【平成5年度の展覧会】

◆収蔵品展―栗東の歴史風土を探る
会期:平成5年3月25日から平成5年4月25日まで

 博物館では、寄贈・寄託および購入によって資料の収蔵に努めています。平成5年度は、博物館の新収蔵品を中心に、美術工芸・歴史・考古の各分野から栗東の歴史と文化を端的に示す優れた資料を出品し展示を通じてわがまちの歴史風土を探りました。
 主な展示資料として、栗東町岡出身の文人画家 岡笠山筆の「紙本墨画鶴図」、栗太郡などで活躍した戦国武将の肖像画「絹本著色山岡景以像」、漢方医が十二経絡を説明するのに使った「経絡人形」などを展示しました。


◆企画展「奈良絵本」
会期:平成5年4月29日から平成5年5月30日まで

 「奈良絵本」ということばがはじめて紹介されたのは明治時代末期のこととされています。奈良の南都絵所でつくられたことから奈良絵本と呼ばれるということについては、近年反論が出されています。この奈良絵本が注目され研究されるようになったのは昭和になって文学作品の「お伽草子」への関心が高まってからです。
 今回は、奈良絵本を一堂に会し公家・武家・庶民といった物語別に分けて展示しました。


◆第4回里内文庫展「描かれた近江」
会期:平成5年6月4日から平成5年7月4日まで

 近江は歴史上の伝説や物語の舞台に富み、絵双紙にも多く登場しています。4回目となる里内文庫展では郷土を描いた版画を中心に里内文庫コレクションの内から「江州安土城乃図」・葛飾北斎筆の浮世絵版画「東海道五十三次」・手原を舞台にした歌舞伎「源平布引滝」の絵看板等多くの資料を展示しました。


◆第2回マイ・コレクション展
会期:平成5年7月8日から平成5年8月1日まで

 2年目を迎えたこの展覧会では、中学校生徒のグループ製作による大型貼り絵や生まれ年の干支人形・趣味で集めたキーホルダー・全国のJHカード等バラエティにとんだ展示となりました。


◆第3回テーマ展「平和のいしずえ」
会期:平成5年8月15日から平成5年8月31日まで

 本展では西南戦争から第2次世界大戦にまで及ぶ数々の戦争・軍隊や戦地での生活、そして戦いを支えた内地の人々の暮らし、特に集団疎開を余儀なくされた子供たちの姿にスポットを当てた展示を行いました。


◆平成4年度埋蔵文化財発掘調査速報展
会期:平成5年9月4日から平成5年10月11日まで

 栗東町は県内でも埋蔵文化財の宝庫として知られています。平成4年度も三十数件の発掘調査が実施されました。その中から代表的な下鈎遺跡、手原遺跡、和田古墳群など遺跡の出土品やパネル写真を用いて展示しました。展示に併せて「遺跡発掘調査スライド報告会」を実施し、多くの愛好者でにぎわいました。


◆企画展「かみとほとけのかたち―湖南地方を中心とした神像と本地仏の世界―」
会期:平成5年10月16日から平成5年11月23日まで

 明治初年、新政府によって行われた神仏分離令は、全国的に廃仏毀釈運動を引き起こしました。神社別当や社僧の還俗をはじめ、神社にあった宮寺や別当寺から仏像や仏画などは取り除かれあるいは焼却されたのです。廃仏毀釈の嵐はすさまじく、いつしか神仏一体のものとして祠っていたことすら次第に忘れられようとしています。わが国に仏教が伝来してまもなく神仏の習合が始まります。平安時代になると、仏や菩薩が衆生を救うため、仮に姿をかえて現れるという本地垂迹思想があらわれます。やがて紙と仏とが同格とされ、紙にそれぞれ本地仏が定められるようになるのです。今回は、主に湖南地方の優れた神像や本地仏を通して神仏習合が日常生活そのものの中にしっかりと根をはっていた頃の「こころ」を思い起こそうとする展示としたしました。


◆栗東町の民具2「衣服とくらし―きる・はく・かぶる―」
会期:平成5年11月23日から平成6年1月16日

 収蔵されてきた民具資料の中から今回は、衣生活にかかわる衣服を中心に栗東地域で織られ着つづけられた常着、仕事着、晴れ着を展示しました。以前の村の女性たちは、家族のために綿をつくり糸を染め、機を織ってきました。くらしにかかわる衣服の中で、仕事着には夏用、冬用があり炎天下には笠をかぶり雨の日には蓑をつけます。足に伽半をつけ草履や草鞋をはき、腕には手甲をつけるといった天候にあった組み合わせとなります。今回は、町内で伝統的に身につけられてきた着るもの・履くもの・被るものを展示しました。


◆特別陳列「旧和中散本舗 大角家の絵画展」
会期:平成6年1月22日から平成6年2月13日

 栗東町六地蔵に位置する大住家住宅(重要文化財)は、街道の名物として評判の高い漢方薬「和中散」の製造・販売を営む和中散本舗でした。和中散の創製は慶長16年(1611)とも元和元年(1615)ともいわれています。東海道に沿った六地蔵は「梅木村」とも通称されますが、「梅木和中散」は街道の名所として各種の名所図会や紀行文、浮世絵版画などで紹介され武蔵国や摂津国大森にも和中散屋が進出することとなりました。大角家は石部・草津両宿の「間の宿」であるため、諸大名の小休所を兼ね、接客は書院でおこなわれましたが曽我蕭白筆の襖絵や天袋小襖、狩野永納筆の屏風など優れた絵画を建具・ちょうどとして備えており小休本陣の名にふさわしい格式をたもっています。旧和中散本舗としての大角家にスポットをあて、伝来する主な絵画を紹介しました。
※「大角家」の「角」の字は、本来は5画目が下に突き抜けますが、ここでは「角」の字で代用していることをお断り申し上げます。


◆企画展「お米を作り始めた頃―霊仙寺遺跡と遠賀川式土器―」
会期:平成6年2月19日から平成6年3月27日

 日本で米作りが開始された時期はいまだに確定的ではありませんが、少なくとも縄文時代の終わりごろ、朝鮮半島あるいは中国大陸から水田稲作による米作りの技術が北部九州にもたらされたことはほぼ間違いありません。ほどなくしてこの技術が独特な形をした遠賀川式土器や道・工・農具そしておそらく、精神的な「文化」も伴って、これ以降西日本においては遠賀川式土器に象徴される弥生文化が各地で発展していきます。今回の展示では、栗東町の霊仙寺遺跡から出土した県内でも最も古い遠賀川式土器のひとつと考えられる資料をはじめ、各地の遠賀川式土器をとりあげ、この文化のもつ共通性を持った一様な広がりを明らかにするとともに、そこから生み出され発展して言った各地の弥生文化の様相をそれぞれの特徴あるいは土器を通してみていこうという展示としました。

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栗 東 歴 史 民 俗 博 物 館
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