【平成24年度の催し物】

◎通史展示◎
通史展示「栗東の歴史と民俗」

◎特集展示など◎

小地域展「東坂の歴史と文化」
会期:平成24年3月3日(土曜日)から平成24年4月15日(日曜日)まで
 栗東歴史民俗博物館では平成12年度から毎年度、市内のひとつの大字を取上げ、その歴史と文化を紹介する展覧会を開催してきました。平成23年度は旧金勝村から、金勝川上流の山麓に位置する東坂地区を取り上げます。
 東坂という地名は、金勝寺に登る東側の参道にあたることに由来し、平安時代の金勝寺の寺領を描いたとされる『金勝寺四至絵図』にも、「東坂本」という地名が記されています。永正6年(1509)の年紀を持つ敬恩寺(栗東市荒張)蔵の本尊阿弥陀如来の台座には、「東坂番匠彦六衛門」の墨書が残されており、当地に番匠が居住していたことが知られます。
 応永20年(1413)、栗太郡河辺(栗東市川辺)出身の僧隆堯は、当時女人禁制の地であった金勝山から東坂の地に下り、草庵を結びました。文明17年(1485)には、厳誉宗真によって伽藍が整備され、阿弥陀寺と称するようになります。阿弥陀寺は、織田信長が天正6年(1578)に安土の浄厳院を建立するまで、近江の浄土宗の本寺としての地位を占めていました。
 江戸時代の東坂村は、石高255石ほどの農村で、石部宿の助郷も担っていました。江戸時代を通じて概ね同じような石高を維持しましたが、宝暦6年(1756)に発生した水害によって、大きな被害を受けたことも伝わっています。
 阿弥陀寺の寺勢は、江戸時代には衰えたものの、開祖隆堯が伊勢神宮に参籠した際に天照大神から賜ったという言い伝えを持つ本尊阿弥陀如来立像は、「天照仏」と呼ばれて信仰を集めました。近代に入ると、地域の景勝地を顕彰する動きの中で、阿弥陀寺も風光明媚な地として脚光を浴びるようになります。
 小地域展「東坂の歴史と文化」では、東坂地区の歴史や、今日まで続く民俗行事についてご紹介します。今回の展示が、皆さまに郷土の歴史を知っていただく機会となれば幸いです。

特集展示「古絵図は語る〜栗東のすがた〜」
会期:平成24年4月28日(土曜日)から平成24年6月3日(日曜日)まで
 江戸時代の近江には、譜代の彦根・膳所両藩が置かれ、幕府直轄領や旗本領が設けられました。これは、徳川幕府が京に近い近江で、西国での権力基盤の形成を図ったのと同時に、諸大名の在京賄料として宛がった結果と言われています。
 栗太郡は、その典型的な地域で、一村で複数の領主による支配を受ける村も多くありました。栗太郡の東部に位置する栗東には、百石から千石規模の村々が展開する農村地域が広がっていましたが、それぞれが複雑な領主支配を受けていたのです。
 石高制を基本に運営された村々には、安定した生産が求められました。そのため、灌漑用水の確保や、山野の入会権は、村々にとって最も重要な問題の一つとなっていました。村々は、限りある資源を時には共同で管理し、また時には村の権利を巡って相論に及ぶこともあったのです。
村は、それぞれ異なった性格を持ち、それぞれが独自性を持っており、人々の生活基盤もそれぞれ村にありました。その一方で、村々は生活文化を同じくする地域社会を形成していたのです。
 本展は、博物館が収蔵する多様な古絵図を通して、現在の栗東の原形ともいうべき近世の村々の姿を振り返ろうとするものです。
【関連企画】
・公開講座「栗東の村絵図」、展示解説会
:平成24年5月13日(日曜日)13時30分から

