テーマ展「平和のいしずえ2005」

2005年7月24日(日)〜8月21日(日)

 栗東歴史民俗博物館では、平成3年度から戦争と平和をテーマとする「平和のいしずえ」展をひらいてきました。この展覧会は市内外の所蔵者の方々よりご提供いただいた貴重な資料を通じ、戦争の歴史と戦時下の生活を再現することで、地域の視点から平和について考えようとするものです。
 日本の近代はあらゆる人の営みが国家に統合された時代でした。富国強兵策をかかげ、国民皆兵の軍隊を整備した日本政府は、アジアの覇権をめぐって対外戦争を繰り返し、やがて泥沼のアジア・太平洋戦争に突入していきます。政府による国民の教化は、学校教育のなかでも実践されましたが、地域社会にもともと根付いていた自治組織を再編成し、戦争を肯定し支援する銃後団体を育成することで、地域の末端から国民を掌握しようとしました。日本が勝利に沸いた日露戦争後に在郷軍人会、青年団、処女会、婦人会などが相次いで生れ、戦争が激化したアジア・大平洋戦争末期には、隣組・常会を通じて国民ひとりひとりまでもが軍部の政治機構に組み込まれることになります。臨戦意識は、戦地に赴いた兵士だけでなく、村や町で普通の生活を送っていた人々にも共有され、国民一丸となった戦争遂行へと導いていったのです。アジア・太平洋戦争終結60周年目を迎えた本年、政府主導で育成された銃後団体を取り上げ、地域社会が戦争に果たした役割、また戦争が地域社会におよぼした影響、両者の様相を展観し、平和について考えていきたいと思います。

→出品目録はこちらをご覧ください。




<同時開催>

終戦60周年記念 戦跡巡拝写真パネル展
共催:栗東市遺族会

7月24日(日)〜8月21日(日)
於 当館研修室



<関連行事>
戦争遺跡見学会 
〜豊川海軍工廠 栗東からの女子挺身隊の足跡をたどる〜

2005年8月4日(木)
要申込(先着順)


【主な展示資料】

←玉梅社慰問帖 館蔵(里内文庫)
  玉梅社誓盟定約 館蔵(里内文庫)

青年団とならび各地で精神修養のための若者の団体が生まれた。栗東では、辻の両全社、六地蔵・十里の和讃講、林の三省会、中の尚徳会などが寺や氏神を会所として結成された。手原の玉梅社は、氏神二社(稲荷神社・天満宮)の敬神と修養を旨として明治13年に設立された。慰問帖は日露戦争終結直後に玉梅社から大陸に出征した社員に宛てられたもので、行間に勝利と凱旋への歓喜が込められている。日露戦争の戦勝が、若者の国家統合を一気に加速させた。

青年団手簿 館蔵(里内文庫)

青年団員が活動履歴を記録するための携帯手帳。教育勅語と軍人勅諭五箇条ではじまり、徴兵検査や入営の際には必ず携帯するよう指示されている。帝国在郷軍人 奉公袋製作所の発行。

←血染めの千人針 滋賀県所蔵

銃後の婦人団体は、戦地へ慰問袋を送ったり、出征兵士に千人針を送るなどの奉仕活動に従事した。千人針は、千人の女性が晒し布に結び玉を縫い付けたもので、武運長久や弾除に効くと信じられた。血に染まったこの千人針は、家族の願いむなしく帰らぬ人となった兵士の遺品。

ポスター「隣組の国債消化」 滋賀県所蔵

貯蓄額がすべて国際購入資金に振り分けられる国債貯金の強制消化も隣組単位におこなわれた。

←大宝村北中小路の防火訓練

円光寺境内での隣組の消防訓練の様子。隣組の男女が一列に並び、水路の水をバケツリレーで運んでいる。メガホンで指揮をとる組長や、監督する軍人の姿もみえる。



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