会の盛り上がりや感動を与え、スポーツへの関心を高められるよう取り組みます。そして、こうした取り組みが次世代につながるよう、子どもたちが永続的にスポーツに取り組むためのレガシーを育む観点から、引き続き、栗東市スポーツ協会主催の小学生を対象にしたゴルフ教室やレスリング教室の開催を支援します。

健康にかかる施策では、小中学生を中心とした予防啓発を行う「歯科疾患予防事業」として、フッ化物を活用した歯・口腔の健康づくりに向けた情報発信や啓発等を引き続き実施します。

令和7年度から新たに高齢者を対象にした帯状疱疹ワクチン予防接種が定期接種化されることに伴い、65歳以上の対象者に順次接種を実施します。また、令和6年度までとなっているヒトパピローマウイルスワクチンのキャッチアップ接種や令和6年度から実施の帯状疱疹ワクチンの任意接種助成は、一部経過措置を設けます。

介護保険を含む高齢福祉については、市内4施設目となる民設の認知症高齢者グループホームの整備を支援します。また、介護人材確保、特にケアマネジャーの確保・定着対策として、市内事業所に対して、専門研修の実施を支援します。加えて、ケアマネジャーの処遇改善を支援します。介護予防につながる事業では、栗東100歳大学の開催や介護支援ボランティア制度の実施などにより、引き続き健康と生きがいづくりの具現化につなげます。また、「第10期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の策定に着手します。

障がい福祉では、自立支援給付事業等の適正な実施に努めるとともに、地域生活支援事業では、物価高騰を踏まえ、日常生活用具給付の基準額を一部改定します。また、「第4期障がい者基本計画・第8期障がい福祉計画」の策定に着手します。

社会福祉では、重層的な支援体制による相談を引き続き実施するとともに、ひきこもり相談や居場所づくり、アウトリーチによる支援などを充実させます。また、栗東市社会福祉協議会事務局の移転に対して支援を行うとともに、保護司活動の安全性確保のため、面接場所の確保支援を行います。令和6年度における定額減税の当初調整給付金の支給額に不足が生じる人などに対しては、地方創生臨時交付金を活用して給付金を支給します。

災害時避難行動要支援者登録制度では、台帳システムに新たにハザードマップ情報を追加していくことで、個別避難計画作成に向け災害時の支援体制を整えます。

国民健康保険においては、保険税率の改定により財政運営の安定化を図り、より効果的な収納事務を通じた保険税の確保に取り組みながら、特定健診、特定保健指導の実施により、引き続き被保険者の健康増進と医療費の低減に努めます。
国民健康保険においては、保険税率の改定により財政運営の安定化を図り、特定健診、特定保健指導の実施により、引き続き被保険者の健康増進と医療費の低減に努めます。

