-村の人びとの集い

会期:2007年3月24日(土)〜5月6日(日)

 「講(こう)」という言葉は、近年は耳慣れないものになりつつありますが、、今でいえば「グループ」や「サークル」に近い感覚の言葉です。昔ながらの村落には「伊勢講(いせこう)」「頼母子講(たのもしこう)」「行者講(ぎょうじゃこう)」など「講」と呼ばれるグループがいくつも結ばれていました。栗東市内だけでも、戦前までは約170もの講が、村や村組を単位に組織されていました。「講」とひとくちに言っても、宗教、金融、共済など幅広い種類がみられますが、人が寄って飲食する講の集いは、娯楽の少なかった時代において、講の集まりは、たいへん貴重な交歓の機会だったのです。本展では、おもに栗東市内に分布する講を紹介し、村の人びとの集いの様子と背景を探ってみたいと思います。

【展示構成】  →出品目録はこちらをごらんください
 1.代参講
 2.講と民間信仰
 3.村の社寺と講
 4.講の社会的役割
 5.講行事の料理
 6.経済的な講
 スポット.支配の中の講


← ◆ 手原の行者講(栗本講)
       
 昭和10年(1935)8月撮影 手原行者堂所蔵
 手原の行者講は、1月6日に村内の行者堂内で護摩を焚き、夕飯を会食する。7月8月に講で大峰山寺(山上蔵王堂)に参詣し、栗本講とも称した。写真は、栗本講(行者講)一行で高野山登拝をした際に撮影されたもの。裏面の覚書によると、手原だけでなく小野や出庭の若者も混じっていた。麻の白装束に鉢巻を巻き、手には栗本講の「栗」の字の入った笠と錫杖を持ち、首から数珠を下げ、足にはゲートルを巻き、草鞋を履くという旅姿。
◆ 伊勢落の岩上講  →
伊勢落西では氏神の岩上神社を祭る神事を、1月5月12月の年3回、いずれも12日におこなってきた。現在、宴席のある正月12日のみ岩上講と呼ばれ、ほか2回は団子祭と呼ばれている。当日の早朝、本年の当屋と翌年の当屋2名が、バランの葉と藁づとに挟んだしとぎ餅、青竹の御幣を神社に運ぶ。当屋はしとぎ餅を小さくちぎって樫の葉の上に置き、本殿の木階に並べる。参拝者は「おくれ」と口々に呼びかけ、当屋からしとぎ餅をもらう。午後から当番宅(現在は伊勢落会館)で岩上講の宴席があり、ぼうだらの味噌煮、しとぎの菱餅が出される。稲作の象徴たるしとぎを田植直後、収穫直後に神供するこの行事は、稲作の豊穣祈願の神事といえる。
← ◆ 坊袋の日待講
坊袋の日待講は、惇信社と称する若者仲間により1月22日の夕刻か23日早朝にかけておこなわれる。2軒の当番のうち1軒が宿を勤め(現在は集会所)、床の間に「天照皇大神」の掛軸を吊るし、鏡餅、神酒を供え、灯明を絶やさぬよう夜明かしをする。翌日の日の出を拝み、焼餅を食べてから解散する。スルメの大根煮を食べながら若者同士談笑する、楽しい夜であったようだ。
◆ 安養寺の弁財天講のお膳 →

平椀・・水菜と揚げ豆腐  汁・・揚げと大根の味噌汁  皿・・大根の漬物  白飯

村の人びとが会食する講行事では、決まった料理が出された。


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