登録有形文化財
移築民家 旧中島家住宅(きゅう なかじまけ じゅうたく)

 旧中島家住宅は、博物館本館の向かいに移築復元された民家です。

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▲ 旧中島家住宅全景(移築当初)
 【旧中島家住宅の紹介】

  栗東市霊仙寺に所在していた旧中島家住宅は、集落の南に位置し、東北に三上山を西に、比良山系・比叡山を仰ぐ眺めのいい場所に建っていました。当家は同じ霊仙寺村から分家したいわゆる隠居屋で、初代当主(文次郎、嘉永3年=1850年生まれ)は米屋を営んでいました。この建物の創建年代を示す古文書などの記録は見当たりませんが、主屋の細部構造や、建築手法からみて江戸末、明治初年頃の創建と考えられます。

  昭和61年に寄贈を受けて解体調査が行われ、平成5年に保存されていた解体材と新補材により移築復元されました。平成6月5月1日より一般公開されています。
  当建物は創建以来、幾度もの改造および修理を受けていますが、調査及び史料により創建当初の形式に戻し復元しています。
  当初の調査の時点では、屋根は入母造、茅葺きで四面が桟瓦葺の庇となっていました。しかし、創建当初の屋根材を考えれば、当該時期の当地にあっては麦藁で葺くのが通例であり、中島家もミザラ天井裏に葺き替え用の麦藁を毎年蓄えていました。
  


 中島家住宅は「田の字型四間取り」と呼ばれている間取りの居室を持つ民家です。漢字の「田」の字のかたちにダイドコ・ナンド・デイ・オクノマの4部屋が配されているため、「田の字型」といいます。

 北方に居室、南方に土間、ウマヤが配されています。農家に多く見られるウマヤは土間の一角(南西隅)にあり、居室の上手にはオクノマ(6畳)とナンド(4.5畳)、下手にはデイ(6畳)とダイドコ(板間4.5畳)があります。(方位は移築前のもので現在とは異なります)
 ウマヤの位置は当地の民家の例からすると入り口を入ってすぐ左側に設けられるのが通例なのですが、当家に限っては土間奥に設けられていました。これは、初代当主が米屋を営む上で土間を店先や作業場に利用したためと考えられます。
  この建物は江戸時代末から明治初年に当地方で建てられた中規模農家の一類型をなし、農村生活の在り方をよく伝えています。

 現在、部屋の中には昭和初期のしつらえを再現しています。

    →中島家探検マップ
▼ 旧中島家住宅平面図



【各部屋の名称と性格】

@ダイドコ…ごはんを食べる部屋(食堂)
ダイドコは家族が食事をとる部屋で、床は板敷きになっており、大きなミズヤタンス(水屋箪笥)が置かれています。大正末期頃から「ちゃぶ台」が普及しはじめますが、それ以前は、家族のひとりひとりにハコゼンと呼ばれる膳が用意されていて、床に置いたハコゼンに食器を並べてご飯を食べていました。

Aナンド…寝起きをする部屋(寝室)
ナンドはふとんを敷いて寝たり、着物を着替えたり、髪の毛を結ったりする、家のなかでもっともプライベートな部屋です。ナンドには主に若夫婦が寝起きし、女の人は子供を寝かしつけたり、針仕事をしたりもしました。

Bデイ…お客さんを通す部屋(客間)
デイは日常のお客さんを迎える部屋でした。また当主が火鉢にあたったり、煙草を吸ったりしてくつろいだりする部屋でもありました。デイの北東隅(茶箪笥の上)には神棚が祭られています。

Cオクノマ…あらたまった部屋(座敷・仏間)
オクノマには先祖代々の位牌を祭った仏壇が置かれ、家のなかでもっとも改まった部屋です。昭和初期の結婚式やお葬式は自宅でおこなわれるのが普通で、冠婚葬祭や法事・神事の際の席にオクノマが使われました。

Dニワ(土間)
土間には土製のカマド(ヘッツイ)がしつらえてあり、女の人が食事の煮炊きをしました。中島家のカマドは湾曲した形で、5ヶ所の焚き口を持っており、ここに薪を入れて火を起こしました。カマドと並んでウマヤがあります。ウマヤには農業に使う牛を飼っていました。家畜である牛を家のなかに飼っているのはなぜなのでしょうか。これは田を耕してくれる牛が家族にとってどれほど大切だったのかを示すものです。いつどんな時も家族が牛の様子を見守ることができる場所に牛の小屋を作ったのです。牛小屋の柱に貼られた牛の御札もそんな牛への思いを物語っています。また、ニワでは藁打ちや畑作物の選別など簡単な労働もおこなわれました。ニワは玄関・作業場・炊事場・物置をかねた空間でした。



建物構造等の概要】

[構造]
木造平屋建民家
桁行12.665m     梁間7.95m(一部8.68m)
本建:入母屋造、茅葺(桁行8.96m、梁間4.95m)、四面庇付、桟瓦葺

[平面]
北方が田の字型四間取り居室。南方が土間およびウマヤ。
ウマヤは、南西隅に設け、土間は正背面に出入り口を開いている。
居室は上手に「オクノマ」六畳、「ナンド」四畳半。下手に「デイ」六畳、「ダイドコ」四畳半となっている。
入り口左手の南東隅に風呂と便所があり、ヘッツイ(カマド)はダイドコに近接している。
建築面積 102.58u  延床面積 91.81u建築面積102.58u、床面積91.8u



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