特集展示「近江の近世 高僧たちの仏教文化」
会期:平成24年6月9日(土曜日)から平成24年7月16日(月曜日・祝日)まで
 今日みられる近江の寺院の多くは、中世以来の戦乱によって荒廃した後、近世になって復興していったものです。たとえば、近江を代表する名刹、臨済宗の瑞石山永源寺は開山・寂室元光(1290〜1367)の示寂の後、幾多の戦乱を経て、その寺勢は次第に衰退していきました。寂室元光の遺徳を慕う一絲文守(1608〜1646)が迎えられて以降、ようやく往時の栄華を取り戻すことになります。また栗東でも、聖武天皇勅願・良弁開基の伝承を持つ古刹でありながら、戦渦の果てにその寺観を全く失ってしまった地域の中核寺院−東方山安養寺がありました。安養寺は、真言律の高僧として知られた戒山慧堅(1649〜1704)を迎えることによって、真言律宗の新たな寺院として再興していきました。
 当館では、これまでにも永源寺と安養寺、それぞれの歴史と美術に焦点を当てた企画展を行ない、永源寺文書・安養寺文書の公開を順次行なってきました。これらの活動を継続する一方で、当館で寄託を受ける永源寺文書は平成14年に国指定重要文化財となって10年という節目を迎えることになり、また、従前より当館が調査を行っている東方山安養寺文書の目録化も終盤を迎えています。
 永源寺と安養寺の文化財は、近世の仏教文化を考える上で注目すべき内容を持つものです。今回の特集展示では、一絲文守や戒山慧堅などの高僧が遺した書蹟・典籍や関連する文化財に注目して、近江に花開いた仏教文化の一側面を紹介します。
【関連企画】
・公開講座「仏門の師友―安養寺を中心に」、展示解説会
:平成24年7月1日(日曜日)14時00分から

特集展示「平和のいしずえ2012〜描かれた戦争〜」
会期:平成24年7月28日(土曜日)から平成24年9月2日(日曜日)まで
 栗東歴史民俗博物館では、栗東市の「心をつなぐふるさと栗東」平和都市宣言をうけて、平成3年度から毎年、戦争と平和をテーマとする「平和のいしずえ」展を開催してきました。これは市内外の所蔵者の方々からご提供いただいた貴重な資料を通じ、近代以降の戦争の歴史と戦時下の生活を再現することで、地域の視点から平和について考えようとするものです。
 平成24年度には「描かれた戦争」をテーマとし、とりわけ現在の栗東市綣出身の日本画家、西田恵泉(1902〜1980)が従軍画家として描いたスケッチ類を中心に展示します。西田恵泉は、自らのふるさとである農村を題材とした作品を描き続け、現在の湖国画壇に確かな足跡を残しました。その一方で、アジア・太平洋戦争時にはフィリピン・ルソン島に渡り、戦場の風景や兵士たちを描く従軍画家として活動しています。陸軍省に提出された作品は、その後所在不明となってしまいましたが、スケッチ類は西田恵泉本人によって保存され続けました。
 本展では、郷土を愛した画家、西田恵泉が描いた戦場の風景や同郷の兵士らの姿を通して、戦争と平和について考えます。
【関連企画】
・展示解説会:平成24年8月19日(日曜日)14時00分から

特集展示「幻の白鳳寺院〜逸名の寺をさぐる」
会期:平成24年9月15日(土曜日)から平成24年10月21日(日曜日)まで
共催:財団法人栗東市体育協会
 平成22年度に栗東市蜂屋地先の下鈎東遺跡で発掘調査が行われ、これまで知られていなかった白鳳寺院が存在したことがわかり、溝による方形区画と基壇1基が明らかになりました。調査値の東南には近接して手原廃寺があり、古くから古瓦の出土が知られています。
 『扶桑略記』によると持統6年には全国におおよそ545の寺院があったと記録され、7世紀後半に畿内を中心に続々と寺院が建立されたことがわかっています。しかしそれらの多くは荒廃し人々の記憶から消えていきました。このように忘れられた白鳳寺院の跡が、近江では60箇所余り存在したことが推定されています。
 今回の展覧会では、下鈎東遺跡を中心に、近江における逸名の白鳳寺院の中で、発掘調査などから伽藍配置・寺域・周辺遺跡の状況がある程度明らかになっているものを取り上げ、郷土に埋もれた白鳳寺院の姿とその役割にせまります。
【関連企画】
・展示解説会:平成24年9月16日(日曜日)14時00分から
・見学会「大津宮周辺の古代寺院」
:平成24年10月6日(土曜日)14時00分から
・調査研究報告会「白鳳寺院の盛衰〜栗東の発掘成果を中心に〜」
:平成24年10月21日(日)13時30分から

