第1期所信表明

更新日:2023年01月04日

はじめに

はじめに、3期12年にわたって栗東市政の舵取りを担ってこられました野村昌弘前市長に心から敬意と感謝を申し上げます。特に就任当初から大変厳しい状況であった市財政の健全化に尽力され、その道筋を立てられたことは特筆すべきものであり、その歩みをしっかりと引き継いでまいります。

 

それでは所信の一端を述べさせていただきます。

過日行われました栗東市長選挙において、市民皆様の信任を得て栗東市政の舵取りを担うことになり、改めてこの場に立ってみますと、栗東市民7万人のために働かなければならないという職責の重さに身の引き締まる思いであります。粉骨砕身の決意のもと全身全霊で市政運営に邁進してまいります。

とりわけ、二元代表制の一翼を担われる市議会議員の皆様とは、緊張感を持ちつつ前向きな議論を通じて栗東市政を前に進めてまいりたいと考えておりますので、ご理解ご協力をお願い申し上げますとともに、議会の場のみならずご指導いただきますようお願い申し上げます。

 

さて、本市は、国道1号、8号という主要国道がまちの中央を貫く背景に加え、昭和38年に名神栗東インターチェンジが設置されて以来、交通の要衝として工場や物流拠点が数多く立地し、高度経済成長期とも相まって急速な発展を遂げてまいりました。

市の北部にあたる大宝エリアには平成3年にJR栗東駅が開設されて以来、数多くのマンションが立ち並び、流入人口が急速に増加し、本市の人口増を牽引するなど、まさに道路、鉄道の交通インフラ整備を背景として本市の経済成長を後押ししてまいりました。

一方、市の南部にあたる金勝エリアは、市面積の半分近くを占める山々が古くから私たちにその恵みをもたらし、近年では湖南アルプスとしてハイカーなどに愛される山として認知されるなど、大きな視点で見れば、本市は都市と自然の両方を兼ね備えたバランスのとれたまちと言えるのではないでしょうか。

このようなまちの特徴がある中で、行政課題として大きく横たわるのが財政運営であります。ご承知の通り、本市は財政健全化に向かう途上にあり、財政運営基本方針のもとで予断を許すことなくその歩みを進めていかなければなりません。

また、日本全体が少子高齢化、人口減少社会へと移行する中にあっても、本市は低い高齢化率の維持と若い世代の流入による人口増加を持続してきた一方で、ここにきて人口増加率が足踏みしており、「栗東市人口ビジョン」の想定よりも早く人口増加がピークアウトすると考えています。とりわけ、子育て世代の流出は、次代の栗東を担う活力が失われる懸念があり、より効果的な施策を推進するためにも調査と検証を進める必要があると認識しています。

加えて、本市は市外から人を呼び込める施設が官民ともに少ないことが一要因となり、交流人口は県下でも下位に甘んじている状況であることから、人を呼び込める施策を早急に講じる必要もあると認識しています。

一方で市民生活に欠かせない施策も重要であり、特に環境センターについては、現施設の安定的な稼働の継続や、間近に迫る新施設の更新についても関係地域の皆様と膝を突き合わせて様々なご意見を伺いながら丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。

 

以上、他にも多くの課題がある中で本市の現状認識と主要な課題の一例をお示しいたしましたが、私は今後の市政運営につきましては、栗東の基盤、現況を俯瞰しながら、まちの特性、課題、強み、弱みを分析しつつ、「積極的に先を見据えた新たな時代の栗東(まち)づくり」を現在の社会情勢を鑑みて推進する必要があると強く感じております。

こうした理念の下で今後の四年間において重点的に進めようとしている政策の方向性について順次申し述べます。

施政方針に基づく主たる取り組み

一つ目に

『地域の宝を活かし、市民の憩いの場を創出しつつ、交流人口倍増に挑戦』であります。

我がまち栗東は「日本中央競馬会 栗東トレーニング・センター」があることなどから既に市内外にわたって「馬のまち」として名を馳せています。この地域の宝とも言うべき「馬のまち」のイメージを活かすことが大変重要であると考えます。

現在は「馬のまち」のイメージが先行する一方で、馬と触れ合える場所や機会がほとんどなく、馬を通じたまちづくりが出来ていないのが現状です。

そこで、引退競走馬を活用した栗東健康運動公園(ホースパーク)の建設を推進し、栗東のランドマークとも言うべき施設の整備を進めてまいります。

また、緑豊かな金勝山には「日産リーフの森」「バンガロー村」「平谷球場」などの面整備が既にできており、近隣市町にはない素晴らしい景色を望むこともできるポテンシャルの高い眺望エリアにもなっています。一方で、施設の老朽化や時代のニーズに合わない利用ルール等もあると考えられることから、観光、スポーツ、教育などの拠点として誘客が図れるよう民間活力を導入しハード、ソフト含めた再整備に取り組んでまいります。

 

