修法の美術 別尊法と別尊曼荼羅
しゅほう      びじゅつ      べっそんほう  べっそんまんだら

平成19年(2007)10月27日(土)〜12月2日(日)

尊星王像(部分)   園城寺蔵 聖観音曼荼羅図   長寿寺蔵


 平安時代初めに日本にもたらされた密教は、弘法大師空海による真言宗(東密)と、伝教大師最澄とその門下慈覚大師円仁や智証大師円珍らによる天台宗(台密)のふたつの大きな流れを中心に展開します。密教では高度に宗教的な内容を伝えるのに、文字だけでなく図画を重んじてきました。修法などに際してかかげられた本尊のすがたからも、密教世界のほとけのイメージのひろがりの一端をうかがい知ることができます。
 密教においては、息災(わざわいを取り除く)・増益(良いことをうみ出したり、ますます良い状態にする)・敬愛(和合や友好などを求める)・調伏(怨敵や魔障などを降す)など、祈りの目的にあわせてさまざまな本尊を選んで加持祈祷を行いました。目的に応じた性格をもつほとけを選んで本尊として行なう修法を別尊法といい、こういった際に個別にあらわされる本尊は別尊曼荼羅と称されています。これらの修法は経典などに依って行なわれますが、時には独自の工夫や解釈が盛り込まれ、あたらしいかたちが生み出されることもありました。こういった修法が大きな成果を挙げると、その流派の特別な修法として伝えられることもあったのです。
 本展では、近江に伝来する作品を中心に、さまざまな修法の本尊の姿を紹介します。宗教的想像力の広がりの一端を感じ取っていただければ幸いです。

[入館料]この展示の期間中は、入館料が通常とは異なります。ご注意ください。
大人500円(300円)/高大生300円(150円)/小中生150円(50円)
 ※( )内は優待券をお持ちの方 ※20名以上の団体は各50円引き

[展示構成]
1.ほとけたちの宇宙 2.祈りとかたち 3.修法を彩る法具 4.受け継がれる祈り

[主な出品資料]  →出品目録はこちら
尊星王像(重要文化財) 園城寺/黄金剛童子像(重要文化財) 園城寺/普賢延命像(重要美術品) 延暦寺/聖観音曼荼羅図(滋賀県指定文化財) 長寿寺/釈迦如来及四天王像(重要美術品) 常楽寺/木造四天王像(大阪府指定文化財) 大聖勝軍寺/地蔵菩薩像(重要文化財) 浄信寺/三面千手観音像  浄信寺/金銅火舎(重要文化財) 常楽寺/金銅密教法具(滋賀県指定文化財) 西明寺/銅造独鈷杵(栗東市指定文化財) 金勝寺/戒場本尊三聖像 東方山安養寺 ほか

【関連行事】
●歴史フォーラム 「祈りと創造 ―修法の世界からみえること」
 日時:11月4日(日) 午後1時30分から午後4時30分

 内容:≪第1部≫
   講演「修法の世界からみえる歴史」    上川通夫 氏(愛知県立大学文学部 教授)
   報告「山門の秘法四天王法の創出 −常楽寺蔵 絹本著色釈迦如来并四天王像から」
                       松岡久美子  (栗東歴史民俗博物館 学芸員)
    ≪第2部≫フォーラム「いのりと創造 ―修法の世界からみえること」
      パネラー 上川通夫 氏 松岡久美子/司会 佐々木 進(栗東歴史民俗博物館 館長)
 参加:定員100名(先着順、申し込みは栗東歴史民俗博物館まで)、参加費200円

●ギャラリートーク(展示のなかからそれぞれテーマに沿って案内します。申込み参加費とも不要。)
 各回とも午後1時半から30分程度
  11月10日(土)「千手観音をめぐる想像力」
  11月18日(日)「意楽のほとけたち」
  11月24日(土)「近世の祈り―東方山安養寺の資料を中心に」

催し物案内に戻る

表紙に戻る


直線上に配置
栗 東 歴 史 民 俗 博 物 館
〒520-3016 滋賀県栗東市小野223-8
電話 077-554-2733 fax 077-554-2755
http://www.city.ritto.lg.jp/hakubutsukan/