特集展示「文字と読書」
会期:平成24年10月27日(土曜日)から平成24年12月2日(日曜日)まで
 毎年秋の10月27日から11月9日までは「読書週間」です。これは、昭和22年(1947)に「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと定められたものです。また、平成17年(2005)には、「文字・活字文化振興法」が制定され、国民の間に広く文字・活字文化についての関心と理解を深めるようにするために読書週間の始まる10月27日が「文字・活字文化の日」に定められました。
 普段、皆さんがお読みになる「本」のほとんどは、洋装本という西洋風の製本様式の本であると思われますが、このような型式が広まったのは明治時代以降です。それ以前は、手書きや木版印刷で本文を記した和紙を糸や紙縒で綴じた和装本(和本)が一般的でした。このような和装本は、奈良時代以降、1000年以上に亙って文字や活字の文化を担いましたが、和装本の文字は、漢字を崩した草書体や変体仮名という今日とは異なる平仮名の字体で記されることも多く、今日、和装本は馴染みのないものになっているように思います。また、近年の書籍の電子化などの流れからみれば、和装本は私たちから一層距離を置く存在になっているのではないでしょうか。
 今回の展示では、出土文字資料や和装本を紹介し、人々と文字や読書との関わりを考えます。
【関連企画】
・展示解説会
:平成24年11月11日(日曜日)14時00分から

特集展示「栗東の年中行事-初春編-」
会期:平成24年12月15日(土曜日)から平成25年2月3日(日曜日)まで
 栗東市内では、四季を通じさまざまな伝統行事が行われてきました。現在では、生活スタイルの変化や祝日の変更などから簡略化されたり廃止になる行事も少なくありませんが、地域で大切に伝承され暮らしに根づいているものも多くあります。
 今回の展示では栗東市内の年中行事の中から、正月を中心に行われてきたものを館蔵資料の中から紹介し、節目を大切にしてきた人々の思いやその歴史的な背景について知っていただければと思います。
【関連企画】
・餅つき
:平成25年1月6日(日曜日)13時30分から
・展示解説会
:平成25年1月27日(日曜日)14時00分から

◆ロビー展示 ミニ速報展「栗東のあけぼの」
会期:平成25年2月8日(金曜日)から平成25年2月17日(日曜日)まで
 平成24年度に発掘調査が行われた南平古墳では、古墳時代の前方後方墳が発見され話題になりました。現地調査の後も遺物整理作業が続いていますが、その中で縄文時代草創期の石器が含まれていたことが明らかになってきました。これまで栗東市内で発見された最も古い遺物は、約6000年前の縄文時代前期のものでしたが、今回発見された石器はこれを大きくさかのぼる約10000年前のもので、市内の山地で縄文時代草創期(旧石器時代から縄文時代にかわったころ)に人々が狩などしていた様子が浮かび上がってきました。
 今回の展示では、南平古墳の調査で明らかになった石器のほか、これまでに各地で発見されている縄文時代前期までの遺物を紹介し、栗東に人々が住み始めた頃の様子を知っていただきます。