二つ目は、

『子どもは地域の宝、子育てするなら栗東で』であります。

栗東で結婚し、子どもを産み育てたいと思えるまちにしていかなければなりません。言うまでもなく子どもは地域の宝であり、まちの元気の源泉であります。

まずは、市役所で結婚や出産を祝福し、まちをあげて喜び合える風土づくりにつなげていく必要があると考えます。

その上で、妊娠期から子育て期までの切れ目のない子育て支援に取り組み、出産・子育て応援交付金制度の拡充や乳幼児へのおむつ助成制度、預かり保育、延長保育の助成制度など、子育てサポートの充実を図ってまいります。

また、必要な地域には民設の保育所等の整備を進め、保護者のニーズに応えられる受け皿の確保に努めます。

更には、滋賀県が推進する子ども医療費助成制度を見据えて、中学生までの助成制度拡大について検討してまいります。

 

三つ目に

『一人ひとりの児童・生徒が輝ける魅力ある学校づくり』であります。

児童、生徒にとって学校生活はその一瞬一瞬が重要であり、そこに関わる私たち大人はある意味失敗が許されません。あらゆるリソースを最大限活かして、子ども達にとって必要な施策を展開していかなければなりません。

特にタブレットなどのICTの活用は今日の教育では必須であり、これらを効果的に使いつつ学力の向上に繋げなければなりません。さらに、栗東子育て教育Nextプロジェクトの充実を図り、非認知能力を上げ、それを支える“教師力”を強化し、確かな学力向上を目指します。

また、いじめの未然防止に力点をおくとともに、万一いじめが起こったとしても早期発見、対応し、子どもたちの人権が尊重され、いじめを許さない学校づくりを目指します。

更には、生徒の健全育成にも必要な休日の部活動地域移行については、基盤強化に向け、専門的で継続的な学外指導員を充実させ、生徒の部活動を支えてまいります。

そして、今回の選挙戦でも争点となりました学校給食5日制の実現については、受益者負担の原則を維持しつつ関係者と協議の上、可能な限り早い段階で実施してまいります。

 

四つ目に

『市民の生命と財産を守る実効性のある防災体制の確立へ』であります。

改めて申し上げるまでもなく、市民の命と財産を守ることは行政の最大の責務であります。まずは災害を未然に防ぐ観点から、滋賀県とともに協調、連携しながら市内を流れる金勝川・葉山川・中ノ井川の改修に引き続き取り組みます。

また、有事の際にいかに実効性ある対処ができるのか、市民が行動できるのかが重要であります。そのためにも国、県と連携した地域防災力強化と、実効性のある組織体制の確立に努めます。

加えて、有事の際は、市民に対する情報提供が大変重要であり、その手段も広範に及ぶものでなければなりません。スマートフォンなどは防災面からも大変有用なツールであり、今後も活用していかなければなりませんが、全ての市民が使いこなせる訳ではありません。無線機的な機器の活用の併用も検討しつつ、人と人とが繋がり命と暮らしを守れる防災ネットワークの構築に努めます。

 

五つ目に、

『地元の産業・企業の活性化は、まちの元気の源』であります。

本市の財政運営を考える上で、大変重要な部分が税収であります。特に企業からの税収が財政計画に及ぼす効果を鑑みれば、上位計画の見直しを含めた検討を進めるなど更なる政策誘導による企業立地は必須であります。

特に本市は従前から交通の要衝という地理的優位性がある上に、新たに国道バイパス等の開通を控えるなども相まって、企業からの立地ニーズもより高くなっていることから、これを一層推進することで税収効果、雇用拡大のみならず、福祉や教育等の拡充につなげる必要があります。

また、既に本市に立地していただいている民間企業の力を更に引き出し、ともに成長発展していけるよう、公の契約において、地元企業の受注機会の確保および育成に努めます。

併せて、本市の経済と安心の雇用を促進し、いきいき働けるまちを目指していくうえでは、女性の持つ潜在能力を活かし、活躍できる環境を整えていくことが重要です。育児ブランク後の学ぶ機会に対しての助成制度の創設や、女性が活躍できる起業・創業に関する支援制度の拡充に努めるなど、女性活躍の推進に取り組んでまいります。

更には、林業や農業の分野については横たわる課題が担い手の不足など共通しています。例えば農林業とスポーツ、文化を組み合わせるなど、新たな視点による持続可能な仕組み構築に努めてまいります。

 

六つ目に

『従来の手法や価値観にとらわれない行政運営』であります。

人口減少、少子高齢化が進行し、厳しい財政状況を勘案すると行政のスリム化は一定必要と考えますが、スリム化が目的となって市民サービスが低下するようでは本末転倒です。市民のために本当に必要なことは何なのかを常に問いかけながら、不必要な行政内部の形骸化した制度や仕組みを排除していきます。併せて行政内部の意思決定の高速化も推進してまいります。