4.多様性を認め合い、快適で安全に暮らし続けられるまちへ

コロナ禍を経験した普遍的価値の精査・新しい価値の創造や、市民の生命と財産を守る実効性のある防災体制の確立を目指します。
大規模な自然災害や社会問題の複雑多様化など、暮らしを取り巻く環境が大きく変化するとともに、安全・安心を重視する市民皆様の意識・期待の高まりに対応することが重要です。
風水害や地震災害など、自然災害への対応において、万全の対策を講じるため、市民と行政が一体となった仕組みをつくることは、市の大きな責務です。昨年1月に発生した能登半島地震を踏まえ、市民が木造住宅に耐震シェルターを設置することに対する支援を継続することに加え、新たに感震ブレーカーの設置に対する補助制度を設け、被災時の安全確保につなげます。また、救急車の適正利用等を目的に滋賀県が主体となって実施する「救急安心センター事業」に応分の負担を行い、円滑な電話相談事業の導入と救命率向上に向けた環境の構築を支援していきます。
「自助」「共助」「公助」による地域での防災活動に対しては、各学区で作成いただいた地区防災計画が実効性のある計画となるよう引き続き支援していくとともに、身近な地域防災活動の要となる各自治会の自主防災組織の機能強化を目的に、消防設備等整備補助を防災資機材等整備補助に改称し、補助上限額の引き上げや補助対象となる資機材等の幅を拡充していきます。また、令和6年度から実施の「防災のつどい」は、引き続き開催する中で、自治会や地域で防火・防災の担い手となる市民と本市災害リスク等を共有し、これに対する防災意識の高揚につなげます。
上砥山地区の急傾斜地崩壊対策事業については、対策工事を実施するとともに、坊袋・川辺地区の地籍調査を、外部委託により引き続き実施します。
防犯については、通学路などにおける犯罪抑止、地域の防犯環境の整備を目的として、新たに防犯カメラを年次的に設置し、防犯面から安全・安心な子育て環境を構築するとともに、近年新たな犯罪として拡大が危惧される匿名・流動型犯罪への対応手段としても有効活用を図っていきます。
消費生活では、消費生活トラブルを未然に防ぎ、トラブル時の被害を最小限に抑えるよう、消費生活相談窓口での相談や助言、啓発等消費者保護に向けた取り組みを引き続き実施します。
人権については、地区別懇談会を自治会の主体的な学びの形態で実施する中で、市民主体の人権擁護の推進に取り組むとともに、人権に関する住民意識調査を実施し、今後の施策展開につなげていきます。
男女共同参画の推進については、令和6年度に実施したアンケート調査結果を踏まえ、より効果的な啓発につなげていきます。
道路交通網の整備については、国が施行する国道1号栗東水口道路や県が施行する山手幹線が令和7年度に開通予定であるのに加え、国道8号野洲栗東バイパスや栗東信楽線などは各施行者と連携しながら、引き続き広域幹線道路の整備を促進します。さらには、出庭林線、小柿苅原線など市の補助幹線道路の着実な整備・改良をすることにより、道路ネットワークの構築に引き続き努めます。
また、道路ストックについては、舗装修繕計画に基づく舗装修繕、橋梁や歩道橋の点検を年次的に実施するとともに、路面性状・空洞化調査を実施する中で、安全性の確保と道路の長寿命化に努めます。
河川では、金勝川・葉山川の平地化、中ノ井川ショートカット事業について、第二期滋賀県河川整備五カ年計画に基づき、実施区間の確実な完了と併せ、さらに上流区間への計画的な事業促進を引き続き求めていきます。
交通安全施策については、関係機関、団体と連携しながら交通マナーの向上につながる効果的な交通安全教育を引き続き実施するとともに、交通安全施設の設置により市道における交通安全を確保します。
公共交通のあり方については、バスを中心とした地域公共交通の利用実態の分析を行う中で、路線の再編検討を行い、今後の地域公共交通の維持につなげます。併せて、一部地方創生臨時交付金を活用しながら、市内バス路線事業者の経営支援を行うことで、市内バス路線の維持を支援します。
栗東駅自由通路や手原駅前駐輪場の老朽化対応は、引き続き実施します。
都市計画では、「第四次都市計画マスタープラン」の中間検証・見直しを行うとともに、栗東駅周辺まちづくりの検討を併せて実施することで、効果的、計画的な土地利用ができるよう、将来的な都市的土地利用の可能性について検討を進めます。
住宅に関しては、公営住宅等長寿命化計画に基づき、年次的に公営住宅の改修工事を進めるとともに、老朽化住宅の除却に向けた取り組みを引き続き進めます。
空家等の対策については、空家の現況調査を実施し、今後の空家等対策につなげます。
また、能登半島地震において家屋等の倒壊が多数発生したことからも、木造住宅耐震化のための無料耐震診断・相談や耐震改修、危険ブロック塀等対策への支援に引き続き取り組むとともに、今後の事業推進や補助採択継続のため、耐震改修促進計画を改訂します。
上水道については、「災害に強いライフラインの構築」への取り組みを引き続き行い、施設や管路の老朽化対策や耐震化対策を講じます。また、漏水対策として新たに衛星画像解析による漏水調査を実施することで今後の有収率の向上につなげるとともに、地方創生臨時交付金を活用し、基本料金の一部減免を実施します。
下水道に関しては、ストックマネジメントの推進において、新たに不明水対策を兼ね、高リスク管の管渠補修などを実施します。また、これまで蓄積してきた既存の施設を有効に活用するために長寿命化を引き続き進めるとともに、今後の事業推進や補助採択継続のため、公共下水道事業計画を改訂します。農業集落排水事業では、旧浅柄野処理場の設備撤去の準備を進めるとともに、処理槽の清掃を実施します。
地域コミュニティの活性化では、最も身近な地域コミュニティ組織である自治会の活動に対して、自治会活動交付金による支援を継続するとともに、自治ハウスのバリアフリー改修助成などを引き続き実施します。地域振興協議会に対しては、効率的・効果的な運営につながるよう、自治総合センター助成金を活用しながら、年次的にコミュニティ備品の更新を支援していきます。また、持続可能な自治会活動を目指した今後の自治会のあり方に関しては、引き続き自治連合会や地域振興協議会など関係団体と協議しながら、地域課題の解決に向けた取り組みを進めていきます。
図書館では、令和7年4月から図書館サービス向上のため、火曜日開館を実施します。
芸術・文化の推進では、栗東芸術文化会館さきらの老朽化対応として、優先順位を付けながら必要な改修を継続して行い、芸術・文化の拠点としての機能を維持します。
文化財の保存活用では、これまでの現況調査などを踏まえ、旧和中散本舗の保存・活用策を明文化した保存活用計画を策定し、今後の利活用につなげます。
環境施策については、住宅用太陽光発電システム等の設置補助や地方創生臨時交付金を活用した省エネ家電の購入補助を引き続き実施するとともに、生ごみ減量化推進補助を拡充します。また、「災害廃棄物処理計画」の実効性を高めるため、災害廃棄物仮置き場の選定基礎調査を引き続き実施するとともに、現下の墓地需要に対応するため、新たに墓地公園内に合葬墓を整備します。
旧RD最終処分場問題については、県において引き続き行われているモニタリング調査の結果を注視し、安全で安心できる土地であることを確認しながら、跡地利用についても周辺自治会の皆様の意向を十分尊重し、県と連携して取り組んでいきます。
火葬場の整備については、草津栗東行政事務組合において、造成工事並びに建築設計に取りかかることから、今後も事業が円滑に推進されるよう、組合および草津市と連携して取り組んでいきます。
環境センターについては、日常的な一般廃棄物処理業務に支障をきたすことが無いよう、現施設の継続的な改修・修繕を行いつつ、令和5年度に、現位置での施設更新整備を進めることについて、地元および周辺自治会から一定の了承が得られたことを踏まえ、見直し策定した「ごみ処理施設整備基本計画改訂版」に基づく現施設の基幹的整備改良工事の実施に向け、長寿命化総合計画の策定および工事発注仕様書の作成を行います。
草津川の跡地利用に関しては、草津市と共同で計画的に事業進捗を図ります。

