「国際博物館の日」記念事業 ※「国際博物館の日」について
特別陳列 安楽寺の文化財
平成16年5月22日(土)〜6月20日(日)
▲安楽寺本尊 木造千手観音立像(重要文化財)
旧栗太郡物部村(現 守山市勝部)の安楽寺は、中山道守山宿の東に位置し、寺伝には聖徳太子の創建とする。江戸時代の寛文年中(1661〜1673)に、宇治の黄檗山萬福寺を訪れた勝部村の三上氏某の求めにより、黄檗僧平石道樹(へいせきどうじゅ ?〜1716)が住持となって当寺を再興し、以後近年に離脱するまで黄檗宗に属した。
黄檗寺院として再興される以前の寺史については不明な点が多い。「江州栗本郡勝部村乾勝山安楽禅寺興復記」(『近江栗太郡志』巻5)には「止観之場」、「観音霊場と称して、本邑地神勝部大明神の奥院と為す」とあり、天台宗の影響下にあった時期がみられたこと、また近隣に所在する勝部神社の奥の院とされていたことが知られる。
安楽寺本尊の木造千手観音立像(重要文化財)は平安時代後期に遡る優れた作域をしめす像で、勝部神社の本地仏と伝えられてきた。勝部神社に残る江戸時代の記録は、本地を勝軍地蔵としているが、一般に勝軍地蔵に対する信仰が興隆するのは中世以降であることから、それ以前にはこの千手観音像が勝部神社の本地仏であったのだろう。安楽寺にはほかにも鎌倉時代に遡る木造聖観音立像や、古いものは南北朝時代ごろまで遡るとみられる木造二十八部衆立像などが伝来する。勝部神社は、応仁文明の兵乱に被災したことを伝えており、当寺についても中世後期の兵乱によって一旦衰退したとみられる。
平石道樹は、はじめ臨済禅に投じ、のちに黄檗4代となる独湛性瑩(どくたんしょうけい 1628〜1706)に参じた。安楽寺住持として観音殿を再建したのち、龍泉山洞雲寺の中興として江戸に向かったが、安楽寺はそののち平石の法系とみられる遠谿元鑑が後を継ぎ、さらに寺観を整えている。
本展が安楽寺に伝わる文化財について、理解を深めていただく機会になれば幸いです。
▼「国際博物館の日」について
【出品目録】
作品名 | 数量 | 法量(p) | 時代 | |
1 | 木造千手観音立像 (重要文化財) | 1躯 | 162.1 | 平安時代 |
2 | 銅造誕生釈迦立像 | 1躯 | 15.0(現状総高) | 平安時代 |
3 | 木造観音菩薩立像 | 1躯 | 54.0(現状高) | 鎌倉時代 |
4 | 木造二十八部衆立像 | 9躯 | 73.0〜88.9(現状高) | 南北朝〜江戸時代 |
5 | 木造大日如来坐像 | 1躯 | 30.9 | 室町時代 |
6 | 木造千手観音立像 | 1躯 | 64.5 | 江戸時代 |
7 | 絹本著色涅槃図 | 1幅 | 116.8×118.0 | 南北朝時代 |
8 | 紙本著色隠元禅師像 | 1幅 | 116.9×39.8 | 江戸時代 |
9 | 絹本著色平石和尚像 | 1幅 | 96.3×40.9 | 江戸時代 |
10 | 紙本著色釈迦十六善神像 | 1幅 | 115.2×55.6 | 江戸時代 |
11 | 紙本著色五百羅漢図 | 1幅 | 179.6×129.5 | 江戸時代 |
12 | 大般若経 | 一括 | 江戸時代 |
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