また、先を見据えた施策を推進するには失敗を恐れないチャレンジ精神旺盛な職員が必要です。市民サービスの向上を図るために、時代や環境の変化に適切かつ柔軟に対応できる人材育成を推進するとともに、若手、ベテラン問わず、すべての職員が闊達に仕事をできる仕組みづくりに取り組みます。

 

七つ目に、

『スポーツの推進と予防医療でいきいきと生活できる健康なまちへ』であります。

スポーツに取り組むことで体力の向上、健康保持のみならず様々な効果があることは言うまでもなく、高齢社会が進むにつれ、その役割は重要になっています。既に地域や団体で主体的に取り組んでおられる競技に対しては更に後押しできるよう努めるとともに、新たにスポーツに取り組まれる主体に対しても応援してまいります。

また、結婚、出産、子育て、子どもの独立などのライフステージや多様化するライフスタイルに応じたスポーツ機会の拡充を図るとともに環境整備の向上に努めます。

3年後に開催される国スポ・障スポ大会はスポーツを振興するにあたって更なる契機としていかなければなりません。スポーツ協会などと力を合わせながら「する」「みる」「ささえる」スポーツ人口の増加に努めます。

予防医療の推進は健康保持、健康寿命の延伸にとどまらず、豊かで安心な生活にもつながります。「健康は守るもの」から「健康はつくるもの」という視点に立って、予防歯科やがんの早期発見など、予防医療の促進に努めます。

 

八つ目に、

『コロナ禍を経験した普遍的価値の精査・新しい価値の創造』であります。

新型コロナウイルス感染症については、もはや社会と共存していかなければならないステージに入っています。

今後もワクチン接種をはじめとする国の方針に対して、基礎自治体としての役割に対応していくのは言うまでもありませんが、新型コロナウイルス感染症に対する様々なエビデンスが揃ってきている現状でメディアなどの情報のみに依存せず、冷静に市民に伝えなければなりません。

そのためにも、市民に最も近い位置でメッセージを発することができる基礎自治体の我々が、思考停止しないよう努めていく必要があります。

特に子どもたちのマスク着用については、もはやマスクを着用することが目的、体裁になっている側面もあると思いますが、子どもの成長や将来に向けての課題でもあると認識しています。

こうしたことから、形骸化している新型コロナウイルス感染症対策については、市が可能な範囲で率先して改善し、情報発信できるよう努めてまいります。

また、コロナ禍において地域の事業やイベントが停滞し、人と人とのつながりが希薄化しています。今後、ウィズコロナを踏まえた地域活動の再建が必要であり、行政として地域に寄り添いながらの支援に努めてまいります。

 

最後に九つ目は

『市民のちからを引き出し、愛着・誇りを持てるまちづくりの実践』であります。

今やまちづくりは行政だけで担えるものではありません。先ほど述べましたようにコロナ禍の経験を通じて更にその必要性を実感しており、今後は一層協働のまちづくりを進めていかなければならないという思いを強く抱きました。

また、まちづくりに際しては、多様性を尊重し、人権が尊重される社会の実現をめざし、「一人ひとりの人権を尊重するまちづくり」を基本理念に取り組みます。

高齢者に対しては既に「栗東100歳大学」というプラットホームが確立されており、活動がなされています。今後、更に活性化させ、参加者の拡大と一人ひとりの健康と生きがいを拡充します。

また、地域には、現在も行政だけで担いきれない課題が山積しており、ボランティア、自治会、地域振興協議会、PTAなどの皆さんとともに進める共助のまちづくりが必須であります。その課題の解消に向け地域が持っている潜在的な能力や活力を創出していける仕組みづくりに努めます。

そうした機会を通じ、様々な市民皆様がまちづくりに関わってもらうことが大変重要であると考えており、それがまちに対して愛着や誇りが生まれるきっかけに繋がるものだと考えます。

 

むすびに

以上、この市長選挙期間中において私が市民の皆様に訴えてきたことを中心に九つの政策の柱としてその方向性を申し述べてまいりましたが、本市はその他にも様々な課題を抱える中で実現しなくてはならない政策が山積していることも認識しております。

また、議会の皆様をはじめ、市民の皆様、職員からの提案や助言、気づきによる政策立案も出てこようかと存じますが、政策実現に向けた基本スタンスは、すでに議決も頂戴している第六次栗東市総合計画により推進することと併せ、社会経済情勢の動向を注視しながら柔軟な思考をもってその波に乗り遅れることなく取り組むことであると考えております。

加えまして、私は「ここにしかない」を活かすことが大切であることも言い続けてまいりました。本市にしかない地域資源は、もの、人、こと、自然など多岐に及びます。これを最大限活用することで「楽しいまちを創る」ことに全力を傾注してまいりたいと存じます。

どうか、市議会議員の皆様、市民の皆様には格別のご理解とご指導を賜りますよう改めてお願いを申し上げ、就任にあたっての所信表明といたします。

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