5.参画したくなる、新時代のパートナーシップを追求するまちへ

従来の手法や価値観にとらわれない行政運営や、市民の力を引き出し、愛着・誇りを持てるまちづくりの実践に努めます。
まちづくりは行政だけで実現できるものではなく、市民、事業者との協働が不可欠です。そのためにも、市民や事業者の皆様がまちに愛着を持ち、力を最大限に発揮してもらえるようにすることが必要です。
市民参画と協働によるまちづくりでは、引き続き、元気創造まちづくり事業や未来へつなぐ市民活動応援事業を実施する中で、市民参画と協働を推進するとともに、中間支援機能の強化に努めます。
総合計画については、第六次総合計画後期基本計画に掲げる諸施策を推進するとともに、地方創生(総合戦略)については、国の交付金を活用しながら、引き続きデジタルを活用したまちづくり施策を推進します。また、結婚新生活支援事業では、新たに市独自の加算を設ける中で、栗東ならではの少子化対策・定住促進につなげます。
ふるさとりっとう応援寄附金や企業版ふるさと納税寄附金については、本市の魅力をポータルサイト活用により効果的に発信し、地域資源を活かした特産品や体験など返礼品のさらなる拡充等により、寄附の推進につなげます。
行政改革については、第九次行政改革大綱やDX推進計画に基づき、これまで以上にスクラップ&ビルドを意識した事務事業の見直しを行い、デジタル技術やこれまでの価値観にとらわれない人材活用により、効率的・効果的な行政運営につなげます。また、財源確保策として、引き続き、有料広告事業を実施するとともに、市のプロモーションを兼ねたくりちゃんのLINEスタンプ販売を始めます。
財政については、安定的な財政運営の実現を目指すとともに、財政運営基本方針に沿った財政運営を引き続き行います。また、公共施設のエネルギー高騰対策として、アウトソーシングにより、安定的で安価な電力需給になるよう努めていきます。
人材育成では、栗東(まち)の未来を切り拓く、チャレンジ精神旺盛な職員となるよう、地域力創造アドバイザーを活用した取り組みや職階ごとに必要とされる能力向上を目指した研修、日常の業務を通じた人材育成を行いながら、人材育成基本方針の改訂に着手します。
国の自治体DX推進の関係では、基幹系システムの標準化対応として、12月に国の標準準拠システムに移行します。また、戸籍の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加に向け、通知発送により確認を行っていきます。また、マイナンバーカードについては、急増が予測される5年更新を迎える人への対応を行っていきます。
「新しい地方経済・生活環境創生交付金」のデジタル実装型を活用した施策では、市民皆様の利便性向上のため、「庁内窓口手数料のキャッシュレス決済システム」を導入するとともに、市内小中学校では、「保護者宛一斉配信システム」を導入し、即時性がある情報発信を行っていきます。また、様々なデジタル情報媒体活用により、これからの栗東(まち)づくりを担う職員採用、人材確保を行っていきます。
情報セキュリティ対策では、情報漏えい等がないよう、引き続き情報セキュリティポリシーや個人情報保護法に基づく対応に努めます。また、組織のコンプライアンス力向上のため、内部通報制度の外部通報窓口を設置します。
広報については、これまでの広報紙やホームページ、Facebook、市公式LINEに加え、新たにインスタグラムの運用を開始し、様々なメディアや媒体を活用することにより、双方向を意識した市政情報の効果的な発信を行っていきます。
シティプロモーションについては、クラウドファンディング型ふるさと納税の活用により、市のマスコットキャラクター「くりちゃん」のぬいぐるみなどを作成し、積極的に本市のPRを行います。また、アニメ・ゲームコンテンツとのコラボや各種イベントの参加によるPR活動を展開することにより、馬のまちにちなんだ情報発信を行い、その認知向上につなげていきます。