◆小地域展「大橋の歴史と文化」
会期:平成25年3月2日(土曜日)から平成25年4月14日(日曜日)まで
  栗東歴史民俗博物館では平成12年度から毎年度、市内のひとつの大字を取上げ、その歴史と文化を紹介する展覧会を開催してきました。平成24年度は旧葉山村から、野洲川と葉山川に挟まれた平地に位置する大橋地区を取り上げます。
 大橋で確認されている最も古い生活の痕跡は、縄文時代の石器です。以後、中世に至るまでの様々な遺構・遺物が確認されています。中世になると、現在の三輪神社の東側一帯に屋敷地が形成されました。しかし、近世以降の遺構は確認されておらず、現在の集落の姿が定着したことが分かります。
 江戸時代の大橋は、栗太郡の多くの村々がそうであったように、集落を中心として周辺に田畑が広がる農村でした。村人たちは農耕を生業とし、江戸時代を通して3人の領主に年貢を納めていました。
 地区内には、三輪神社と慶崇寺があり、古くから人々の信仰を集めていました。三輪神社には、鰌や鯰をすしにつける「鰌ずし」が伝わっており、非常に珍しい祭礼行事として知られています。また、慶崇寺には、栗東で大いに隆盛した真宗文化を伝える様々な文化財が残されています。
 現在の大橋は、地区内を国道1、8号線が通り、名神高速道路栗東第2インターチェンジが置かれるなど、主要道路の結束地となっています。このことは大橋のみならず、栗東市全域に急激な都市化や、景観の変貌をもたらしてきました。一方で、地区内には様々な文化財や民俗行事が残され、私たちにかつての大橋での暮らしぶりを知る手掛かりを与えてくれているのです。
 小地域展「大橋の歴史と文化」では、大橋地区の歴史や、今日まで続く民俗行事についてご紹介します。この展示が、皆さまに郷土の歴史を知っていただく機会となれば幸いです。

【関連企画】
・展示解説会
:平成25年3月23日(土曜日)、平成25年4月7日(日曜日) いずれも14時00分から
「栗太八景原画展」
:平成25年3月27日(水曜日)から平成25年4月14日(日曜日)まで

◎催し物◎

♪RISSミュージアムロビーコンサート8〜舞い降りた歌姫〜♪
開催日時:平成24年4月15日(日曜日)14時開演
出演者:佐川 康子(ソプラノ) 、 村崎 愛(ピアノ)

 声楽(ソプラノ)のコンサート。

♪RISSミュージアムロビーコンサート9〜里帰りコンサート〜♪
開催日時:平成24年8月11日(土)14時開演
出演者:若林 かをり(フルート) 、 鈎 奈美子(ピアノ) 、 大西 真矢(ピアノ)
 海外で活躍する栗東市、滋賀県出身の演奏家による故郷でのコンサートです。

♪RISSミュージアムロビーコンサート10〜秋の日のヴァイオリン〜♪
開催日時:平成24年11月3日(土曜日、祝日)14時開演
出演者:萩原 合歓(ヴァイオリン) 、 萩原 吉樹(ピアノ)
 ヴァイオリンとピアノの演奏。

♪RISSミュージアムロビーコンサート11♪
開催日時:平成25年1月20日(日曜日)14時開演
出演者:Clap Stomp Swingin(ギター:高田 亮介 、 ピアノ:井高 寛朗 、 ベース:斎藤一郎)
 古き良きスイングジャズをベースに往年の名曲、誰でもが知っている曲、オリジナル曲を演奏するご機嫌なトリオ。

◆第43回栗東市青少年美術展覧会
会期:平成25年2月1日(金曜日)から平成25年2月3日(日曜日)まで
 栗東市内の幼稚園、保育園、小学校、中学校、県立聾話学校に在校(在園)する幼児・児童・生徒の図工・美術・書写の作品から、個性あふれる力作が展示されます(展示される作品は、特選作品のみです。

◆滋賀県教育美術展

会期:平成25年2月8日(金曜日)から平成25年2月14日(木曜日)まで ※ただし12日(火)は休館日
 滋賀県下の幼児・児童・生徒を対象とした、滋賀県教育美術展の特選作品を展示します。

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