ロタウイルス感染症予防接種について

令和2年10月1日からロタウイルス感染症ワクチンが新たに定期予防接種として開始します。

（（注）令和2年8月1日以後に生まれたお子さんが対象です。）

ロタウイルス感染症とは、ロタウイルスが口から入ることによって引き起こされる病気で、衛生状態に関係なく感染します。主な症状は急性胃腸炎（ロタウイルス胃腸炎）で、突然の嘔吐、発熱、水溶性の下痢が見られます。先進国では死亡例は少ないですが、ときに脱水、けいれん、肝機能異常、腎不全、脳症などの重い合併症を起こし、入院治療に至ることがあります。胃腸炎を発症した場合、症状の回復後1週間程度まで便の中にもウイルスが排せつされ、そのウイルスは空気中にも残りやすいため、感染力が高いといわれています。

ヒトのロタウイルス胃腸炎の原因となるロタウイルスには5種類の血清型があり、何種類の血清型に対応できるかという違いから、日本では2種類のロタウイルスワクチンが製造されています。
(1) ロタリックス（1価ロタウイルスワクチン）
ロタウイルス胃腸炎患者から分離したヒトロタウイルスを弱毒化したものを調整してシロップ状にした経口生ワクチンです。ロタウイルスの中で最も一般的なG1中和抗原を発現するワクチンですが、交叉免疫(※)によってそれ以外のタイプの血清型に対しても予防効果を発揮します。
※交叉免疫とは、構造が似ている違う種類のウイルスに対して免疫がつくことです。
(2) ロタテック（5価ロタウイルスワクチン）
世界中で検出されている主要な5種類のロタウイルス血清型を考慮し、5つの中和抗原をそれぞれ発現するヒトーウシロタウイルス再集合体を調整したシロップ状の経口弱毒生ワクチンです。
上記(1)(2)のワクチンはシロップ状の生ワクチンであり、経口接種となっています。シロップを飲むことでロタウイルスに対する抗体が作られます。飲みこぼした場合でも基本的に再度接種する必要はありません。

※ 初回接種は、生後6週(約1か月半)から生後14週6日（約3か月1週）までに受けてください。

※初回接種が生後15週0日後以降となる場合、腸重積症の危険性が高くなるため、お勧めできません。

注意点 ：このワクチンは接種できる期間が限られています。1回目に選択した種類と同じ種類で接種を完了させましょう。

（1) ロタリックス
国内の臨床試験においてぐずり（7.3％）、下痢（3.5％）、咳・鼻みず（3.3％）が報告されています。その他、 海外では鼓腸（おなかがふくれること）・腹痛・皮膚炎（0.1～1％未満）が報告されています。

(2) ロタテック
国内の臨床試験において下痢（5.5％）、嘔吐（4.2％）、皮膚炎（3.4％）、発熱（1.3％）が報告されています。その他、海外では頻度は不明ですがアナフィラキシー症状（発疹、舌の腫脹など）が報告されています。

(3) 2種類共通であげられる症状（腸重積症について）
腸重積症とは、小腸が大腸の中に入り込み閉塞する病気です。いちごゼリー状の血便、腹痛から、嘔吐、 脱水症状を引き起こすことがあります。ごくまれに腸に穴が開くこともあります。
ロタワクチンの副反応で報告されることがあります。特に初回接種後はリスクが高いといわれていますので、接種後21日間はお子さんの体調の変化に注意してください。もし、腸重積症に近い症状が現れた場合は、 すぐに受診してください。

対象年齢（月齢）、接種回数及び接種間隔などが予防接種法に基づく場合は、定期の予防接種として全額公費負担（無料）