 


以上、令和7年度の主要施策の方針を申し上げましたが、歳入においては、国・県の負担金や補助金といった特定財源を最大限確保し、必要な施策に必要な予算が配分されるよう配慮した予算といたしました。
その結果、一般会計の総額は310億1,900万円となり、前年度比7.7%、22億500万円増の予算となりました。
また、特別会計は9会計で、161億3,600万円、一般会計と特別会計の合計では、471億5,500万円、前年度比4.4%、19億9,400万円増の予算となりました。

むすびに

これまで本市は、新幹線新駅事業の中止以降、財政健全化に向けて懸命に取り組んできました。そのような財政的に厳しい状況であっても、社会経済情勢の動向を注視しながら、必要な行政需要には柔軟に対応してきたところです。その流れは、これからも踏襲していきたいと考えています。
現在も第一線で活躍されている本市出身の騎手、武豊さんが過去に語られた言葉が印象に残っています。
「とにかく、やるべきこと、やれることを全部やっていくつもりです。その結果、見ている人をワクワクさせるようなレースができればいいなと思っているんです」
この言葉を私流にまちづくりについて申し上げると、「とにかく、やれることはすべてやっていきます。その結果、市民に住み続けてもらえる、住んでよかったと実感してもらえる楽しいまちにしていきたい」でありましょうか。
巳年の本年は、再生や変化を繰り返しながら、柔軟に発展する復活の年です。巳年にかけて、実を結ぶ年とも言われています。
課題や困難があっても、チャレンジし続ければ必ずや新しい景色が見えてくる、そう信じて、何事にも貪欲にチャレンジしていきたいと考えています。
原油価格・物価高騰の先行きが見通せないことに加え、いまだ厳しい財政状況ではありますが、市民の皆様にとってどのような政策・施策の展開が必要かを考え予算の編成を行いました。
これまでの財政健全化の流れを継承しつつ、エビデンスによる検証を踏まえて今までの価値観や慣習を見直し、前例踏襲にとらわれない仕事をさらに進め、「ここにしかない」を活かしチャレンジしながら、一歩ずつ前進していくことで「楽しいまちを創る」、そのことに全力を傾注し、市政運営に取り組んでまいります。
どうか、議員皆様ならびに市民皆様の変わらぬご理解、ご指導、ご協力を重ねてお願い申し上げ、令和7年度の施政方針といたします。

この記事に関するお問い合わせ先

秘書広聴課(秘書広聴係、渉外係、市民対話室)
〒520-3088
栗東市安養寺一丁目13番33号 栗東市役所3階
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ファックス:077-553-1280
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